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Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます  作者: 銀翼のぞみ
第一章

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34話 副隊長の実力

「あの……本当にいいのでしょうか? わたしなんかが馬車の中でゆっくりしてるなんて……」


 馬車の中、アリアが遠慮がちに声をあげる。

 なぜなら、馬車の御者をあろうことか、隊長であり貴族でもあるセドリックが行なっており、あたりの警戒をハワードとダニーがそれぞれ予備の馬で行なっているからだ。


 広い馬車内にはアリアとタマにヴァルカン、それにビキニアーマー2人組のケニーとマリエッタのみである。


「いいんだよ、アリア。警戒任務は交代制だし、隊長はアレ(・・)だからね」

「ほんと、イケメンなのにもったいないのですぅ」


 アリアの問いに、ケニーとマリエッタが呆れた様子で答える。

 呆れの対象はアリアではなく、隊長のセドリックに向けてのものだ。


 アリアもヴァルカンも馬の操作や、馬車の走らせ方には覚えがあった。

 御者台に乗り込もうとするセドリックを見て、慌てて止めたのだが……


「あははっ、気にしないでいいよ2人とも。僕は外がいいんだ。女性と狭い空間で同じ空気を吸うとか、耐えられないからね☆」


 ……と、セドリックはイケメンスマイルで爽やかに言ってのけた。


 どうやら、そっちの気があるだけではなく、女性そのものが苦手らしい。

 すれ違えばどんな女も振り返る容姿を持っているというのに……マリエッタの言うとおり、実にもったいない。


「ところでマリエッタ、そろそろ代わってくれよ」

「何言ってるのですケニー、さっき代わってもらったばかりなのですぅ」


 ケニーとマリエッタがそんなやりとりを交わす。

 見ればマリエッタのビキニアーマーから覗いた胸にはタマが抱かれている。

 先ほどから、この2人は、可愛らしいタマの抱っこ権を取り合っているのだ。


 タマはタマで、ケニーとマリエッタの素肌から伝わってくる温もりが心地よく意識も朧げだ。

 おまけに、2人とも桃サイズくらいに実っており、馬車の揺れとともにポヨポヨとした感触に襲われるのだから、心地よさに拍車がかかる。


「はぁんっ……タマを抱っこするのも好きですが、抱っこされているタマを見るのも最高に萌えますっ」


(んにゃ〜。ほんと、アリアちゃんはタマちゃんが好きにゃね。まぁ、ただでさえケモナーなのに、命まで救われたなら気持ちは分からなくないにゃ)


 気持ち良さそうにマリエッタに抱かれるタマを、恍惚とした表情で見つめるアリアに、ヴァルカンはそんな感想を抱く。


 そんな時だった――


「んにゃ? 馬車が止まったにゃ」

「もしかして、モンスターでしょうか?」


 ピタリと止まった馬車に、ヴァルカンは外していたガントレットに。

 アリアは腰のナイフへと手を伸ばす。

 街道でモンスターに遭遇するというのは日常茶飯事だ。


「みんな、オークの群れだ。けど、そのままでいい。ダニー!」

「あいよ隊長!」


 御者台から馬車の中へと声をかけるセドリック。

 予想どおり、モンスターと遭遇したようだ。

 だが、セドリックはアリアとヴァルカンを制し、ダニーへと指示を飛ばす。


 アリアとヴァルカンが窓から外を見る。

 するとオークが数体、こちらへ駆けてくるのが確認できた。


「おら、こっちだ豚ども!!」


 馬から飛び降りながら、オークたちに向かって挑発の声をあげるダニー。

 オークは馬鹿だが、ある程度の知能はある。

 挑発されたことに怒り、ダニーに殺到する。


「ははっ、相変わらず単純だなっと!」


 囲まれる形となったダニー。

 だが、彼は助走をつけスライディング。

 そのまま一体のオークの股下をすり抜ける。


 ぐらり……


 オークの体が揺れる。かと思った瞬間、「ブヒィィィィ!!??」という絶叫をあげ、その場に崩れ落ちた。よく見れば、片脚が離れ離れになっている。


 対し、ダニーの手には血のついた長剣が握られている。

 どうやら、すり抜けざまにオークの脚を斬り飛ばしたようだ。


「すごいです! あんな芸当……何かのスキルですか?」

「ははっ、何言ってんだいアリア。ダニーはスキルなんて使ってないよ」


 回避と攻撃を兼ねたダニーの早技に、思わず声をあげるアリア。

 だが、そんなアリアにケニーは軽く笑う。


 そんな中、崩れ落ちたオークにトドメを刺すと、今度はダニーから仕掛ける。


 まずは前へとステップ。

 軽くステップしたように見えるが、その距離はかなりのものだ。

 あっという間に距離を詰められ、オークが驚きの声をあげる。


「あらよっ……と!!」


 するとダニーはその場で回転跳躍。

 オークの上を飛び越えていく。


 スパンッ!!


 そして、響く乾いた音。


 ダニーがスタッと着地すると――ボトリ……

 二体のオークの首が地面に転がり落ちた。


 今度はアリアの目にもしっかりと見えていた。

 空中ですれ違う時、ダニーが回転斬りでオークの頭を落とした瞬間を。


 残りは二体――


 一体が棍棒を振り上げ、ダニーへと振り下ろしてくる。


「おせーんだよ」


 だが、ダニーは緊張感のない口調で言うと、スッと半身を反らし棍棒を回避。

 空振りバランスを崩したオークの脚を蹴りつけ、転ばせると――ドスッと背中から心臓まで貫いた。


 その背後から残りのオークが襲いかかるが、その時にはダニーは剣を引き抜いていた。

 背中越しに柄でオークの鳩尾を強打し、怯んだ隙に半回転。

 胴体を横一文字に刎ね飛ばしてみせた。


「すごいです……。これが副隊長の実力……!」

「んにゃ、さすが英雄の1人にゃ!」


 ダニーの実力に、アリアもヴァルカンも思わず感嘆の声をあげる。


(ふむ、スキルも無しでオークの腹を真っ二つとは。おまけにあれだけ動き回って息ひとつあげておらん……。魔神の黄昏(ラグナロク)を生き残っただけのことはある)


 何事もなかったかのように馬のもとへと戻っていくダニーに。

 同じ騎士であったタマも、心から感心する。


(これは他の騎士たちの戦う姿も楽しみだ!)

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