始まりの1枚
今日は妹の結城 陽奈が姉であるひかりの家に引越してくる日だ。ひかりは妹の荷物を受け入れないといけない為朝からせわしくしていた。
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ガチャッ
「久しぶりお姉ちゃん」
引越し業者の荷物の搬入が始まった頃、少し遅れて陽奈が到着したのがわかった。ドアが開いた音と陽奈の聴き慣れた声がする。
「しばらく会わない内にちょっと太った?」などと他愛もない会話をしながらひかりは床に寝そべりながらスマホをいじり、陽奈は運び込まれた荷物から荷ほどきを開始した。
そんなこんなで、2時間経過した頃荷ほどきが完了した。
荷ほどきが終わったと感じとったひかりが「陽奈ー」と呼びかけるがなかなか返事が返ってこない。なので、痺れをきらして「陽奈ちゃん」と再度呼びかける。
「陽奈ちゃん、終わったなら外行こうよ、お姉ちゃんどっか行きたい。」
「えー、疲れたから今日はいい。明日にしよう?」
「お姉ちゃん暇なんだけどー」
床にペタリと座り込んでいる妹に向かって、ほっぺを膨らました姉が不満を漏らす。
「なんかしたい!……外がイヤならお姉ちゃんが占ってあげよっか?」
突拍子もない言葉に陽奈は怪訝そうな顔で首を傾げる
「占いって何?またなんか始めた訳?この前までスマホゲームにハマってたよね?その前は流木集めてたよね?また変なブームが来た訳じゃないよね?」
「今回は違うよ!」
「それいつも言ってるじゃん。」
一年周期でやってくる姉のブームに半ば呆れつつ、苦笑いを浮かべながら陽奈は答える。
「でも、まあ、せっかくだし占ってもらおうかな。今後の生活の参考にもなるかもしれないし……。」
妹の返事を聞いたひかりはぱぁーっと笑顔を浮かべていそいそと自室に戻る。陽奈はその後ろをついて行った。
「あ、お姉ちゃん、一個気になってた事があるんだけど、玄関のパワーストーンとかよくわからない形の置物とか、ごつごつした鉱石とかブレスレットとか……キャンドルとかってまさか占いに関係あるから買ったとかじゃないよね?」
姉のブームに関係あるものだと分かっていながら、わざと問いかける
「ん、関係あるよー。効果もあるし。」
ひかりは自室の机からスピリチュアルグッズを手にとって後ろに控えている妹に笑いかけた
「どれからしよっか?」
「いや、何個あるのよ?」
「オラクルカードとか色んなやつがいっぱい」
「じゃあそこの本棚にあるやつで」
陽奈は諦めた顔で本棚にある淡い色のタロットケースを指さした
「ん、わかった。じゃあ立ったままもなんだし、そこ座って。」
陽奈は姉に言われるままに、床に腰を下ろし、近くに座る姉の動作をみつめる。
ひかりがタロットカードをシャッフルし、陽奈がカードを選ぶ形で、12枚のカードが机の上に揃った。
「じゃあ、一枚目は……愚者のカードだね」
カードをめくって口を開いたひかりに陽奈が食い入るようにカードを見つめながら身を乗り出して尋ねる
「愚か者ってこと?やっぱ仕事辞めたの間違いだったってこと?」
「いやいや、そう言う訳じゃないよ。正位置ででてるから状況としては何か新しいことが始まろうとしてるみたい。大アルカナだから人生のターニングポイントってことだね。」
「うん、仕事辞めたし、確かにそうだよね。当たってる」
「アドバイスとしては、古いものに囚われないで、新しいことにチャレンジするといいよ!じゃあ二枚目を開きまーす」
姉が1枚目のカードを机上端に置き、2枚目のカードに手を伸ばしかけ、その手に触れるか触れないかの瞬間に妹がどこかをみながら小さく声を発する。
「お姉ちゃん、なんかここ光ってない?」
次回は衝撃的な出来事
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