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タクティクス・コンバット・オブ・オーガ  作者: トビオ
《第5章 ティグラーガ王国》
53/66

第50話 白戦姫とデュエルでマリアージュ?


 今日はなんて善き日であろうか。


 やっとだ。やっと見つかった。


 この日をどれ程待ち望んだことか。


 嬉しい知らせが同時に2つも届くとは、我らが守護神であられる白虎様に願いが届いたのだろう。


 次女の生存と長女の婿候補の発見。


 これ程嬉しいことはない。


 嬉しすぎて涙がでる。


 本来であれば父親とは娘が離れていくことには悲しみを感じるものであるのだろう………しかし、そのような感情は沸いてはこんのだ。


 特に長女だ。


 遡れば、それはそれは苦難の日々であった。


 いくら相手を見つけてこようとも、見合いの場を設けようとも戦を理由にしては土壇場でバックレおる。


 百歩……、いや、千歩譲ってバックレるだけならまだ良い………


 やっと見つけ出した相手を見ては「私より強いことを証明してみせよ」と言って決闘を申込んでは完膚無きまで叩きのめしては破談にさせよる………



 父として悩ましい種であった。



 見てくれは父のわしが見ても男が好むような絵に描いたような美人でスタイルがよい。


 きっと、私ではなく母親の遺伝が強くでたのであろう。次女もそうだ。全くわしの遺伝子はどこに行ったことやら。トホホ。



 初めの内はこちらが探さなくとも縁談の話が飛ぶように舞い込んでおったというのに、その性格が災いしてめっきり縁談の話が来なくなってしまった。


そのような時にグッドタイミングに現れたのだ!


 未来の婿が!


---


 謁見の間。


 玉座程ではないが多岐に渡るとても高価で貴重な装飾品の数々が並べられ外交の際に用いられる国の豊かさ、威厳を相手に知らしめる場所。


 左右に一列に並んでいる兵士がラッパを鳴らす。



「国王様のおなーりー!」


 王様の次くらいか?偉そうなバーコードオヤジが号令をかけたからオレは頭を下げつつ片膝をついてこの世界の作法を実践した。


 まぁこんなもんだろ。


 おなーりーっなんて江戸時代の殿様か?



 国王は王妃と入場するやいなや辺りを見渡した。

 この国を治める一国の王と王妃。

威厳を示すかのように立派な王冠にティアラや高価な物を着飾っているが、流石は王族。


 オーラが違う。


「(ふむふむ、全員そろうとるようだな。おっ!ララエナよ、無事な顔が観れて父は嬉しいぞ。リリエナもしっかりと同席しておる、よいよい。ララエナ、申し訳ないがここは父のワガママに付き合ってもらうぞ。後程きちんと無事な帰還を祝した席はもうけるからな。全てはそなたの姉であるリリエナが婿を取らないのが悪いのだ。許るせ)」


「皆の者、面をあげよ」


 国王の号令でその場にいた全員が起立し国王に顔を向けた。


「(おぅ、こちらは未来の婿の指揮官殿だな。自信に満ち溢れた歴戦の猛者を感じるよい面構えだ。どれどれ未来の婿は━━━━…………………)」



「(何でありますか王様?自分の顔に何かついていますかね?)」


 国王は浩司の顔を見て時が止まった。


 そのまま視線をずらしリリエナを見る。


 リリエナは急かさず視線を反らした。


「(………………)」


 その反応………お前がやったのだな?


