プロローグ
物語が始まる数ヶ月前、姉は妹から報告を受けた。
「お姉ちゃん、私、仕事やめる。」何気なく取った妹からの電話の第一声がそれだった。続く言葉に耳を傾ける。
「3年は絶対続けるって言ってからもう4年経つし……。新しい仕事見つけてから辞める方が良いって考え方もあるのは分かるけど、もう限界がきたんだよね。」
スマホの向うから不安の色が薄らでている声に、姉はスマホを見つめながら話しかける。
「そっかー。じゃあ、辞めたらどうするの?
ひなが、後悔しないなら辞めてもいいと思うけど」
少しの沈黙の後、返答がきた。
「うーん、悩みはしたけど、やっぱ辞めた方が良いと思う。だってさ、4年続けて色々な業務が出来る様になって人にも頼られる様になったけど、スキル面とか人間性とかが成長してる気がしないんだもん。
いつかはやりがいを感じるって自分に言い聞かせてたけど、その事を今になって後悔してる。」
「あー、確かにそれはわかるわ。まぁ、後悔した時が辞めるのに一番早いタイミングって言うもんね。じゃあ、これからどうするかは辞めてから考えたらいいよ。とりあえず辞めたらお姉ちゃん家おいで」
プロローグなので短めです