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タクティクス・コンバット・オブ・オーガ  作者: トビオ
《第2章 新しい火種》
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第12話 日常その2

 青年は執務室で待っている。執務室をウロウロしたりデスクに座り、指で机をトントン叩いて待っている。兎に角落ち着きがない。普段の王子らしくない。

「王子たるもの、少し落ち着いたらどうですかな?」

落ち着いた雰囲気を纏った高齢ではあるが未だに現役の執事長を務めるムハドが発した。


「……ムハド、これはな…この国の外交問題より重大なのだぞ…」


「はぁ」

ムハド執事長は気が抜けた声で返事をした。


最近、タルーム王子はシャリーと何かを企てているようです。

ことの発端は多分"アイシェ"が原因でしょう。


あの宮殿襲撃事件では怖い思いをしたのにも関わらずいつも通りのアイシェでいられたのは"篠崎様"の存在が大きかったのでしょう。


襲撃事件後に命の恩人である篠崎様が入院をした際も率先して身の回りの世話を買って出てました。それ事態は特に問題はありません。まぁ、多少何やら問題はあったみたいですが…


アレは私から観てもわかります。


"お慕い申している"っと…


篠崎様達が日本へ帰国した後というもの始めは残っていた宮殿の復旧やら事後処理をしてましたが、徐々に元気がなくなっていったのです。


いつもなら失敗しないようなことを繰り返すようになりました。

これを王子とシャリーが遠目で観ていたのです。二人は向かい合い頷きました。


《アイシェの為に一肌脱ごう》



私は暖かい目で3人を見守ることにしました。


------------------------------------


タルーム王子に仕えているメイドのアイシェです。


最近、自分でいうのもアレですが仕事に身が入らないのです……


仕事柄、王子のお世話と警護に兵団の健康管理とで周囲に"仕事に身が入らないどうしたらいいか?"なんて誰にも相談が出来ないのです。


どうしてこのようになったのか自分でも解らないのですが、きっかけなら判明しました。


"篠崎様"達が帰国していまったことだと……


"篠崎様"が居たときはウキウキワクワクしていて何をするにも楽しくてヤル気がみなぎっていました。篠崎様達が居なくなって宮殿が落ち着きを取り戻してからかなぁ。

何か…そうだなぁ……心にポッカリと穴が空いてしまったような感じ……

何なんだろう……こんな気持ちになるのは初めてで自分でもどうしたらいいかわからないのです。

こんなときはシャリー姉様に相談しようと決心したら何やら外交系の仕事のため出張しちゃってたし……


どうしよぅ……


そんな時、ムハド執事長から声がかかりました。《アイシェを呼んで欲しいと王子が執事室でお待ちです》


はぁ。きちんと仕事をこなさなければ…王子にお叱りを受けるかも…


そんな重い足取りで執務室まで来ました。


「御呼びでしょうかタルーム王子」


執務室に入ると王子とシャリー姉様がいました。

二人の顔をみると何やら企んでいるようです。


「アイシェよ、シャリーと一緒に日本に行ってきなさい」


?………!日本!?


私は心の底からヤル気がみなぎってくるのを感ました。



------------------------------------


やっとこの日が来た。待ちに待ったこの日を!

beautiful・snow・worldのライブ日だ!

ヤッホー!!


例の如く谷口は彼女であるオレの姉ちゃんと温泉旅行だと……大人の男女が温泉旅行ですることは一つ。ヤダヤダ彼女がいる奴はそれしか考えてないんだから……

まぁ、谷口だから許してやる。

でも、あんな女王様気質の姉ちゃんがねぇー。

あんな乙女になってる姿をみると本気の恋愛なんだろう。口より手が先にでる人間があぁも乙女になるとは…何だ谷口にはそんなに魅力があるのか?あるのならその恩恵にあやかりたいもんだ。


今オレは"聖地"に来ている。beautiful・snow・worldが初めて立ったライブハウスに。


入場待ちの人数はざっと1000人はいるだろう。

このライブハウスは改修されて2階にも席があり、今回は立ち見ではなく完全固定席になっている。

まぁ有名になったらファンが前に前にと押し掛けて混乱してしまうから、その予防措置の意味もあるのだろう。


やっと入場が開始された。今時代、チケットの高額転売が問題になっているが、スマホによるQRコードの認証やら電子化チケットなどの対策で転売被害は減少しているようだ。

beautiful・snow・worldのチケットは噂では違法転売価格は10万以上するって聞いたことがある。これが高いのか安いのかはオレにはわからん。なんせチケットを売る気もないし違法転売チケットを買うつもりもない。オレはファンクラブに入いりファンとして筋を通す!


そんな気持ちを持ちながら入場ゲートを通った。


オレはなんて幸運なんだろう。

最前列から5列目!しかも、中央列の中央だ!

もしかしたらユキちゃんと目が合うかもしれない!ヤッホー!!………


でも冷静に考えたらオレって直でユキちゃんと話したことあるんだった…

しかも、beautiful・snow・worldはまだ自衛隊のPRキャラクターの仕事は継続しているのだ。基地に居れば会う機会はまだまだ在る筈だ…………すまんな一般ピーポーのファン諸君よ……別に職権乱用している訳ではないのだよ。


ただ、諸君らより幸運だっただけのこと!!


