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毛の勇者、イキる  作者: 矢島 零士
5/6

セレナに告白

 ダンジョンから王宮に戻るまでの間、セレナは明るく振舞っていたけれど、どこか無理しているように感じた。

 セレナは、レッドローチとの遭遇の際に気を失ったことを気にしているのかもしれない。


 夕食後、セレナの私室に呼ばれた。

 僕が入室すると、セレナはすぐに人払いして、二人きりになった途端に謝罪してきた。


「ごめんなさい。私のせいでウスゲを死なせてしまうところだったわ」


「気にしないで、無事だったんだから」


「いいえ、私のミスよ。魔物の前で失神するなんて、言い訳できない」


「キス一つで許してあげるよ」笑って、セレナに言う。もちろん本気ではない。


 すると、セレナは顔を赤らめ、黙って僕を抱きしめ、唇にキスしてきた。

 ありがとうございます。キス、いただきました。


「責任とってくださいね」


 セレナが優しく微笑んだ。


 責任?

 トラップ発動かよ。


 この場合、どうするのが適切なんだろうか。

 土下座する場面ではなさそうだし、結婚申し込みは早すぎる。


 セレナの前で膝を折り、

「セレナ殿下のために頑張ります」と言っておいた。


 セレナの満足する答だったようだ。


 正直言って、セレナのことは好きだが、恋愛感情かどうかは分からない。

 でも、セレナの笑顔を見ていたら、僕に出来ることはしてあげたい気がした。



「ウスゲ、ステータスのことは気にしなくていいのよ」


「……」


「私にはウスゲの本当のステータスは見えないけど、ステータスを隠していることは分かるの」


「セレナ…」


「私だって、王女としては落ちこぼれだった。普通、王族は最初からレベル5の才能を持ってるんだけど、私はオール1だったの。追いつくため、必死に努力した。だから、ウスゲが努力しているの姿を見て、友達になりたいと思った。そして、いつのまにか好きになっていたの」


 まずい。

 僕は冷静に行動するようにしているが、本当は感情的な人間だ。

 今、猛烈に感動している。

 セレナには、僕の本当のステータスを教えてもいい。そんな気持ちになってきた。



「セレナ、僕の本当のステータスを見せるよ」


「勇者だったのね!」


「才能は変だけどね」


「他の人には秘密にしておきたいのね」


「ああ、そうしてくれると助かる」


 セレナは秘密を守ると約束した。名に懸けて誓ってくれたので、約束は守ってくれるだろう。



 その後、セレナに僕の才能の使い方を説明すると、セレナは感心していた。


「ウスゲ、才能も素晴らしいわ。秘密にしなくてもいいんじゃない?」


 僕はセレナに、ウスゲが薄毛を意味することを伝えた。


「一緒に王国に召喚された連中には、絶対に知られたくないんだよ」


 セレナは納得した。



 現在の僕の主なステータスは以下の通り。



  名前: 臼井健(ウスイ ケン)

  種族: 人間

  性別: 男


  称号: 勇者 レベル3

  才能: 『高速育毛』『高速脱毛』『毛根移動』『毛質変換』『毛操作』

      『ステータス隠蔽』『言語翻訳』

  技能: 『剣技 レベル4』『身体強化魔法 レベル2』

      『鑑定 レベル1』『火魔法 レベル2』

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