表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メタルスワット 最終章  作者: 麻生弘樹
1/1

メタルスワット 最終章

重傷を負ったタツミはすぐさま本部の緊急治療室へと運ばれた。

治療中の四角い看板が赤く点灯する。

シグとアリサはただ、呆然と立ち尽くすだけだった。


「タツミ......、どうか無事でいてください!」

シグは一人呟く。

一方、アリサは

「どうして......?

どうして私なんかの為にタツミは......!!」

一人泣きじゃくるアリサ。

そんなアリサを見たシグはそっとアリサの肩に手を乗せた。

どれくらいの時間が経過したのだろうか

治療中の赤い看板が消え、中からドクターが出てきた。

「タツミの様子は!?」

ドクターはふぅと息を吐くと、

「ご安心を。

どうにか一命は取り戻しました。

ですが、しばらくは安静にしててください。」

シグはドクターに頭を下げた。


別の部屋に移されたタツミはベッドの上に横たわっていた。

マスクを着けておりまだ眠っている。

「タツミ......!」

タツミをシグとアリサは見守るだけだった。

やがて日が暮れ、夜になった。

それでも二人はタツミの側にいた。

しばらく経った後、シグは何が飲み物を買って来ますと伝え、部屋を出て行った。

アリサはタツミの手を握った。

「このバカ......!

私にいつもちょっかい出す癖にあんな時だけカッコつけて......!!」

そしてアリサは

「ねえ......?

聞こえてるんでしょ?

目を覚ましてよ......!!

タツミ!!」

その時

うっすらとタツミが目を覚ました。

「......よ、アリサ。」

と声をかける。

「タツミ......!?」

「どうした?

そんな目を真っ赤にして、俺の為に泣いてくれてるのか?」

と、目覚めて早々アリサをからかう。

「......バカ!!」

「誰があんたの為に泣くのよ......!!

別に心配なんて......してないんだから......!!」

そう言いながらもアリサの目からは涙がボロボロとこぼれていた。

「ごめんな、心配かけちゃったな。」

「良かった......!!

本当に良かった......!!」

次の瞬間、アリサは大声で泣きだした。

そんなアリサを見てタツミは微笑みながら慰めた。

飲み物を買いに行っていたシグも後ろで安堵の表情を見せた。


後日、シグはとアリサは司令室にいた。

「以前、君達が戦ったキングだが、あいつがエイリアンの親玉である事が判明した。

すなわち、このキングを倒せば他のエイリアン達も全滅するはずだ。」

「しかし、奴はとてつもなく強力な相手です。

こちらも何か手を打たなければ......!」

「ああ。

それでだが、これを見てくれ。」

と、司令官はモニターに画面を表示した。

画面にはタツミ、シグ、アリサが映し出されていた。

「君達三人のスワットギアの力を一つにするんだ。

三人の力を一つにする事によって、強力なパワーを得る事が可能だ。

現在、スワットギアは改良中だ。

完成まで待ってくれ。」

「これがあれば、あいつを倒せるんですね。」

「今度こそ負けないんだから!」

しかしだ。と、司令官は伝える。

「このシステムにはかなりの負担が装着者本人にかかる。

更にこの中でその負担に耐えられるのは......。」

と、画面を見る司令官。

シグとアリサも画面を見た。


「タツミはまだ万全ではありません。

どうすれば......。」

「タツミにこれ以上負担をかけるわけには......。」

二人は悩んでいた。


しばらく経ったある日、タツミはすでに退院していた。

そしてシグとアリサの2人から三人の力を一つにするという作戦を聞かされた。

「そうすればあのエイリアンを倒せるんだな!?」

「ですが、そうすればタツミの身体に物凄い負担がかかります。

それはあまりにも危険です。」

「俺の事なら気にするな!

どんなシステムだって、使いこなせてみせる!!」

「タツミ!

そうやって1人で無茶しないで!」

「心配すんなって!

これは俺にしか出来ないことなんだろ?

やるしかないんだ!」

二人は依然、心配だった。


そしてタツミはスワットギア改良の訓練に参加した。

しかしそれはあまりにも、負担が大きかった。

遂には訓練の途中にタツミは意識を失った。

タツミが目を開けると、ベッドの上だった。

側にはシグとアリサがいた。

「タツミ!!」

「......俺は一体......?」

「訓練の途中に意識を失ったんです。

タツミ、この作戦は危険過ぎます。

他の作戦を......。」

するとベッドから起き上がるタツミ。

「心配すんなって言ったろ?