恨むなよ…


でもやっぱりライブハウスのステージの3人を観るのはライブに来るしかないんだ。


今日は楽しもうではないか!!




ステージが暗転からスポットライトがついた。


照らされているのはbeautiful・snow・worldの3人だ。


ユキちゃんがマイクスタンドを握った。

カッコいい!


「みんな!今夜は眠れない日にしてあげる、覚悟して!」


ウォーー!!

男女の歓喜がハウス全体に響き渡る。


「いくわよ、justice」


アッコちゃんのドラムにリミさんのギターが奏でる音楽が心臓に響く。


♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ユキちゃんの声はやっぱり最高だなぁ。ユキちゃんの声は魂に響く。


オレはこの3人の内2人は素顔を知っているのだ。

アッコちゃんは元気っ子な感じの妹キャラみたいで仕事には全力投球していたな。

リミさんは和服が似合う感じで花道をしている凛とした印象だ。


ユキちゃんはまだ素顔を見ていない。

歌っていないときの声も素敵だけど…

警護中もいつもしている黒いレース状の布1枚の覆面を被っていた。


それでもいい、顔がわからなくてもファンは辞めない。ユキちゃん作詞の歌詞にはいつも心打たれるから。



「次の曲は今日が初披露の新曲よ」


ウォーー!!

やったー!

マジでぇ!

色んな歓声が行き交う。


「この曲は、私達がPRキャラをしている自衛隊の人たちの為に作ったの。彼らは平和を手にするため命を懸けて戦っている。そんな彼らを応援する歌よ。聞いて、Guardian」



♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜


何だろう、凄くジーンとくるものがある。

オレ達が命懸けで戦っているのは本当だ。

未だに戦闘が続いている戦場がある。しかし、今は中東側の主要国と同盟国と和平条約を結ぶまでもう一歩のところまで来ている。


オレ達が戦ってきたことに意味があったんだと改めて実感が湧いてきた。


和平を勝ち取るための戦い。


いつ死んでもおかしくない戦場。


でも何とか帰って来た。部隊に一人も欠員を出すことなく。


Guardianかぁ。いい歌だ。


ヤバい涙がでそうだ………ダメだもう出てた。


これだからbeautiful・snow・worldのファンは辞められない。元々辞めるつもりはこれっぽっちもないが。

これからファンを増やそう。先ずは第一戦隊のメンバーから着実に増やしていこう。こんなありがたい歌を聴かないなんて不届きものはオレが許さん。崇めよ、ユキさまを。


------------------------------------


私、神崎美優紀は自衛官でありながらアイドル活動をしています。今まさにステージで歌っている最中です。


先日、浩司くんからライブに誘われたけど……実家に用事があるなんて嘘なんです。

だって…だって、私がステージで歌うのに観客席に行けるわけないじゃない。


私、神崎美優紀は"beautiful・snow・world"のボーカリスト、ユキなんです。



この前、メンバーのアッコこと"アキちゃん"とリミこと"リンちゃん"に今回のライブに誘われた件を相談したら、

《マジ〜のっしーくるんだ!……でもさぁ相当ニブチンだよね。こんな近くに本物の"ユキちゃん"がいるのに》

《まさに灯台もと暗し》

《二人とも真面目に聞いてよ〜》

《どうやってのっしーにアピールするかってことでしょう?》

《…アレしかない》

《…やっぱりアレだよね》

《アレって…何??》


《《投げキッス》》


《なっなっ投げキッスぅ!?ムリムリムリムリ》

《いやいや、ステージに立った美優紀は別人ですからなー覆面してても投げキッスしたら一発で男はイチコロだよー》

《悩殺》

《……うぅでもやっぱりアピールはしたいし…やるしかない…よね?》

《がんばれー美優紀ー》

《さっそくマネージャーに席を調べてもらうか》


なぁんてやり取りをしてまして……

まさにマネージャーの情報通りに中央列の最前列から5列目にいた。ピッタリだよ。


もう、曲は全て歌い終わっちゃうよぉ。


最後に投げキッスで締めないと…


やるんだ美優紀!出来るぞ美優紀!

浩司くんにアピールするんだもん!

あの人には負けたくない!私だって私の魅力で…魅了させるんだから!


〜〜〜〜〜♪


おっ終わったぁ。よっよし…やるぞー!



「みんな、最後までついてこられたわね。私も今夜は眠れないくらい、いい思い出が出来たわ。また、会いましょう……チュ」


キャーー!ユキさまがキスをー!!

ウォーー!ユキちゃんが投げキッスをしたぞぉ!!



……アレ……何か見間違いかな?オレに指を指してから投げキッスをしてきたような……


気のせいかな?



あわわわわぁ……こっ浩司くんに投げキッスをしちゃったよぉ。

超超超ー恥ずかしかったけど、これで私の魅力をアピール出来たわ!


今度基地で会ったときに私を意識するはず!


……うん?これってユキとしてアピールは出来たけど美優紀としてはアピールにならないよね……



成功したんだか失敗したんだか……




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