女神セレスティーナ
僕は書庫に向かっていた。
この王宮には4ヶ所書庫がある。
第一・第二・第三書庫はよく王族や貴族が使うのでそこは避けて第四書庫に行こうと思う。
噂で聞いたのだがなんでも第四書庫は使用者がいないみたいだ。
理由はわからなかったが何かあるのだろうか?
まぁ僕としてはありがたい。他の貴族には会いたくないし。王族なんてもっての他だ。
そして僕は書庫に着いた。
道中にいろんな人とすれ違った。
ほとんどの人は見向きもせずすれ違ったが一人だけびっくりした顔をしてじっとこちらを見てくる人がいた。
背が高めの男性で体ががっしりしていた。軍の人だろうか?
僕もしっかり鍛えてあのような体になりたいとひそかに思った。
その人のことは少し気になったがそのまま書庫に向かった。
いざ書庫の扉を開けようと思うと少し緊張した。
しかしこの行動がこれからの人生の第一歩になるんだと思い胃を決して扉を開けた。
中を見渡すと書庫だけあってたくさんの本が並んでいて、部屋はそこまで広くはないが様々なジャンルの本が並んでいた。
奥には本を読むためだろう。机と椅子が並んでいた。人影は見当たらなかった。少し安心した。やはり今までの事があり対人恐怖症になりかけていたのかもしれない。
治していかないといけないんだが情けないが今はちょっと後回しにしたい。まだその段階ではない気がする。
さて何から勉強しようか?
マアサの紹介で先生が決まるかも知れないから基礎を固めておくのが無難かなと思った。前世の記憶がある僕は知識としては結構あると思う。
病院暮らしが長かったからよく本も読んだし勉強もした。
まずは王国の成り立ちを勉強しようと王国建国史を読むことにした。
本を読みながらこの国について考えた。
この国はセレスティーナという女神を信仰しているみたいだ。
なんでも建国前に大きな争いがあった。何千何万という死者が出て争いはこの大陸全土を巻き込んで泥沼化していったそうだ。
そんな中一人の女性が立ち上がった。たくさんの民衆たちをまとめあげついには争いをおさめることが出来たそうだ。戦争終結後焼け野原となったこのあたりにセレスティーナを中心に国を起こし彼女が初代女王として君臨した。
その当時から民族の彼女への信仰はすごく国名をセレスティーナ王国にしようと言う声が多かったらしいが、彼女がそれを固辞して今の国名になったそうだ。
彼女の死後も信仰はおさまるどころか膨れあがり国の守り神として祀られることとなった。
今の王族は彼女の血を引いている。なので民衆の王族に対する印象はすごくいい。
僕はワクワクしていた。国の成り立ちを知り自分自身にもセレスティーナ様の血が入っているんだと思うと、国民のために頑張らないといけないと思った。
そういう思いにふけっていると、突然床の方からガタガタという音が聞こえてきた。
何事だと音のする方を見ていると、その床から人が出てきたのだった。