俺がやるしか......!」

「タツミ!!」

と、アリサが呼び止める。

見るとアリサは目から涙を流していた。

「どうして?

どうしてそこまで無茶をするの!?

何でもかんでも自分で背追い込まないで!!」

「アリサ......。」

するとシグは

「タツミ。

私達はチームです。

一人じゃ出来ないことも三人なら出来るはずです。

どうか一人で抱え込まないでください。

お願いです。」

それを聞いたタツミは

「ごめんな、二人とも。

俺、確かに一人で抱え込み過ぎてた。

俺がやるしかないんだって、意地張って......。

周りが全然見えてなかった。」

「タツミは一人じゃありません。

私やアリサがいます。

私達をもっと頼ってください。」

シグの言葉にアリサも頷いた。

「ありがとな。

シグ、アリサ。」

三人は笑顔になった。


スワットギアの改良実験は別の方法を考案する事になり、訓練は一時中止となった。


そんな中、タツミ達三人はアリサの誘いで食堂でスイーツを食べていた。

テーブルの上には色とりどりの美味しそうなスイーツが並んでいた。

「おお......、これは美味そうだ!」

「どれも綺麗に彩られていますね。」

「でしょでしょ!?

さあ、食べましょう!!」

三人は手を合わせて頂きますをした。

フォークでケーキを崩し、口に運ぶ。

「美味いーーー!!」

三人は幸せそのものだった。

「いいなあ、アリサはいつもこんなに美味しいスイーツ食べてるのか?」

「まあねえ〜!

私の唯一の楽しみだから!」

「私もこんなに美味しいスイーツは初めです。

カロリーが気になりますが。」

「確かにな。

太らないように運動もしないとな?」

「わ、分かってるわよ!」

などと話しながら三人は様々なスイーツを食べた。

「所で、例のスワットギア改良実験の事なのですが......」

とここでシグが話し出した。

「どうしたの?

シグ。」

アリサが尋ねる。

「これを見てください。」

と、取り出した端末に画面を表示する。

画面には複雑な計算式が並んでいた。

「何だこれ......?

頭が痛くなりそうだ......。」

「何がなんだか、さっぱり......」

「これは私が独自に編み出した計算でスワットギアを改良した結果です。

この計算ならタツミの負担を減らす事が出来るかもしれません。」

「本当か!?」

「はい。

早速、司令官に掛け合ってみましょう。」

「良かった......!

良かったわね、タツミ。」

安堵の表情を見せるアリサ。

「あれ?

ひょっとしてまた心配してくれてるのか?」

「べ、別にそんなんじゃ!」

顔を赤面させるアリサ。

それを見てタツミは笑う。

「でも、ありがとな。

シグ、アリサ。

これで何とかなりそうだ。」

二人は頷いた。


その後、シグの編み出した計算を用いる事によりスワットギアの改良実験は着々と進んでいった。

そのおかげで、タツミの負担も格段に減り、改良化は進んでいった。

そして遂にスワットギアの改良化が完成した。

司令官はタツミに新たなチェンジカードを渡した。

「これが新たなチェンジカードだ。

しかし、これにはとてつもないパワーを秘めている。

くれぐれも注意してくれ。」

「了解!」

その時、緊急警報が鳴り響いた。

「エリアGにキング、更に多数のエイリアン出現!

人々を襲っています!」

「皆んな、出動だ!!」

三人は頷き、エリアGへと急行した。


エリアGではかなりの数のエイリアンが街を襲い、人々を襲撃していた。

到着した三人はあまりの数に驚きを隠せなかった。

「なんて数なの!?」

「奴らも本気という訳ですね......。」

「とにかく、やるしかない!!」

三人はスワットコマンダーを取り出しチェンジカードを差し込み叫ぶ。

「スワットオン!!」

スワットギアを装着した三人はエイリアンの群れへと向かって行く。

「数は多いが所詮、雑魚の群れだ!

確実に倒すぞ!」

「了解!」

パワードブラスターで確実に一体ずつ倒していく。

「また現れたか、メタルスワット。」

その時キングが3人に襲いかかってきた。

口から火球を放ち三人は吹き飛ばされる。

「ふん、所詮三人で何が出来る!?」

そして他のエイリアン達に奴らを始末しろ!と指示を

出す。

三人は一度引き下がり、物陰に隠れ態勢を立て直す事にした。

「ふう、あれじゃキリがないぜ!」

「これは中々手強いですね......!」

「どうすればいいの......?」

するとタツミが新たなチェンジカードを取り出した。

「これを使うしかないようだな。」

「でもそれを使うにはまだ危険です!」

「やるしかないんだよ!」

「タツミ......!」

「大丈夫。

俺は死なない。

絶対にこの星を守ってみせる!

