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タクティクス・コンバット・オブ・オーガ  作者: トビオ
《第6章 関所砦攻防戦》
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第57話 乙女心と親心

 

 そこは暗くじめじめとしている所だった。

 日の光も入らず目の前を照らす物もなくただ風と共に血の臭いと人の声が微かに聞こえるような所、お世辞にもそこは人が住むのには快適だとは決して言える場所ではなかった。


 そこは牢屋ではなかった。


 牢屋であれば牢に閉じ込められた者が排泄に使う壺や寝具が置かれていたりするはずであるがそれがない。


 ただそこには何かの実験でもするのか成人男性の腰よりやや高く設けられた人が横たわれる程の大きな台が1つあるのみ。


 そしてその部屋の扉は鉄格子で出来ていた。


 何処からともなく悲鳴が風に乗って部屋にまで届いてきた。


 男の悲鳴だ。


 その悲鳴は始め良く聞こえる程大きなものであったが次第に薄れていった。


 その声が途切れたところで実験台に横たわっていた者が目を覚ました。


 うっすらと少しずつ目を明けると左右を見渡した。

 全く見覚えのない場所であった。


 女は自分の四肢が自由に動くことを確認して、自分の置かれている状況を見た。


 裸であった。


 すぐさま台から降りてしゃがむと周囲に人の気配がないかを確認するも誰一人いなかった。


 女は先程まで自分が横たわっていた台に敷かれていた布切れを体に巻き露になっていたお山を隠す。隠すには少々布の面積が少なかった。


 次にどうしてここに自分がいるのか思い出そうとするが全く思い出せない。

 ここに居る理由云々だけではなく自らの名前すら思い出せないでいた。


 ただ、羞恥心と空腹感があった。


 記憶喪失。


 誰もがそう思わせる症状である。


 脳に重大なダメージ、例えば殴打などの外傷性であれば記憶だけが無くなるのはおかしな話なのだ。


「(━━誰か来る?!)」


 女は先程まで感じなかった人の気配を感じ取った。


 自分が今置かれているこの状況から自分に何かしらのアクシデントがあったことは容易に想像がついた。

 しかし、今は安全な場所にいるのか違うのか、それを考えた時、出てきた答えは1つだった。


 ここは危ない場所……


 女はすぐに行動に出た。


 この暗くて薄気味悪い場所から脱出しようと鉄格子に手を掛けた。


「(開いている?……)」


 幸運なことに女が居た鉄格子の部屋には鍵が取り付けられていなかった。


 早速鉄格子の部屋から出た女はゆっくりと足音を立てずにわからない道を進んでいった。


 石造りの道を女は裸足で歩いていた。

 足からは石の冷たさだけが伝わってくる。

 それが状況と相まって女の心の中では恐怖心が芽生えてきた。


 それでも女は恐怖心と戦いながら歩いた。


 途中で道が2つに別れているやや拓けた場所に出た。


 1つは上階へと登っていく道。もう1つは下へと降りていく道。


 女は悩んだ。

 これが運命の別れ道だと思った。


 どっちが出口……


 今まで歩いてきた様子を振り返れば恐らく自分がいる場所は地下にあることは予想できた。

 かと言っても出口はこの上階へと続く道だとは限らない。


 悩んでいるだけでは刻々と時間だけが過ぎていく。そして先程感じ取った人の気配。


 いつその者に自分が鉄格子の部屋から居なくなったのかを知られたらきっと連れ戻しに来るに違いないと思った。


 女は冷静になり考えた。


 少しでも地上へ出る可能性が高い上階へと続く道を選び、再び歩み始めた。


 暫く道なりに進んでいるとまた人の気配を感じ取った。気配は後ろから、今まで自分が歩いてきた道の奥からである。


 女は一瞬、歩むのを止めて耳を澄ました。


 次第に足音と金属が擦れ合う音が自分に近づいてくるのがわかった。


 そして何やら話し声であろうか、騒々しく獣が発するような声が聞こえてきた。


 それもかなりの数だ。


 女は焦り走り出した。


「(脱走したのがバレた━━)」


 そう考えるのが妥当である。


 女は次第に目の前から光が差し込んでくるのが見えた。


「(よかった、これで助か━━)」

 そう気が少し緩んだとき、視界から急に光がなくなった。

 そう思った束の間、水の中に落ちた。


 女は慌てた。


 折角脱出出来たと思ったのに……


 女が落ちたのは池ではなく流れが急な川であった。


 女の体は流れに逆らうことも出来なかった。


「(……そういえば私……泳げないんだった……)」


 女は必死に酸素を求め水面に顔を出そうと必死にもがくもそれは叶わずそのまま意識が遠退いでいくのを感じ、死を覚悟した。



 ------------------------------------



 ウェルクガイムは一国を治める国王である。

 王族、国王ともなれば1日の大半は公務に費やされる。

 公務と言えば華やかな社交場で貴族達と食事会だけではない。自国の経済情勢、他国の大使との外交、特に周辺の小国や属国の援助方針や国を持たない少数民族への貧困問題の対応など国王らしい仕事もある。


