表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/18

現状把握と仕分け

今回は陽奈視点です



 周囲が淡く光り始めた事に気がついた私は、カードの方を見ている姉に声をかけた。状況が理解できていない内に周囲の光が段々と強くなり、眩しさを感じるほどになっていく。


……何かがおかしい。このままここにいてはダメだ!



「お姉ちゃん、ここ出よう!」



 急いで立ち上がって姉の腕を掴んだ時、景色がグニャリと歪んだ。同時に乗り物酔いをした時のような気持ち悪さを覚える。


……うっ、吐きそ


 私は視界に映るものが歪んで見え、吐き気もする為咄嗟に目を瞑った。酔ってしまったせいか浮遊感もある。


……あっ!バランスが



グラリとバランスを崩してその場に膝をつく。



 バランスを崩した時に目を開いたので、閉じていたのはほんの一瞬だったはずなのに、私は見慣れない場所に膝をついていた。膝に土と石の感触がする。



……なんで?さっきまでお姉ちゃんの部屋にいたはず。お姉ちゃんは?



 横を見ると部屋に居た時と同じで私に腕を掴まれたままペタリと地面に座り込んだ姉がいた。先程までと違うのは服が若干汚れていたり穴が開いていたりしているところぐらいだ。そして、心ここに在らずと言ったような表情の姉がこちらを見る。


「陽奈ちゃん、ここ何処?」

「わかんない。寧ろこっちがききたいよ」

「だよね……腕掴まれて、立とうとした時に視界が歪んで、一瞬白く光ったと思ったら真っ暗になって……気付いたら此処にいたんだよ。」


……ずっと目を開けてたんだ


「陽奈ちゃん、これってさ……」


「「神隠し」」


 姉が何を言わんとするのか分かったので声を重ねた。神隠しだったらまだマシだが、もしかしたら今ある状況が現実のものではない可能性も考える。例えば、自分だけ気を失っているか、何某かの事故で精神状態だけになっているのか、はたまた夢落ちか

 少しの間考えていると姉が口を開いた。


「お姉ちゃんのほっぺつねってみて」


 さっきまで呆けていたのに急に真剣な表情になっていたので、ちょっと面白くて笑ってしまう。強めにつねってみようとおもう。


「いたっ!お姉ちゃんのだと思って強めにしたでしょ!」


 予想通りの反応である。


半ギレの姉を横目に自分の頬もつねってみる


……痛い。


「お姉ちゃんのほっぺの感触もあるし、わたしも痛みを感じるから、今のこの状況は現実って考えた方がいいよね。いまだに信じられないけどさ」


姉がほっぺをさすりながらコクリと頷く。


 

「とりあえず状況を整理しよう。そんでもって、周りに散らばってる物とかの整理もしよう」


 今まで気に留めていなかったが、周りを見回すと自分たちと同じように此処に飛ばされてきた物がかなりある。そして、破損している物が多い。周囲にある大きな岩に当たって壊れたものや、何も無いのに不自然に壊れているものもある。それは、姉と自分の服も同じである。


「えーと、石系多いね。一部欠けてるけどそのうち役に立つかもだしこの辺にまとめて置こう。」

「じゃあ、これは?」


姉が脚がぽきりと折れてしまっている机を指差して問い掛けてきた。「高かったのにー」と呟きながらショックを受けた顔をしている。



「あー、じゃあ貴金属以外の破損、汚損系はあっちに固めて置こう。冷蔵庫も壊れてるみたいだし、日持ちしない物は中身だけ取り出して今日食べよ。」


「……ぐちゃぐちゃだ。陽奈ちゃん、これは食べれない。飲み物はいくつか大丈夫そうなのがあるのと、それ以外だと一部の調味料とか……作り置き系は壊滅的だね」


 姉は冷蔵庫を覗き込んだ後に、眉を潜めて首をブンブン振っている。


「外傷酷いもんね。中身も思った以上にやられちゃってたかー。他の買い置きの食べ物とかは?」

「んー、ダメそうなのもあるけど、結構買ってたから、大丈夫そうなのも多い。消費期限切れてるのもあるけど」 

「賞味ではなくて?」


 私の問い掛けに姉がコクリと頷く。


……そもそもの問題だね


 苦笑いを浮かべて肩を竦めると、また仕分け作業に取り掛かった






~~~~~~~~~~~



……日の落ち方から、1時間程度で作業が完了したかなー。



布系、貴金属、食料、鞄、本、破損物に仕分けた。姉はタロットなどのスピリチュアルグッズを一纏めにしている。「2枚目は塔のカード」とか何とかいいながら散らばったカードを拾ったり、ダメになったカードを別の場所に移したりしている。何だか忙しそうである。


「お姉ちゃん、大体終わったらここが何処か調べよう?スマホは圏外だからネットもGPSもダメだし」



 助けが呼べるかどうかはお互い最初に確認してある。諦めたからこそ、周囲の物の整理をしてたのだ。


 私は小さめの岩に腰をかけて姉の作業を見つめる。


……此処はひらけてるけど、周りは木が多いんだよね。山とか?そう言えば、テントとかあるのかな?


「お姉ちゃんー!去年のブームのキャンプグッズある?」

「あるよ!」


向こうから軽快な声が飛んできた。



次はキャンプです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