だから信じてくれ!」

するとアリサは

「......だったら1つ、約束して......?」

「約束?」

アリサは頷く。

「前々から行ってみたいと思ってた美味しいスイーツのお店があるの......。」

「え?」

「この任務が終わったら、一緒に、その......食べに行かない.....?」

そこまで言うとアリサの顔は真っ赤だった。

それを聞いたタツミはふと微笑みアリサの頭に手を乗せ撫でてあげた。

「勿論。

アリサが言うくらいなんだからきっと美味しいんだろうな。」

アリサは小さく頷く。

「分かった。

必ずこの任務を終えて皆んなで食べに行こう!

なあ、シグ?」

しかしシグは

「いいえ。

私に構わず、タツミとアリサのお二人で行ってきてください。」

と、笑みを浮かべた。

「え?

それって、デートって事か?」

アリサは更に顔を赤面させる。

そして

「このバカ!」

とタツミを怒鳴りつけた。

「あんたねえ、どうして乙女心が分からないのよ!?

私が頑張って誘ったのに......!!」

「......ごめん。」

「全くもう!」

するとタツミはアリサの頬っぺたを両手で摘み、いじる。

「ありがとな。

絶対に二人で行こう!」

と、言った。

「約束......だからね......?」

「ああ!」

タツミは大きく頷いた。


「どこへ隠れた?

メタルスワット!!」

「ここだ!」

と、キング達の目の前に現れたタツミ達。

「ほう!

とうとう諦めて降参しに来たか!?」

「悪いが降参する気は無いな。

俺達は何としてでもお前らを倒してこの星を守る!

それだけだ!」

「ふん!戯言を!」

そしてエイリアン達に指示を出す。

「シグ!アリサ!行くぞ!

最後の戦いだ!!」

「了解!!」

タツミは新たなチェンジカードをスワットコマンダーに差し込む。

「スワットオン!!」

タツミの身体に衝撃が走る。

「うっ!!」

「タツミ!」

「心配すんな......!

 俺は、いや!

 俺達でこの星を守って見せる!!

 うおおおおっ!!」

次の瞬間、力を制御する事に成功したタツミの身体に新たなスワットギアが装着された。

白銀に輝くシルバーカラーの新たなスワットギアだ。

「行くぜえ!!」

パワードブラスターを構え、エイリアン達の群れに突入していく。

続いてシグとアリサも向かって行った。


目にも留まらぬ速さでエイリアン達を次々と倒していくタツミ。

それに負けじと二人も一体ずつ倒していく。

「何だ!この力は!?」

キングは口から火球を放った。

しかし、タツミはバリアを出現させ火球を弾いた。

「これが俺達の力だあ!!!」

パワードブラスターにエネルギーをチャージし、放つ。

エイリアン達の群れは瞬時に消滅した。

「残るはお前だけだ!キング!!」

「馬鹿な!?

こんな事、ありえん!!」

エイリアンキングは触手を伸ばし、シグとアリサの首を絞めた。

タツミはすぐさまその触手を破壊した。

「シグ!アリサ!決めるぞ!」

「了解!」

三人はパワードブラスターにエネルギーをチャージする。

「トリプルパワードシュート!!!」

三つのエネルギー弾が一つの巨大なエネルギー弾となり、キングに命中した。

「己えええええ!!!」

大きな断末魔と共にエイリアンキングは爆発した。

「よっしゃーーー!!」

ヘルメットを外した三人は共に喜び合う。

「遂に勝ちましたね!」

「ほんと、夢みたい......!!」

喜び合うなか、タツミは意識を失いその場に倒れた。


タツミが目覚めるとそこは本部内の病院のベッドの上だった。

「タツミ!?」

側にはシグとアリサがいた。

「シグ......

アリサ......」

「良かった......!」

「無事で何よりです。」

「ああ......。

俺は一体?」

「任務の後、急に倒れたんです。

恐らく、テクターギアのパワーの反動が来たんでしょう。」

「ほんと、無茶ばっかり!」

そう言いながらも二人は笑う。

「でも、これで終わったんだな......。」

「はい。

私達の勝利です。」

「勝ったのね、私達。」

三人は喜びで一杯だった。


後日、アリサはうんざりした顔でタツミを待っていた。

約束の時間からすでに一時間も経過している。

「遅い!!!」

ようやくタツミが待ち合わせ場所にやってきた。

「遅すぎるわよ!