 その中でもウェルクガイムには楽しみにしている公務がある。

 それは自国の王国騎士団の修練状況の視察がその1つだ。


 だがこの視察はウェルクガイムの趣味でもある。


 普段の修練視察であれば近衛騎士を引き連れて時折国王のポケットマネーで景品を持参しては試合形式で騎士達を競い合わせ、騎士達の腕前を底上げを図ることをしていた。

 それはそれでその場にいる全員が熱狂して盛大に盛り上がるし、何よりも一体感が生まれ国王と騎士達の間に結束を強くすることを心掛けた。


 しかし、今のウェルクガイムは密かに修練場の王族用観覧席に座り気配を殺しながら中央闘技場の様子を暖かい目で見ていた。


 剣と剣がぶつかり合い火花を散らし互いを見会っている男女がそこに居た。



 まぁ結果オーライと言えば聴こえは良いじゃろ。

 わしも初めからこうなることを確かに望んでもいた、その為にカトレアを使ってはみたが残念な終わり方ではあったの。


 お互いの第一印象が最悪だったのじゃろ。


 それは仕方ないこと。


 リリエナはあの日の朝食も一方的に目の敵にしていたし婿殿もタジタジだったの。


 1週間前か……数々の縁談や見合いをドタキャンするリリエナが急にわしの所に来て本人の口からあんなセリフが聞けるとは夢にも思わんかったぞい。


 ---


「父上!」

 執務室で大量の書類のサインに追われるウェルクガイムにリリエナは物凄い勢いで登場するや否や机まで詰め寄ってきた。


「おっおぉ、リーナよ━━急にどうしたのじゃ?」

 余りにも凄い剣幕で現れた娘に動揺したウェルクガイムは筆を握っていた手を止めてしまった。


「あいっ━━こう……じ、浩司殿が意識を取り戻しました」


「まことか!!おぉ、よかったよかった」


「つきましては父上にご相談したいことがあり、参りました」


「なんじゃ改まって」


「そ……それは……浩司殿との婚姻の……話を……進めて貰いたく……参上致しました」

 リリエナは顔を真っ赤にしながら伝えた。


「お━━おおぉぉー!!」

 この言葉、嘘ではないとウェルクガイムら直感した。今までの見合い話をしたときのリリエナはどこか明後日の方を見ていた。しかし、目線を逸らすことなく見つめ返してきた。

 その目の奥には強い決意を感じた。


「わかった!それでは改めて謁見の場を設け、正式な婚姻を進めようではないか!」


 あとは適当に領地を与えて離れられんようにすればわしの計画は完成じゃ。


 ---


 っと、急にリリエナが顔を真っ赤にして縁談の話を進めて欲しいと申してくるなんて思いもよらんかったぞ。


 まぁ本当に結果オーライではあるがわしの娘ながら女心は解らんもんだな。


 今もあぁしてお互いのことをもっと知るべくデート……とは言えんが、剣を交える姿を観ていると孫が出来るのが待ち遠しくなるのは親心かの。


 ウェルクガイムは傷が癒えたばかりの浩司と長女であるリリエナの様子を観ていて気持ちがほっこりとして公務に追われる忙しさの中で1つ肩の荷が降りた気分でいた。



「浩司殿、貴方の実力はそんなものですか━━」

 リリエナは愛刀の獅子王丸ではなく訓練用の鉄剣を大きく振りかぶり、自ら人生の伴侶として認めた男性に斬りかかった。


「まだまだ!オレだって伊達に剣術を学んできた訳じゃない━━」

 浩司が得意としているのは空手ではあるが一時的に除隊した際には源太郎から剣術を一から叩き込まれた甲斐あってこの世界でも剣士相手に渡り合える実力はあった。

 浩司も人生の伴侶予定?候補の1人となった女性から放たれた刃を鉄剣で受け止め、力任せにそれを弾き返した。


 普通の夫婦となる約束を交わした男女であればまず互いに剣を持ち、斬りかかるようなことはしないであろう。


 剣ではなく互いの手を取り合い、仲睦まじく着飾った装いで町の中を歩き、カフェで一緒に食事をして、恋仲連中が集まるデートスポットのような広場で愛を語り合うのがどの世界でも共通認識である。そうであると思いたい。