 国王はカトレアを見た。


 国王の視線に気が付いたカトレアはそっぽ向き、吹けもしない口笛を吹く仕草をしてごまかそうとしていた。



「(カトレアめ………何が私にお任せくださいだ、誰の目から見てもあきらかじゃ)」


 国王は深い溜め息をはいた。


「━━━そなたがララエナを保護し、そしてリリエナの窮地を救ってくれた者であるか?」


 浩司は急に国王に声を掛けられ戸惑った。


「(確かにララエナをここまで連れてきたのはオレ達だけど、リリエナって誰?………もしやあの狂暴女のことか?確かに助けたと言えば助けた内にはいるのか━━)」


 浩司は一拍置いて答えた。


「ふぁい、じふんでふぉざいまふ」


何だか上手く喋れないな。


まぁ仕方ない。


あんだけ思いっきりボコられたんだからな。


「……………そうか、大義であった。そなたには後程きちんと礼をせねばなるまい━━━皆の者しばし待て。カトレアよ、ちょいとこちらに……」


 謁見最中に呼び出されたカトレアは黒い毛で被われた猫耳をピクンっとさせて、恐る恐る国王の元へ駆け寄った。


「何でありましょうか、国王様」


「何でありましょうかかではないわ、あの顔を見ろ。なぜ未来の婿殿の顔があんなにボコボコに腫れ上がっているのじゃ?」


「あれはですね〜〜〜━━━━リリエナ様がやりました………」


「そんなのはあやつの顔を見ればわかるわ!わしが聞いとるのはどうしてそうなったのかだ!」


「━━━事前に申し上げた"既成事実"を作るため、入浴中の婿殿の所にリリエナ様を投入してあわよくばあの婿殿が手をつけられるかと、あのナイスバディーなスタイルです。ムラムラしない男はいないはず……と、考えたのですが、先に手をつけたのがリリエナ様の方だったようで…………」


「はぁ……あのな、カトレアよ。どんな手段を問わないとわしは確かに申した。だがな、リリエナと幼馴染みのお前なら分かると思うが、そんなやり方では婿殿が殺されても可笑しくはないと思わんか?」


「ま…まぁ━━リリエナ様ならあり得るかと……」


「浅知恵すぎるぞい………」


「もっ申し訳ありません国王様」


 そんなやり取りを隣で聴いていた王妃から意外な提案がされた。


「あらあら、カトレアちゃんはよくやってくれたではありませんか。あとは考えようですわよ貴方」


 自分の大切な嫁入り前の娘を男に襲わせる話を聴いていた母親とは思えない発言であった。


「カローネよ、どういうことじゃ?」


「つまりは既に既成事実は出来上がってますわよ。浴室には裸の二人しか居なかったのでしょ?それであれば中で何があったのか……誰にも分かりませんわ。それにあの子の尻尾を掴んだ時点でアレが適用されますし、どのように転んでも婿様の実力次第では実現できましょ」


「う〜ん………じゃがな、もし…もしも、リリエナが婿殿に勝ってしまっては元も子もない……」


「いいえ、貴方。婿様は必ず勝ちますわ。だって、あの子があんなにソワソワしている姿なんて久しぶりですものリリエナは負けますわフフフフ」

カローネ王妃は扇で口元を隠しながら笑った。



 妙に確信がある王妃のカローネにそこまで言われては断りようがない国王である。


 なら仕方ないじゃろ……ここは予定通りにことを運ぶとするか。


「皆の者、待たせたな。━━先ずはララエナよ、よくぞ無事に戻ってきた。父は再びお前の顔をみれることが出来て嬉しいぞ」


 ララエナはドレスの端を持ち上げ優雅に一礼した。


「私も再びこのティグラーガの地に足を踏入れ、お父様、お母様、お姉様、そして国を支えてくれている民の顔を見ることが出来てとても嬉しく思っております。私、ララエナ・バージルポーン、これまで以上に民の為、ティグラーガ王国の発展の為、精進して参ります」


 スゲーなプリ……じゃなかった、ララエナ。

やっぱり本物のお姫様だったんだな。

家じゃぁあんなに年相応の女の子のようにはしゃいでいたのが懐かしいぜ。

兄ちゃんは嬉しいぞ。


兄ちゃんってのは例えだ。


 間違ってもあの狂暴女と結婚して本当の義兄妹に成りたいって訳じゃないぞ?


 あの女はオレの姉ちゃんと同レベルで口より手が先に出るタイプだ。見切れないほどの速さだ。


 オレはおしとやかでやさしい女性が好きなの!


