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タクティクス・コンバット・オブ・オーガ  作者: トビオ
《第2章 新しい火種》
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第14話 少女のロマン

 近々部隊の再編成があると千葉隊長から話があった。何だか新装備が配備されるにあたり名称も変わるという噂が流れている。

と、言うより"独立戦闘大隊"という名前なのに未だに第一戦隊と施設科の後方整備隊の2つしか隊がない状況。

第一戦隊と聞いたら当然第二戦隊もあると普通は思うのにないのだ。

そう、この部隊は奇抜なのだ。なんせ部隊創設の意義が定まってもいない。


まぁ、その噂についてだけど"新装備"と聞いて施設科の整備員が盛り上がっている。彼らはどうして新装備が配備されると確信しているのか。


それは96式装輪装甲車を指揮車両としての能力付加改装が始まったからだ。


普通なら82式指揮通信車で部隊運営はこと足りる。しかも、うちのような小規模戦力には十分なのだ。


しかし、今まさに"96"の改装が行われている。しかも、天道重工から社員が出向しに来ている。これは噂が確信になってもおかしくない。


もしかしたら、イカズチが配備かれるのか?

イカズチが3機編成になれば指揮車両の高性能化が求められるかも……いや、イカズチはレーダー要員もいるんだよなぁ。なら部隊長が直接レーダー要員として同乗すれば問題ないんじゃないかなぁ。うぅ〜ん……わからん。


今、オレは第一戦隊の事務室にいる。

一人一人にPCが支給された。T:AS(タス)の性能評価などの報告レポートをまとめるためだと。オレたちはどんだけ評価試験をするんだ…もしかして、実験部隊的な存在になりかけているんではなかろうか。それなら、いつかはスミルノフ主任がここに出向しに来て色々と新装備のモルモット的な扱いになるんじゃないか…


「何ぶつくさ言ってるんですか先輩」


「いやなぁ今後オレたちの部隊はどんな風になるなかなと考えてたんだ」


「頭動かしてたなら手も動かさないといつまでも今日分の報告レポート終わりませんよ」


「そうだなぁ……なぁ谷口」

カチカチとPCを操作しながら問いかけた。


「何ですか?」


「今オレたちが使ってるT:ASにFMMシステムが付いたじゃんか、アレのデータがあれば報告レポート要らなくないか?」


「先輩……頭いい…」


「だろ?報告レポートは何のために書いてるんだ…」


「ほらほら無駄話してないで、報告レポートまとめろよ」

話しの途中で千葉隊長が入ってきた。


"FMMシステム"


Following・Motion・Memoryシステム


要はオレたちの動きやクセを記録するシステムらしい。


何のため?

わからん。


天才少女が何を考えてこんなシステムをつけたのなんか凡人にはわかりません。


「隊長こそ、報告レポートはまとめたんですか?」


「俺は一番に出来たぞ、その次に寺井と西曹長も提出してきたぞ。あとはお前たちだけだ」


「マジですか」


「はい、隊長出来ました!」


「はい、ご苦労さん」


「谷口お前いつの間に!」


「先輩…口と一緒に手も動かさないと。…時間なんで上がります!これからディナーデートなんで!」


「そうか、楽しんでバッチリキメろよ!」


「キメてきます!」


……君たち、下ネタではないだろうね?

ここにキメられる相手の弟がいるんですけど?

ねぇねぇ親指立ててポーズするのやめてくださいよ。


谷口は姉ちゃんと同棲をしている。毎日出勤した際の表情なんてリア充のようで肌がツヤツヤしていてどことなく寝不足な感じで毎日が楽しいらしい…夜の営みだけではないだろうね?ちゃんと姉ちゃんを幸せにするんだぞ?


「隊長、曹長たちは?」


「おつかいだ」


「おつかい?」


---


陸上総隊直轄の"独立戦闘大隊"が配置されている、この駐屯地には陸上総隊の支部もあり隣には飛行場(民間と共同)もありで充実した設備が比較的多い所だ。あとは、演習場がもっと広ければ尚よしだ。


