王宮の争い
忘れられた王子というのは僕の今の微妙な立場を表している言葉である。
第一王子のクライブ様は今年で13歳、第二王子のメルクリオ様は11歳。
我が国では国王継承は長子継承ではなく一番優秀である子供が継ぐことになっている。
長子が二十歳迎えた時、国王が王太子を決めることになっている。
その法律が今、この王宮全体を巻き込んで争いの火種になっているのだ。
クライブ様は小さい頃から武力に優れていたがすぐに頭に血が上るタイプで頭の方はからっきしだ。
対してメルクリオ様は小さい頃から神童といわれるほど勉学が優秀であった。しかし運動が苦手なようでほとんど外には出ないみたいだ。
このように正反対の二人の性格も原因になっている。
どちらも文武のどちらかが欠如している。
王妃様の公爵家も二妃様の侯爵家も当主は二人とも王宮で重要な立場にある大臣である。
その事から第一王子を王太子にと推す第一王子派と第二王子を推す第二王子派が存在している。
他にも文武どちらかに難がある二人の王子の成長を見守る中立派も存在している。
第三王子派はないのかと思われるかもしれないが、母の実家は商家上がりの男爵家、この争いに加われるほど権力もなく男爵家も母にも野心が全くないのだ。
そのため僕は二人の王子の邪魔にならないように小さい頃から王宮では忘れられた存在であり、好き好んで構う者も要るわけもなく、最低限の生活と最低限の教育しか施されてこなかったのである。