 いくら王様に頼まれてもあの狂暴女はお断りだね。


「ぅぅ…ララエナ姫様……逞しくなられましたなぅぅ」


涙を流しながら話す年配に国王が応えた。


「これこれ、レグラスよ。父であるわしより先に涙を流すとは"ティグラーガの牙"の名が廃るぞい」


「そうですぞ、レグラス殿。レグラス殿ともあろう方が……最早"守護大臣"の引退を考えたらどうですかな?」


レグラスと呼ばれた年配の獣人は表情を替えた。

「そういうザネンダ執政大臣はララエナ姫様の帰還だというのに涙の1つも流さんとは些か無礼ではないか?」

レグラスはザネンダを睨み付けた。


「そのような事はありません。このザネンダ。ララエナ姫様の無事なご帰還に感極まっておりますゆえ。なにより私は執政大臣として大事な役割を仰せつかっている身。謁見の場において個人の感情など出さないようにしているだけ━━レグラス殿はもっと場をわきまえたほうがよろしいのでは?」


「これこれ、客人の前で"爪"と"牙"がいがみ合うのはよさんか」


「はっ失礼を致しました。」

「はっ失礼を致しました。」


「では、ララエナよ。そなたの儀式であるが再度執り行うのには時間がかかる。その為、執り行ったこととし、本日より公務にあたるがよい」


「はい、お父様。ティグラーガの名に恥じぬよう務めさせて頂きます」


「うむ、よい返事じゃ」


「それでは、お父様。この場を借りて私を保護しここまで護衛してくださった勇敢なる異国の兵士をご紹介したいのですが、よろしいでしょうか?」



「そうであったな。では、此度の我が娘であるララエナの命を救ってくれたそなたらの相談事やらを聞こう」



「では、異界側の者代表である、…オオコシよ申してみろ」


ザネンダ執政大臣の促しにより一歩前にでて、敬礼ではなく右手を胸に当て軽く会釈をした。


「私は日本国から参りました陸上自衛隊、陸上総隊直轄、特殊戦術機械化装甲戦闘大隊の大隊長を仰せつかっている大越と申します。この度は国王様の御尊顔を拝謁でき、まことに嬉しく思うとともに、私の不出来な部下が御迷惑をお掛けしたことをこの場を借りて謝罪いたします。私の指導が行き渡らず、お手間をお掛けしてしまい申し訳ございません」



大越大隊長……オレは何も悪いことはしてませんよ?


部下の命を守って、あの狂暴女だけど、一応他国民を助けた優秀な部下ですよ。


ほら、みんなの顔を観てくださいよ。谷口や彩菜三尉だって無事に生きててよかったって顔に書いてあるぞ。


みんな、オレは無事だぞ!━━━━━顔以外はね。



「よいのじゃ、そなたの部下には二人の娘を助けてもらった恩がある。━━━むしろすまんな、あのような顔にさせてしもうた……」


「いえ、国王様。私の部下にはあれしきで音をあげる者などおりません。どうか、お気になさらず」


「そう言ってくれるなら助かる。それで、相談の話とはどのようなことじゃ?便宜ははかろう」


「はっ、では順を追ってご説明いたします。まずは、日本国に武力を持って侵攻してきたある勢力により我らの国民、兵士に多大な被害がもたらされました。元々我らの世界でも国同士の争いはあり、そのような情勢でも我が国は他国よりも平和を維持していると自負しています。ですが、先程申し上げたある勢力によって我らの平和な土地を土足で踏みにじり、仕舞いには我が国民を拉致したのです。それにより、我が国の首相…国を治める主が敵勢力の殲滅と国民の救出を我ら兵士に命じたのです」


国王は蓄えてもいない髭があるかのように顎をさすり何やら思案している素振りを見せた。


「では、そなたらがこちらの世界に赴いたのはこちら側にその敵勢力が存在し、拉致された国民もこちらに来ていると考えているのだな?」


「その通りでございます」


「なるほどのぉ〜……で、その敵に纏わる情報は今手元にあるじゃろうか?」


大越に促され彩菜三尉がポルータ村で見せた写真をザネンダ執政大臣に手渡した。


「っ!?これは━━絵……ではない?」


「ザネンダよ、見せてみよ」


「はっ」


国王はザネンダより受け取った写真をみて驚きはせず淡々としていた。


「こやつらがそなたらの敵なのだな?」


「はっ、その為には国王様には我々にこの国に駐留するご許可を頂きたいのです」


「オオコシよ、少々無礼であるぞ?我が国はウェルクガイム国王が治める神聖なる地。そのような地に他国の……しかも異世界の軍を置いておくことなどできん!この"紛い者"らは我らの敵でもあるのだ。貴公らの軍なぞに頼らずとも我らの王国騎士団が蹴散らしてくれる。よって貴公らの出番なぞないのだ!」