 しかし、現に2人は剣を握り語り合っている。

 いから訓練用の鉄剣とは言え、きちんと磨ぐと実戦で使える代物であり、これで殴打すれば骨は砕け切り傷も多少なりとも出来るであろう。


 修練場には他の騎士達が大勢鍛練に励んではいたがあの2人の剣捌きと2人から出ているオーラから手を止めて2人のやり取りに見入ってしまっていた。


 この場にいる男性騎士達は剣の腕前だけでなくこう思ったに違いない。


 "あんな強い奥さんを貰ったら最後、おいたは絶対にしてはいけない"と。


「浩司殿━━そろそろ昼食の━━時間です」

 リリエナは二連撃を浩司に浴びせながら空腹を満たす提案を出してきた。


「それは━━いいですね━━自分も腹が空いてきた所です」

 浩司はリリエナの放つ二連撃を弾き返すと腰を落とし、リリエナの懐へ入るや否や居合いの姿勢になる。


 リリエナもすぐさま次の浩司の剣から繰り出される剣筋を読み鉄剣を自分の左頬の位置で剣先を浩司へと向けて自らが得意とする構えを取った。


 そしてほぼ同時に剣が振り下ろされた。


 実戦経験から剣術ではリリエナに分があると周りにいた騎士達は思っていた。

 しかし、その期待を裏切り、何度も斬りかかれようとも剣を受けきり反撃をする浩司。


 浩司は病み上がりながら負傷前よりも身体が軽やかにそして力強く動かせれる感覚に驚いていた。

 確かに剣術の稽古は積んできた。だが、小学生からやり始めた空手と比べたら圧倒的に時間は少ない。

 自分でも不思議なほど剣を軽く振るうことに違和感と驚きしかなかった。

 何せ長年、剣で戦を経験してきた白戦姫とほぼ互角にやりあえているのだから。


 互いの剣は相手の首と腹部に剣先を寸前で止めた。


「私の勝ち……でいいでしょうか?」


「そうだね、リリエナさんの刃の方が速かったよ」


 浩司とリリエナの視線はお互いを見つめ合いながら浩司は首、リリエナには腹部に鉄剣の先が数㎝の位置で止まっていた。


「フっ ここまで単純に剣技だけの勝負をやり合えたのは久しぶりです」


「それはまだまだ手加減をしてるってことですか?」


「実力を隠しているのはお互い様ですよ」


「まぁ……そうですね」


「━━それじゃ今日の昼食は城内の食堂で食べましょう」


 浩司とリリエナは鉄剣を持っている手を顔面で構えて互いに敬意を払い、鉄剣を鞘に収めた。


 2人は恋人のようにベタベタまでとはいかないが互いの実力を認めあった戦友のような雰囲気を纏っていた。



 城内の食堂は騎士の他に城で働く執事から侍女に庭師までが同じ釜の飯を食べる共有の癒しスペースだ。

 浩司は約3週間、この世界で過ごして気が付いたことがある。


 自分達の生きてきた世界と比べ、文明レベルがあまりにも違いすぎるのだ。


 中世ヨーロッパの時代劇映画の世界に迷い混んだ感覚に陥る。


 城下町を歩いて見てきた時にも感じたが建築物が正に中世ヨーロッパを模しているようであった。ただ、そこの町に暮らす住人達は獣みたいな耳や尻尾をつけた獣人が主に占めていた。

 着ている衣服はまた面白く、日本の着物を連想させるような物から前面にコルセットみたいな紐がついたワンピース、ボディスのような衣服まで異国文化が混ざりあっている。


 さらに、近代文明とは違う発展を遂げている点が大きな特徴である。

 それは浩司達の世界では産業の発展に伴い機械文明の進歩ではなく"呪術"と呼ばれる魔法じみた術がこの世界の発展を支ている。


 今日の昼食メニューは七色蛙(ウラニオ・トード)の煮込みスープとパンとハーブサラダだ。


「……これがあの時の人食いカエル……美味しい」


「そうであろう、ここの料理長の腕前は世界屈指で食材が豊富に揃う我が国を気に入り、わざわざ移住してくれたのだ」


「へぇー……でも、やっぱり()()()()()の料理の方が美味しいな」


「なっお義母━━っ」


「えっあっ━━ほら、お義父━━じゃなくて、国王様の言うとおり王妃様の手料理はやっぱり美味しいな……と」


「いや、いいのだ。確かに将来父上と母上は浩司殿の義理の父と母になるのだ……何もおかしなことではないぞ」

 リリエナは少し顔が赤かった。


「ごめん、何か気が早かったね」


「き、気にするな。私が認めたのだ。浩司殿との婚姻は妥当だ。幾度も妹のララエナの命を救ってもらったばかりか、私の命の恩人でもあるのだ……ただ……」


「━━ただ?」


「女性の尻尾を掴むのは……いただけないぞ?知らなかったとはいえ、正式に結婚する前の……その……女性の……裸を観るのは━━いや、観るなのとは言わん、むしろ観てもらってもいいのだ!━━はっ!?わわわ私はなんてはしたないことを━━今のは忘れてくれ!私が言いたいのはきちんと順序をだな……」


