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 私はいったい何をしたいのか、というのがよくわからない。ただ、何事にたいしても中途半端に終わるのは非常によろしくない。だから仕事を始めたら何か習い事を始めたいと思っている。もちろん、最初はそんな余裕はないことだろうが、趣味にしろある程度の強制力がないと私は物事を続けることができない。趣味なのだからそれでいいとも思えるかもしれないが、私個人としては自分がなにがしかの能力を手に入れたいというのが本音だろうか。

 だから資格を取ろうという考えもある。ITパスもそうだし、仕事で使う資格やMOSのような応用性の利く資格も手にいれていきたい。


 私が大学を卒業する間際になって感じていることは、この四年間を通して私は何もしていないという感覚だ。だから何もせずに無駄な時間を過ごすということに少し敏感になっているのかもしれない。元来なら、公務員試験に落ちた時点では来年も受けようと考えていたのだ。それを無理やりにでも就職にこぎつけたのは、そうすれば一年間を確実に無駄にするだろうという確信があったからだ。私は自堕落な人間であるから、強制力のない状況下において何もしないということが今までの人生を通してよくわかった。

 そういえばこの日記を始めたきっかけは最後の公務員の就職先から不採用通知がきたときだったか。そんなしょうもないことする暇あるなら勉強しろよ、と思いたくもなるが、これが私にできる精いっぱいの抵抗だったのだろう。

 ただ、この日記をやってよかったと思えることもいくつかある。それは自分の状況や心情を言葉にしなければならないということだ。意外と、ほんとうに意外と普段から考えていることというのはわかっているようでいて文字に起こすとうまく伝えれない。それはわかっていると思っていた自分の内心というものが実はまったく形を持たずあやふやなままになっているからだろう。想像の中のパルテノン神殿は立派なもので自分の中では綺麗なイメージがある。しかし、その柱が何本あるかと聞かれると答えることができない。いざその外装を説明しようと思うとなかなかうまくいかない。柱、白い、三角屋根と植物のレリーフ、これだけの要素しか思い浮かばないのに私の中のパルテノン神殿は非常に立派なのだ。


 要は文字におこさないとわからないことも多くあるということだ。とくに人間というのは補完することが得意な人間なのだろう。キスの夢は美しいが、実際にはシミや不快な感触に辟易したという小説を読んだことがある。私はいまだにキスすらしたことがないので、はえー、と思ったものだ。

 そういえば彼女をつくるという目標がいまだにでてこないのは、私は人として欠陥があるのだろうか。

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