「(何だか頭デッカチなバーコードだな…)」



う〜む、ザネンダの言葉にも一理はあるが………


このままでは婿殿が帰られてしまう━━引き留めるためには━━━仕方ない。


「リリエナよ、率直に聞く。紛い者らと刃を交えた経験がある者の意見を聞きたいのじゃ。果たして、ザネンダが言うように我が国の王国騎士団で奴ら"紛い者"らと本格的な戦になれば勝ち目はあると思うか?」


その場にいた全員がリリエナを見た。


今から話す内容によってこれからの浩司達の運命が左右される。



「父上…率直に申し上げますと、あの紛い者らが集団で王都に侵攻してきた場合━━━二日と持たずに王都は陥落するでしょう━━」


「なっ!何と言うことを申すか!?リリエナ姫!貴方は白戦姫という立場をお忘れか!?その力があればどれ程の騎士団を相手にしようと無類の強さで敵をねじ伏せて来たではないか!発言の撤回を求めますぞ!」


この場に居た誰もがザネンダの振る舞いに少し不思議に感じていた。



ララエナは誰にも気付かれない程度に溜め息を吐いていた。


「………だから私は謁見の場にはいるべきではないのだ━━レグラス殿」

リリエナもほらみろっというような態度を隠そうともせずにだしていた。


「まぁ、そう言うな」

レグラスは娘をあやすようにやさしく応えた。


「リリエナよ、そなたのその考えに至った訳を聞きたい」


「はい、父上。まずはポルータ村の件です。あの村が襲撃された当日には宮廷守護剣士と術士にララエナの護衛騎士団にオーク憲兵団と十分すぎる兵力が駐在していました。しかし、結果はご存知の通り、勝利とは程遠い結果に終わりました。」


「しかし、貴方は残党を全滅させたと報告書にはあったはず………」


「残党は…です。自分の口で申し上げるにも気が引けますが、私の一太刀であの紛い者を倒すには至りませんでした」


「確かにその報告を聞いたときにはわしも驚いたぞ」


「ですから、私は不本意ではありますが、彼らと共同してことに当たるのが賢明な判断かと存じます」



あの狂暴女。


"白戦姫"なんて呼ばれてるけど……偉いのか?


 まぁ、偉かろうがそうじゃなかろうがあの狂暴女がオレ達に有利な発言してくれるなんてな。意外と冷静に戦況を予想出来る頭は持ってるんだな。



まぁ、すぐ暴力振るうけどな。



「国王様、自分からも1つよろしいでしょうか?」


「うん?申してみよレグラス」


「はっ、まず私は戦姫様と同じ意見であると申し上げます」


「レグラス殿まで!?」


「彼等が着ている鎧に注目されれば分かるでしょう……彼等が身に付けている物は間違いなく"魔導鎧(マジックアーマー)"でしょう。そんな代物は王国騎士団とは言え、そのような貴重な物はそう数が在るわけでもありません。それに見慣れない装備品の数々……我らには理解し難い技術を持っているように感じるのです……彼等は姫様達の命の恩人。しかも、自分等の民を救出にも来ているとなると無下に追い返す理由などありません━━━それに、仮に彼等とこと構えたとなるとそれはそれで新たな火種を作ることにもなり民にまた負担を強いることにも繋がります。そこで、ここは彼等にポルータ村に駐留してもらことでどうでしょうか?……」



 よいぞ、レグラス。


 これで決まりじゃな。


 国王は内心これでもかとガッツポーズをしていた。



「では、オオコシよ。我、ウェルクガイムの名において、貴殿らのポルータ村駐留を許可しよう。そして、自国民の救出と我らの敵でもある"紛い者"との戦にも全面的に協力することを誓おう」