一時間も遅刻だなんて!!」

「いや、その......前日の夜緊張して寝付けなかったって言うか.....。」

「緊張?」

「なんか心臓がバクバクして眠れなかったんだよな〜......。」

「タツミ、あんたも緊張する事あるのね......

なんか意外。」

「何だよそれ?」

「別に。

さあ、早く行くわよ!」

「にしてもさ。」

「何よ?」

と、タツミはアリサの姿をまじまじと見つめる。

「な、何よ?」

「アリサって......結構可愛い服着るんだな。」

「か、可愛い!?」

「ああ。

その服、似合ってるぜ。」

瞬時に顔を赤面させるアリサ。

「と、当然でしょ!?

せっかくの......デートなんだから......。」

「何だかんだ言ってアリサも女の子なんだな。」

と言いながら笑うタツミ。

「と、とにかく行くわよ!!」

「はいはい。」


二人が向かったのは人気のスイーツ屋さんだった。

中に入ると店内は多くの女性やカップルで賑わっていた。

席に座り、アリサが食べたいと言っていたスイーツを注文する。

タツミもメニューを見て気になるスイーツを注文した。

しばらくして、頼んだスイーツが運ばれてくる。

「美味しそう〜!!」

早速、フォークでケーキを崩し口に運ぶ。

「んーーー!!」

顔をとろけさせるアリサ。

「本当に好きなんだな。」

そう言いながらケーキを口に運ぶ。

「うん、確かに美味いな!」

「でしょでしょ?」

するとタツミが

「俺のも一口食べるか?」

と、聞いてきた。

「え、いいの?」

「勿論。」

「じゃ、じゃあ、貰おうかしら。」

分かったとタツミは言うとケーキを崩し、フォークでアリサの口に運ぶ。

「え!?」

「ほら、口開けろって。」

一瞬戸惑ったアリサだが恥ずかしそうに口を開けた。

「どう?」

「う、うん......。

美味しい......。」

すると今度はアリサが

「ね、ねえ、私のも食べる......?」

と、聞いてきた。

「いいのか?」

頷くアリサ。

すると同じようにケーキを崩しタツミに差し出す。

「は、はい。」

アリサの顔は真っ赤だった。

そのままパクっと食べるタツミ。

「うーん、美味いな!」

「そ、そう......。」

「ん?

何でそんなに顔を真っ赤にしてるんだ?」

「べ、別に!

何でもない!!」

顔を俯かせるアリサ。

その表情に疑問を覚えるタツミだったが

「でも、ありがとな。」

ふとタツミはそう言った。

「え?」

「今日の事だよ。

こんな美味しいお店誘ってくれて、ありがとな。」

「う、うん!」

二人は笑顔だった。


その後二人は海辺の砂浜に来ていた。

綺麗な夕日が眩しかった。

「綺麗〜!」

「いい夕焼けだな。」

そこでアリサはある事を尋ねた。

「あのさ、タツミ?」

「どうした?」

「......前に私を庇ってタツミが重傷を負った時あったよね?」

「ああ。」

「どうして、助けてくれたの?」

「どうしてって?」

「だ、だって、私はあんなにも、タツミの事チームとしては認めてないとか酷い事言っちゃったのに......!」

「馬鹿だなあ。

決まってるだろ?

仲間だからだよ。」

「......え?」

「お前がどう思うが、俺はアリサやシグの事、仲間だと思ってる。

初めて会った時から大事な仲間なんだよ。

仲間を助けるのは当然だろ?」

「タツミ......!」

するとタツミはアリサの頭の上に手を乗せた。

「これからも俺がアリサを守る。

勿論、シグだって。

だから、これからもよろしくな。

アリサ。」

「う、うん!」

そして二人で笑い合う。

そろそろ帰るかとタツミが歩き出す。

するとアリサが

「でもね!

タツミ!」

「ん?」

と、タツミが振り返った瞬間、アリサは決意を決めて言った。

「私も......!

タツミ達の事、守るから!

絶対に守ってあげるんだから!!」

それを聞いたタツミは大きく頷いた。


しばらくして、三人はとある任務を受けていた。

「こちらタツミ。

目的のビル内へと突入!」

「了解。

任務の無事を祈る。」

「行くぜ、シグ、アリサ!!」

「了解!!」


メタルスワット

それは固い絆で結ばれた三人のチームである。













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