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Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます  作者: 銀翼のぞみ
第一章

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18話 武具店ヴァルカンズ

 “武具店ヴァルカンズ”――


 迷宮都市の商業区の片隅に店を構える、冒険者ご用達の武具店。

 武具の見た目は無骨なものが多いが、価格は安く。使いやすさや性能に定評のある店だ。


 そんなヴァルカンズに、今日も客が足を運ぶ。


「にゃ〜! いらっしゃいにゃ〜!」


 入り口の扉が開かれると。

 店の奥から元気な声とともに、1人の少女が現れる。


 少々幼く感じる……いわゆる、ロリ顔。

 色の濃い金色のショートヘア。

 その上からは同じ色の猫のような耳が生えている。

 肌の色は小麦色。

 素肌の上にオーバーオールと前掛けのみと、なんとも際どい格好をしている。

 胸もなかなかに実っており、谷間に横乳、健康的な腋と……小麦肌が大サービスだ。


 そんな彼女の名は、“ヴァルカン”。

 虎耳族と呼ばれる亜人の1つで、こう見えて、この武具店ヴァルカンズの女主人だ。


「おはようございます。ヴァルカンさん。午後に店にいるなんて珍しいですね。今日は迷宮へは行かないのですか?」


 鈴の鳴るような声で、ヴァルカンへと話しかけるのは……


 砂金のように輝くプラチナブロンド。

 その横から覗くエルフ耳と、透き通ったアイスブルーの瞳。

 胸はこれでもかというほどに実っており、その胸には、ちょこんと小さく収まる小動物が一匹……


 もちろん、アリアとタマだ。


「んにゃ〜、アリアちゃん。今日は臨時の鍛冶依頼が入ったから、冒険者稼業はお休みにゃん。でも、それもさっき終わったから……このあと迷宮に潜ろうかにゃ〜?」


 そう答えるヴァルカン。

 よく見れば、胸もとには“銀のタグ”が下げられている。

 ヴァルカンは、鍛冶士でありながら、Cランクの冒険者でもあるのだ。


 鍛冶士の中には、自ら迷宮へと赴き、ある程度であれば素材を調達する者もいる。

 ヴァルカンもその内の1人というワケである。


「ところでアリアちゃんは、今日も武器のメンテで寄ったにゃ? それに、その猫は……」

「はい。昨日のクエストでナイフの切れ味が落ちてしまったので。それで、この子はタマ。昨日からわたしのペットになったエレメンタルキャットの赤ちゃんです」


 用件を告げると、自慢げにタマを紹介するアリア。

 今言ったとおり、今日はアリアのナイフのメンテに来たワケである。

 午後になった理由は、昨日飲み過ぎて、午前中はダウンしていたからだ。


「にゃ〜! エレメンタルキャットなんて珍しいにゃ! アリアちゃん、抱っこしてもいいにゃか?」

「もちろんです。タマ、この人は、いつも武器のことでお世話になっているヴァルカンさんです。引っ掻いたりしたらダメですよ?」


 タマを見て、どこかソワソワしていた様子のヴァルカン。

 エレメンタルキャットと聞いた瞬間、抱っこさせてほしいとねだってきた。

 アリアは笑顔でそれを快諾すると、タマに注意を促しながら、ヴァルカンの胸もとへと渡す。


 タマは、もちろんだ。

 といった様子で、「にゃ〜ん」と鳴く。


 どうやらヴァルカンとアリアは親しい様子。

 であれば、自分も仲良くしておくべきだろう。

 それに、タマが攻撃するのはアリアに色目を使い、害となるゲスどもだけなのだ。


 ポヨンっ。


 ヴァルカンの胸に抱っこされると。

 タマの体が小さく弾む。


 アリアほどではないが、じゅうぶんに巨乳。

 弾力と柔らかさ……そして、オーバーオールから露出した胸から、体温がダイレクトに伝わり、非常に心地よい。


「にゃ〜大人しくて、可愛いにゃん!」

「ですよね! こんなに可愛い子猫ちゃんがペットになってくれるなんて、夢みたいです」


(夢みたいなのは我が輩のほうだ。ご主人のような高潔な娘に拾われ、甘やかされ放題……感謝してもしきれん)


 ヴァルカンに抱かれ、あやされつつも。

 タマは改めて、アリアへと感謝の念を抱く。

 それと同時に……


(それにしても、なんと心地よい空間だろうか。清楚な見た目のエルフなご主人、そして活発系獣人娘のヴァルカン嬢……2人の美少女が仲睦まじく会話をしているだけでも眼福だというのに、我が輩はそんな美少女2人に代わる代わる抱擁され、こうして柔らかな感触に包まれている……)


 夢のような状況に。

 いやらしい感情を抱く以前に、タマは感動すら覚えるのだった。


「ところでヴァルカンさん。ひとつ相談があるのですが……」


 タマがヴァルカンの柔らかさを堪能していると。

 思い出したようにアリアが話し始めた。


「どうしたにゃん?」

「実はこの子の……タマの専用防具を作ってもらえないかと思いまして」

「猫専用って……ああ、そういうことにゃか! エレメンタルキャットのこの子と一緒に、冒険者活動をするつもりにゃん?」

「はいっ、そのとおりです!」


 アリアの目的はもうひとつあった。

 それは、タマの専用防具の作成依頼だ。


 アリアは、今後もタマが自分を守るために、クエストについてきてしまうだろうと理解していた。ならば、少しでも危険を減らそうと、タマの体を守る防具を拵えようと考えたのだ。


 現に、この世界には動物と絆を繋ぎ、ともに戦う冒険者も存在する。

 そして、パートナーである動物を守るために、動きを阻害しない程度の防具を身につけさせる例もあるのだ。


(ご主人! 我が輩のことをそこまで……!!)


 アリアの自分を思う気持ちに。

 タマは、またもや心打たれる。


 そして、これはありがたかった。

 アリアのペット(騎士)になることに成功したタマだったが、エレメンタルキャットと勘違いされてしまったがために、せっかく手に入れた多くのスキルも、アリアの前で使えるのは属性魔法スキルだけになってしまった。


 となれば、防御スキルである《アイアンボディ》を使うこともできず、アリアを庇い、盾となることができないというわけだ。


 しかし、防具があれば話は別。

 騎士として、主人の盾となる役目は果たせるだろう。


 まぁ、いざとなればその限りではないが……


「動物専用装備……作ったことはにゃいけど、面白そうにゃん! とすれば、この子は育ち盛りだし、“サイズ調整魔法”が必要にゃん。それに、造形は……」


 アリアの要望を聞き。

 ヴァルカンが必要事項を近くに置いてあった羊皮紙に書き込んでいく。


 ヴァルカンの試行錯誤は遅くまで続いた。

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