翌日、見たことない大型の特殊車両が何台も駐屯地の正門から入ってきた。


一台一台警衛隊が確認をとり、駐屯地内に危険物や危険人物をいれない処置を行っている。


オレは出勤前に正門の広報案内センター2階で一服しながら様子を観ていた。

あれらの車両はどこに向かうのか……おっうちの基地じゃないか。

"独立戦闘大隊"の本部隊舎が駐屯地の外れにあり、異様に倉庫も大きく設備が揃っていた。なので、わざわざ駐屯地内のデポに持っていかなくても装備品の整備が出来るのだ。

だから、"基地"とオレは勝手に呼んでいる。


倉庫に行ったら西曹長と寺井二曹が車両から出てきた。


「あれ、曹長たちは何やってるんです?」


「篠崎か、寺井と一緒にな天道重工に"受領"しに行っていた」


「あっ"おつかい"!」


「篠崎二曹、また評価試験やら大変ですよ」


「うわ…」


「そんなに嫌がるな、彼女が泣くぞ?」


「彼女?」


後ろを振り向いたら白衣を着た天才美少女が立っていた。


「皆さん!お久しぶりです!」

マリア・スミルノフが挨拶をした。お辞儀をしたとき、少し栗色のブロンドヘアのポニーテールがわさっとなった。


何か良い匂いがする………


「これからお世話になります!」


……うん?どういう意味?



「おぅおぅ、再会は終わったようだな!」

千葉隊長ど谷口が来た。


「隊長さん!!」

スミルノフ主任はピョンピョン跳ねるように千葉隊長の所へいった。


「やっと!…やっと出来ましたよ!ロマンが!」


「おお!!本当ですか?!」


「えぇ、まだ実験機ですが来年には制式化できますよ!」


「それは凄い!!ワッハッハ」


何だか盛り上がってるなぁ…


「おっと、忘れるところだった。大越大隊長から集合が掛かってるんだ。皆!30分後に会議室に集合!」


---


第二会議室は今の、人員なら丸々入れる大きな

部屋だ。


「篠崎二曹入ります」


「浩司くんおはよう」

先に来ていた美優紀が声をかけてきた。


「篠崎くん、どうあれから?」


「体はピンピンしてます!天道先生ありがとうございました」


「いいえ、医師として当然よ。まぁ、違う部分が"ビンビン"になったら医務室にこんな可愛いナースがいるんだからいつでも来ていいのよ?」


と、美優紀を差し出してくる。軽く美優紀の胸を下から押し上げるように大きさを主張させているようにも見えなくない。……それなりに豊かに育ったんだなとガン見してしまう………着痩せタイプだな。


「先生!!なに言ってるんですか!?」

美優紀の顔が赤くなっていく。


……どうしてうちの隊には下ネタ好きが多いのか…


「こっ浩司くんも黙ってないで何か言ってよバカ!!」


……"バカ!"の発言と同時に平手打ちが飛んで来た。オレは避けるか悩んだ。しかし、恥ずかしがっている美優紀も可愛いし、まだ胸を観ていたら初動が遅れてしまった。


バチん!!



「何やってるんですか先輩?」

谷口の素朴な疑問。


「巻き込み事故だ」


「はぁ?」


「全員気を付け!!」


大越大隊長と山田三尉が入室してきた。


「大隊長にぃ敬礼!」


「休め」


「これより今後の部隊再編について説明する」


いよいよ、イカズチの配備か?


大越大隊長からの言葉は予想外だった。

「まず、第一戦隊の人員は今後2名程補充がある。そして新規の装甲機動兵器の運用を命ずる」


はい?イカズチじゃないと?……もしやあれか!

ロマンのロボか?!


「そして、第二戦隊の設立。こちらはコンバットタンクのイカズチ3機の編成となる」


イカズチは配備されるのか。


「次に第三戦隊の設立。こちらは普通科のT:ASを装着した歩兵戦闘隊である」


T:ASのみの部隊かぁ。


「最後に第四戦隊は部隊の空輸や航空戦力としてヘリコプター団である。これについては今後設立していくことになる」


いきなり大所帯になりますなぁ。


「編成内容についてな以上だ。そして、部隊の主力となる新規装甲機動兵器についてスミルノフ主任から説明をもらう」


「マリア・スミルノフです。私たち天道重工が主軸にTC計画の最終型として開発したイカズチの上位発展型"コンバット・ウォーカー"について説明します……」


彼女の説明は凄かった…さっぱりわからん。

ただ、わかったことは陸上戦闘体系が変わるんじゃないかと思った。

戦車並の戦力がそれなりの機動力で動き、俊敏に敵戦車の砲弾を避けることも出来る。

イカズチと連携したら怖いものなしじゃないか。



「………なので第一戦隊の皆様が使っていたT:ASのデータが重要になってくるのです!先ずは実験機によるデータ収集し、その後に試作試験機を組み立てていきます。なので、第一戦隊と整備の皆様ご協力をお願いします」


うぉーー!!

新装備がきたーーーー!!

ロボだーー!

二足歩行だとスゲー!!

天才少女だ!

可愛いぞーー!


整備員達から歓喜が湧いた。



"コンバット・ウォーカー"

……一体何の為に作ったんだろう。


男達がはしゃいでいる中、可愛い美人ナースが疑問を感じていた。




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