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 21歳、童貞、無職、これが今の私の肩書きである。

 改めて並べてみると酷いものだが、最も大きな問題は私がそのことに危機感を抱いていないことではないだろうか。


 今日就活先の最後の役場から不合格の通知がとどいた。

 私にとって就職先が決まらなかったことより、部活動の同期たちはみな決まっているというのに、私だけ決まってないということのほうが喫緊の問題であるように感じられた。それだけ私は自分の将来のビジョンを持たず、考えなしでいたから就職希望先の事務方もそのことをズバリと見抜いていたのであろう。


 このような文章をつらつらと書いているのは、私なりに危機感を抱いているつもりだからだ。というのも私は縛られることがなければ、どこまでも自堕落に落ちていく性格だからである。そのことはこれまでの人生経験で大いによく理解させられてきた。

 そして現在、このコロナ禍のこともあり、大学四年生の私はほぼ家から出ずにスマホを見続けるという生活を続けてきた。それは非常に退屈で刺激もなく、本当につまらない日々であったが、私はこの腐りきった日常から抜け出せずにいる。このままではダメだという焦燥ばかり燻らせているが、一方で人生を軽んじて気にすることはないとも考えている。そうして私は変わることがない。変化を願うが、自分では手を伸ばさず心中文句を垂れながらつまらぬ日々を謳歌するのだ。

 

 思うに、人らしくあるためには適度に束縛されなければならないだろう。もし私がギリシアの黄金時代のような寿命も労働もない世界に生きていたならば、私はさぞ空っぽの人間になっていただろう。だから今私に必要なのは束縛だ。小学生の習い事のように、決まった時間に決まった場所で生産的な活動に勤しませてやらねばなるまい。今まで学校や部活がやってくれたことの代わりを見つけねばなるまい。

 一番は仕事が良いだろう。この一年を自堕落にしないための、できれば週五日は拘束されるものがよい。というわけで調べていたのだが、あれだけ就職に発破をかけてきた母が今度はバイトをつづけながら勉強して就職しろとの甘言をもってきた。自慢ではないが私はそこそこ要領が良いのでたいした勉強もせずにまあまあの大学に引っかかった。しかしそれは継続的な努力を知らないということだ。私の最も苦手なことの一つだろう。

 とにかく、勉強などというものを理由に拘束具を手に入れなければ私はこの自堕落な生活を抜け出すことはないだろう。仕事をするか、スマホを捨てるかの二者択一だ。


 こうしてここにつまらぬ戯言を書き残しているのは、私なりの決意表明である。日記形式で、私の覚悟を忘れずに残していくための。

 恐らく私のことだから、三日後には筆を止めていることだろう。しかしそのような認識がまさしく私が愚者であるゆえんである。今日という日を契機に、私は変わっていこう。だから、ここは強い言葉を使わねばなるまい。


絶対変わるぞ、明日から九時までには起きる、最低でも二時間は生産的な行動をする、今のお前には社会のモブ以下というレッテルがお似合いだ、人からそう見られるのは嫌だから頑張れ、負けるな、頑張れ

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