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 反省している。

 いろいろと言い訳は思いつくのだが、どれだけ言葉を並べたところで九月の日記をほとんど吹き飛ばしたことの理由にはならない。というわけで深く反省してるのである。


 しかしながらあえて言い訳をさせてもらうというより、こうなってしまったことの原因を考察すると、おそらく夜に友人とゲームをするようになったのが一番のそれだろう。私はたいてい夜の23時ごろからだいたい30分ほどかけてこの日記をしたためている。しかし少し前に友人に誘われて夜にゲームをするようになった。夜の22時から24時までの二時間。要するに被っているわけだ、時間が。

 24時ともなればさっさと歯を磨いて寝る時間である。そんなわけで日記なんて書いてられるか、とさっさと寝床に潜り込む、ここ最近は出勤が早かったのも影響した。だが、それでも時間がなかったわけではない。昼も時間がたっぷりある日は多くあった。それらをふいにしたのは私のだらけ癖が出てしまったからだろう。


 さて、これ以上言い訳を重ねても詮無きことだろう。九月にあった出来事について少しだけ語っておきたい。実は先日友人に誘われて車を走らせること五時間、たどり着いたのは長野県は湯田中、渋温泉だ。正直聞いたこともない温泉地であった。

 観光地としてはメジャーでないというのも納得のものであった。失礼な言い方だがそこそこの辺境、山の麓に川と並ぶようにして温泉の区画があった。温泉といえば綺麗で大きな湯舟を思い起こすものだが、渋温泉はそれらとはまったく違うものだった。宿に泊まった者は区画内にある九つの温泉を巡ることができるのだが、その九つの温泉すべてが小さく、小汚い感じのものである。私はあまりそういった汚さは気にしない質だが、綺麗好きな人なら入ることを拒否するレベルかもしれない。

 しかしそういった雑味が、温泉としての効能を本物たらしめているようにも思えた。源泉温度86度であまりに熱すぎるお湯、湯出口にこびりついたミネラルらしき結晶、白いカスがたくさん浮いていたりと、それはもう見栄えや一見様お断りのようなありさまであった。


 さて、しかしこの温泉地、温泉もまあよかったが何より雰囲気がよい。千と千尋の神隠しの建物の見本になったといわれる立派な宿も一つあったが、それ以外は古く懐かしい街並みをみることができる。何より素晴らしいのが裏路地だ。

 人一人が何とか歩けるような狭い路地、そこは宿や店の裏でよくわからないパイプが伸びていて、排水溝から温泉の残り湯なのか、蒸気が昇っている。いくつもの換気扇、何も植えられていない植木鉢が並び、タオルが紐にいくつもかけられている、電線が頭上を無秩序に結んでいる。今も使っているのかよく分からない梯子、脚の曲がった椅子、実用性を重視した無作為な配置に私はどうしようもなくワクワクするのだ。


 何が言いたいかというと、とてもよかったのだ。旅行というのは雰囲気を楽しむものだと思っている。その点では車でいったのはかなり正解だったろう、普通ではいけない場所にまで顔を出すことができたからだ。

 そんなわけで、もうゲームをする時間だから今日はここまでにしよう。

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