 リリエナはスキル『混乱』を発動した。


「ああああれは本当にすいません!」


「分ければいいのだ」


 周りにいた者は二人の会話に聞き耳を立て悶々としていた。


 早く結婚すればいいのに……。

 いいなぁー、リリエナ様の裸を観れて。

 いや、怒らしたら怖いぞ。

 確かに……。

 いつキレるかわからんからな。

 やっぱり俺はララエナ派。

 お前はロリか。

 まぁ俺はお山の大きいリリエナ様派。

 兎に角、婿様は苦労するだろうな。

 アーメン。



「(何か、ロリやらアーメンやら聞こえてきたような気がする……)」


「ところで浩司殿、ポルータ村への出立はいつにする?」


「あぁ、例のアレ……ですか」


「一応、わ……私の旦那様になるのだ。領地を貰えば領主になるのは必然。きちんと領民に宣言しなければ締まるものも締まらない」


 オレは目が覚めてからいくらか体力が回復してから狂暴女改め、未来の奥様候補リリエナさんに賢者邸での事件の顛末を聞かされた。


 オレは窮地に陥ってアリエの力でオレの中に眠っている本来の力を呼び覚ましてもらおうとした。

 ポルータ村で刀一本でオーガを撃退した力なら暗殺専門業者(アサシン)を倒すことが出来ると思った。


 だけど、結果はオレが思っていたのとは違った。


 オレの身体に流れている4分の1の血が力を暴走させた。


 そしてオレはその時の記憶が全くない。


 いや、この言い方じゃまるで他人事だな。


 まぁ力を制御出来なくなったオレは右目を真っ赤にして異様な雰囲気を纏っていたらしい。


 賢者邸にいた護衛騎士の1人、身長が190センチもあるヒッグさんがオレと谷口を助けに来たはいいが、倒れているのは谷口だけ、オレは鎖でぐるぐる巻きの状態で異様な雰囲気で唸りながら力任せに鎖を引きちぎろうとしている状況。

 兎に角、ヒッグさんはオレの鎖をほどこうと近付いた瞬間、オレは自力で鎖から脱出

 オレを押さえようにもオレの驚異的な腕力に敵わず。


 まぁアサシンに痺れ薬を盛られた後ってこともあるとは思う。


 彩菜三尉が応戦するも弾は全て防がれて万事休すの所で、残りの護衛騎士の1人、モルさんが助太刀しに現れたようだ。


 モルさんとアサシンは一歩も引かず互角に渡り合っていた所で問題が起きた。


 オレが生身で壁をぶち破り二人の闘いに乱入する形でそのままアサシンを外まで追い出したようだ。


 彩菜三尉がオレの驚異的なスピードの斬撃とアサシンの鎖攻撃による激戦の末、疾風の異名を持つモルさんですら仕留めれなかったアサシンをオレが地べたに押し倒したって言っていた。


「あのときは流石に驚いたというか……少しあんたのことが怖く感じちまった……ゴメン」


 仕方ないよなあんなことしたら……

 でも、軽く凹む。


 既に戦闘の意志がなくなった仰向けに倒れているアサシンにオレは跨がった。


 何を思ったのか大きく刀を振りかぶり抵抗する斬りかかったらしい。


 アサシンは少女のような叫び声を出した。

 その声に反応した人間がいた。

「止めろー!」

「こうじダメー!」


 ララエナと彩菜三尉が叫ぶも我を忘れたオレにはその声が届かなかった。


 だけどオレは何となく無防備になっている人を傷付けちゃいけないような気がして刀を振り下ろした自分の右腕を左手で力を込めて止めた。


 右腕はまるで他人の腕のような気がした。


 必死に止めた。


 自分の右腕に左手の指が食い込み血が出るまで必死に止めた。


 そこに騒ぎを聞きつけたリリエナさんが現れた。


 そこでオレは力尽きて意識を失い倒れてそのままリリエナさんに救護所に連れていかれたらしい。


 それがあの屋敷で起きたことの顛末だ。


 又聞きだから細かい所は違いはあるとは思うけど、自分で自分の腕に指を食い込ませるなんてゾッとするよ。

 今じゃその傷も癒えてるから何ともないけど……



 その後、オレは数日後に目を覚ました。

 リリエナさんの献身的なケアの甲斐もあって、目覚めの一発目のムフフな感触は最高でした。


 ご馳走様です。


 って、最近のオレって欲を抑えられなくなってるな……


 ダメだダメだ。


 これから"領主"になるだ。


「━━それにしても、これも美味なのだが、今日はムートン肉のスープだったはずなのに残念だ……」


 うちの未来のお嫁様は狂暴で献身的で食い意地があるとても綺麗な人である。


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