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ボクの影はボクになりつつありボクは新しいボクになる。

作者: Ayaka

          ボクの影はボクになりつつありボクは新しいボクになる。

                     

ボク、夜能 孝 (やのう  こう)は毎日が同じような日々で、何も変わらない。

高校1年生なのだが、学校でも目立たないようにし、いつも感情を表に出さない。

そんなある日、学校から帰宅し部屋にこもっていると、いきなり背後からボクの声がした。

「ねぇ。楽しい?」

声も出ない。今日は誰も家にいないはず。ボク以外誰も。なのに人の声がする。しかも僕に似た声。

「似た声なんかじゃないよ。一緒なんだよ。」

「…!」

怖い。怖くて後ろを向けない。どうしよう?

「…ボクが怖い?後ろ向けないのなら、ボクがそっちへ行ってあげる。」

そしてボクと同じ格好のボクが前へやってきた。本当にボクだった。

「疑ってたの?ひどいなぁ。まあ君だよ、なんてボクは言ってないけどね。」

ボクじゃないの?じゃあ、いったい?

「影だよ。君の、影。そして君の事は何でも知ってるよ。同じ存在なんだから。」

さっきからボクは一言もしゃべっていないのに、どうしてわかる?いいたいことが何で分かるの?

ふしぎすぎて困惑する。

「おっと。ゴメンゴメン。ついつい心を読んじゃうんだよね。同じ存在だと、君が何を考えているか、

よーっくわかるんだよねぇ。」

「ぼ、ボクはわかってないじゃないか。嘘をつくなよ。」

ボクが喋ると影の柔らかい表情は険しくなり、恐怖の顔へと豹変した。

「嘘なんていってないさ。君には出来ないだけ。あんまりボクを笑わせないでよ。」

殺気に満ちた声で、影はそういいボクは背筋が凍りつくような感じがした。

でも、ボクは揺るがない。

「そ、そういえば!楽しいってなにさ!何のこといってるかわ、わからないよ!」

恐怖を感じながらも自分の口で直接言いたいため影に言った。すると

「全てさ。君は毎日をなんとなく過ごしているだろう?自分が存在しているありがたみも分からないでさあ。」

「。。。」

確かにそうだ。毎日、なんとなく過ごしている。そして何をすればいいかも分からずに毎日が過ぎ去っている。

「だから、ボクが君の変わりに毎日の過ごし方を教えてあげるんだよ。」

毎日の、過ごし方。それはどんな過ごし方なんだろう?そもそも影を信じていいのだろうか?

いわゆる、ドッペルゲンガー…とでもいうやつなのではないだろうか?

「YesかNoかは君が決める。だから過ごし方を教えるための方法をまず教えてあげるよ。

...まず、ボクが君の変わりに学校へ行く。そして君の学校での存在位置をかえる。

次の日に君が学校へ行き、毎日の過ごし方を変えるってわけさ。まあ、これ以上に何もしないから

何も無いんだけどね。…どう?やってみないかい?」

ボクは少し考えた。このままの毎日がなくなる代わりに、新しい毎日が出来るのなら...。

「やってみるよ。まだ良く分からないところがあるけど、なんとなく過ごすのよりはいいと思うし。」

「そうかい。わかったよ。」

一瞬、影の口元が少しニヤ付いたように見えた。



影が学校へ行くとその日からなぜかボクは人気者になっていた。

「なあなあ、夜能んち今日いってもいい?」

「夜能君、今日の授業よく分からなかったから教えてー」

「夜能くん」

「夜能」

「孝くん」

「夜能孝。」

…影は一体何をしたんだ。つかれる。


「ただいま。」

「やあ、どうっだった?」

「何したのさ、ボクの周りにみんなが来るから驚いたよ。

疲れたあ。明日は悪いけど、君がいってくれないかい?」

「ああいいよ。」

 

気づくとボクは、影に何でも頼んでしまうようになっていた。


「影って何でも出来るんだね。体力テストの結果すごいよ」

「それほどでもないね。明日も学校いっていいかい?」

「ああ。いいに決まってる。ついでに宿題やっといて。」

「まかせて」


はじめの殺気に満ちていた影は無くなり、ボクよりもボクらしい影になっていた。

このときくらいだ。違和感を感じ始めたのは。

ボクが言うと影がやってくれてたのに、いつの間にか影は自分でやってくれている。

そしてボクよりも学校へ行きたがって、家族ともボクより親しくなっていて。

いつの間にか、ボクの存在価値が前よりもなくなっていた。

それにボクは気づいていなかった。


「なあ、また母さんからおこづかいもらったのかい?」

「ああ。テストの成績が良かったからね。」

今日も影のおかげでいい事が起きた。

そこでなぜか影はにやりと笑った。そしてボクがうっすらと消えかかって、

影がボクになってる。

「ハハハ。影が光よりも存在していたら、光になるんだ。」

「じゃあ、ボクは。。。」

「消える。ふふふ。ハハハハハ」

いやだ!いやだ!

「影!存在を返して!ヤダよ…。」

「今度は君の番だよ。誰かを救ってやるんだよ。ね?」

そこでボクは影になった。影はボクになった。

器をください。誰か!

そこである少女がこういった。


「学校だるいよー。だれか私の代わりしてくれないかなー」

「無理だよ~。がんばろう?」

「無理無理!私の代わりほしい!」

ボクの姿が少女になった。

そういうことか…。ボクは新しいボクになるのか。

いや、私だね。


「どうもこんにちは。君の分身だよ。」

                       END


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