「有り難き言葉、感謝いたします」



やったね大隊長。これで難関を1つクリアだ。


それにしても、大隊長。王様とのやり取りスゲー様になってるし。



浩司はふと一瞬、ララエナと目が合った。

目が合ったララエナは可愛くウィンクしてみせた。



……あぁそうか、ララエナだったんだな。


こっちに来てから、何だかんだで助けていたつもりが助けられていたんだな。


……ありがとう、ララエナ。


王様の話の流れで分かったがララエナはあの狂暴女の妹だったんだな。信じられん。


神様は不公平なんだな。


優しさと可愛さは全てララエナに持っていかれたんだろうな、そうに違いない。


はぁ〜これで無事に謁見も終わることだし、あの狂暴女とはもう関わらないだろう、清々するぜ。



「では、次に、我が娘達の命の恩人であるそなたの名前を教えてくれないか?」


「ふぁ、ほうじと申します」


おっ?……喋りやすくなってきたぞ、やっと腫れが引いてきたか?


「コウジ…ですワ。お父様」


ララエナは一瞬、思わずエリーの口調が出てしまった。


だが、周囲は気にもとめなかった。



「では、む……コウジよ。そなたには返しきれない程の恩がある。それはわしら夫婦にとって大切な娘達の命。……特にリリエナの窮地をその手で救ってくれた功績は大きい。それに見合う礼をしたいと思う━━━━そこでだが………そなたは先の戦いでリリエナの尾を握ったというのは誠か?」



 場内がざわついた。


リリエナは頭のてっぺんから足先まで急に熱を帯びたことを感じた。頭から湯気が出そうである。


そして場内にいた兵士達や役人に大臣らまでが驚愕していた。


"おいおい、マジかよアイツ"

"恐いもの知らずだ"

"知っててやったんじゃないのか?"

"そういう趣味か?"

"外見だけで決めたな、まぁわからんでもない"

"死んだな"

"うん、死んだなアイツ"

"アーメン"



うん?何故にアーメン?


そんなに尻尾を握ったのが不味かったのかな?


でも、そうしなかったら助けられなかったし仕方ないじゃん。


「まぁ、そなたらの世界にはない仕来たりがあっての。む……コウジの行いがそれに該当するのじゃ……それはそれとして━━」



それはそれで次はなんだ?



「………浴場でリリエナと一緒だったとは誠か?」


先程よりも場内がざわついた。ざわつくというよりも、皆、驚きを隠せなかった。


"あの白戦姫に手をつける男がこの世にいるなんて"と、いう全会一致の思いであった。



えっっ??


いや……あの……事故……ですけど?


その言い方はちょっと語弊というか、聞く人によっては誤解が生じますよ王様……



ほら、早速。


谷口

「…先輩、あんなに美人な許嫁達がいるのに……エルフの話は冗談だったのに……タラシですね」


彩菜三尉

「やっぱりアンタはただの鬼畜だったんだな!フン!(少しでも惚れそうになった自分がアホらしい━━)」


西曹長

「まぁ、えぇ━━……」


寺井二曹

「まるでラノベの主人公ですね、ラッキースケベ」


天道技曹

「男女の関係には他人がとやかく言うことじゃないと思ってるんで。隊長、流石です」


楠木三曹

「女……の……敵」


レグラス

「ほぅ、度胸が据わっとる」


ララエナ

「(フフフ、だからお父様は━━これは楽しくなりそう)」



あぁ、皆の言葉が心に刺さるぜ。


「間違いはないのだな?」


国王は改めて語気を強め問い詰めた。


何故なら、もうこの男を逃したら長女は一生結婚が出来ない、逃してたまるかと思っていたからである。



「……………はい」



「よし、決めた!そなた、コウジには娘の命を救った恩に報いて、我が娘であるリリエナとの婚姻を許そうぞ!いや、むしろ婚姻しろ!してくれ!」



はぁ〜……何だって?コイ?コイン?コンイン?


コンインって何だっけ?


………婚……姻………か?



「っえーー!?」

「っえーー!?」


浩司とリリエナは息ピッタリであった。



 事故とはいえ、年頃の女の裸をガン見した罰だと心の中で悔やんだ。


浩司は思った。


神様は見ている……と。



「では、日を改め"決闘"の準備を整えよ」



はい?けけけけ決闘?!?!


婚姻に決闘って!?意味わからんぞ!




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