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Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます  作者: 銀翼のぞみ
第六章

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212話 ダークエルフメイドの力の片鱗

 皆でギルドへと。


「んにゃ〜! 待ってたにゃよ!」


 お、どうやらヴァルカン嬢は先に着いていたようだ。


「おはようございます。ヴァルカンさん。良さそうなクエストありそうですかね?」

「アリアちゃん、どうやら今日は迷宮関連のクエストはあんまり良さそうなのがないんにゃよね〜」


 む、珍しいこともあったものだ。


 どれ、掲示板を覗いてみるか。

 ゴブリン討伐、スライム討伐、薬草の採取……

 なるほど、確かにご主人たちに見合うクエストはなさそうだな。


「アリアちゃん、みんなおはよう〜♪」

「アナさん、おはようございます!」

「今日はクエスト微妙な感じでしょう?」

「そうですね……。どれも大切な依頼だとは思うのですが……」

「ふふっ、そう言うと思ってたった今舞い込んだクエストを紹介するわん♪」


 む、何やらアナ殿が羊皮紙を取り出してきたな。


「盗賊団の討伐クエストですか」

「そうなの。最近被害が多くてね、ようやく騎士団が拠点を掴んだの。今回は騎士たちに同行して一緒にその討伐をお願いしたいのよ」

「アナさん。盗賊団ってそんなに大規模な組織なのにゃん? この都市の騎士団が冒険者に同行を依頼するなんて珍しいにゃん」

「ヴァルカンちゃん、規模もそれなりに大きいんだけど……リーサルバイトって聞いたことないかしら?」

「あ〜! 確か強力なスキルを持つ構成員が多くて厄介て聞いたことがあるような気がするにゃ!」

「そうなの、噂では元Aランク冒険者が複数人所属しているとか、あとは魔族とも繋がりがあるとか……」


 盗賊落ちした上級冒険者、さらには魔族、か……

 なんだかまたきな臭い話になってきたな。


「それに今は騎士団、その中でもセドリックちゃんの率いる隊のメンバーが彼を含めて出払っているらしいのよん」

「なるほど。人員不足もあって、ということですね」

「その通りよ、アリアちゃん。ところで……そちらのダークエルフちゃんは新しいメンバーかしらん?」

「あ、紹介しますね、アナさん。彼女はシャロさん、今日からパーティに加わった新たなメンバーです」

「よろしくお願いいたします。アナ様」

「うふふ、こちらこそよろしくねん☆ ……それにしても、気のせいかしら? シャロちゃんに見覚えある気がするんだけど……?」

「……恐らく気のせいかと。私はこの都市に来るのは今回が始めてですので」

「あら、それなら本当に気のせいかもしれないわね。ごめんあそばせ♪」


 ふむ、シャロが返答するのに何やら絶妙な間があったが……

 まぁいいか。


「それにしても盗賊団ですか。それくらいの相手ならいい運動になりそうですね」


 おお! シャロよ、やはり強気であるな。

 頼もしい限りだ。


「わかりました。クエストを引き受けます」

「アリアちゃん。あなたまた報酬も聞かずに……もうっ、本当に優しいんだから。それじゃあさっそく騎士団に迎えを寄越すように連絡をしておくわね」

「それには及ばないよ、アナさん」


 む? 何やら聞き覚えのある声が。


 声のした方に振り返ると……

 おお、ケニー嬢ではないか。

 それにマリエッタ嬢もおる。


 なるほど、今回はこの二人に同行するわけだな。


「悪いね、アリア、それにみんなも」

「また力をお借りしますですぅ〜」

「ケニーさん、マリエッタさん、またご一緒できて嬉しいです!」


 うむ、ご主人の言う通り。

 もはや彼女らは四魔族ヴァサーゴとその配下を相手にともに戦った戦友。

 我輩もまた一緒に戦うことができて嬉しいのである。


「とりあえず出発しよう! 万一にもリーサルバイトが拠点を移す前にね」

「細かい内容は道中でお話しするのですぅ〜」


 ◆


 都市から馬車で数時間――

 我輩たちは嘆きの森と呼ばれる場所の入り口までやってきた。


 まさかこのような場所に盗賊団が潜んでいようとは。

 森の中はモンスターだらけのはずなのに、命知らずなヤツら……

 というか、それらをものともしないほどに強力なメンバーで構成されているということか。

 これは気を引き締めねば……!


「ケニー様、一つ提案があります」

「ん? どうしたんだい、シャロ?」

「私がスキルで木々を……そうですね、百本ほど薙ぎ倒しても良いでしょうか? そうすれば森林の中のモンスターも一部ではありますが倒せますし、騒ぎを聞きつけた盗賊団たちを炙り出せると思うのです」

「……? え、待ってくれ。スキルで木を百本薙ぎ倒す??」

「こ、このメイドさん恐ろしいこと言っているのですぅ〜!」


 ケニー嬢とマリエッタ嬢がドン引いておる。

 まぁ、それは我輩を始めご主人たちも同様であるが……


「え、えっと……本当にそんなことができるならお願いするよ」

「かしこまりました。来なさい……ロンギヌスの牙よ――」


 おお、シャロが何もない空間から身の丈を超えるほどの戦斧を取り出したぞ。

 アーティファクト……ではないようだが、それに匹敵するかのような波動のようなものを感じる。


「それでは……《ディザスター・スラッシュ》!!」


 掛け声をともに戦斧――ロンギヌスの牙とやらを横薙ぎに振るうシャロ。


 ゴォォォォウ――ッッッッ!!


 凄まじい音、それに風圧が吹き荒れる。


 なんと! 宣言通り木々が薙ぎ倒されていくではないか。


「と、とんでもないスキルですね……」

「あんな攻撃けたら無事では済まない――というか、これで本気の装備じゃないとか恐ろしいのだ……」


 ご主人、それにステラまでもが引きつった表情を。

 シャロよ、このような強さを持っていながら我輩のメイドをしているなど間違っておるぞ……。


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