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188話 ハーレム計画?

 そんなこんなで宿屋へと戻ってきた、のだが……


「タマ? ずいぶんとお楽しみだったようですね??」


 ひっ、宿屋の前で腕を組んだご主人が。

 シュリ女王の胸に抱かれている我輩をジト目で見ておる。


「ふふっ、すまんな、アリア。たまたま外で会ったのでタマを勝手に借りておったのじゃ」


 よかった、シュリ女王が説明してくれた。

 ご主人も「まぁ、それなら仕方ないですね……。タマは優しいですから」と、不満気ではあるものの納得してくれたご様子。


 ……って、ご主人?

 何で我輩の体をくんくんと嗅いでおるのだ?


「……タマから発情した女の匂いがします。陛下、まさか本気でタマを好きに……?」


 ひっ!? ご主人、そんなことまでわかるのか!?

 恐るべしエルフの嗅覚、そして勘!


 というか、え?

 発情した女の匂い……?


 恐る恐るシュリ女王の方へ視線を向けると……


「うふふっ……」


 妖艶な笑みを浮かべながら小さく舌を出し唇を……ぺろりっ――


 ひっ!!


「アリアよ」

「な、何でしょう? 陛下」

「妾はお主とタマに感謝しておる」

「えっと、ありがとうございます……?」

「うむ、じゃがそれはそれとして、お主は恋敵じゃ。妾は本格的にタマに恋してしまった」

「……っ!?」


 ご主人の鼓動がドクン! と。


 シュリ女王!

 ご主人の前で何て面倒くさくなりそうなことを言っているんだ!


「ふふふ、前にも言ったが鬼人族は異種交配が可能での、その辺も問題なしなのじゃ。強いオス、そして愛しいタマの子種を改めて狙おうと思っておる」

「ほ、本気のようですね……っ? で、ですがタマは譲りません!」


 そ、そんな大きな声で我輩の子種がどうとか言わんでくれ。

 ……あぁ、何やら受付の乙女たちが頬を赤らめて興味津々と言った様子で聞き耳を立てておる。

 勘弁……勘弁してくれ……。


「そこでじゃ、アリアに提案じゃ」

「て、提案ですか?」


 はぁ、我輩の意思など関係なしに会話が進んでいく。


「うむ、アリアよ、ハーレムに興味はないか? タマは猫とはいえ強きオス、エレメンタルキャットは成長し発情期を迎えればその性欲は底知らずじゃ。果たしてお主だけでその貪りを受け止めることができるかの?」


 うーん、風評被害!


「た、確かに……! で、でもタマがわたし以外の女性となんて……。でも強いオスがたくさんの相手と子を儲けるのはこの世の定め……う〜ん……」


 そんなことで揺れ動かないでくれ、ご主人!

 というか我輩はエレメンタルキャットなどではなくベヒーモスだぞ。

 少なくともご主人と子を儲けるなど……


 あ、異種交配のスキル持ってたの忘れてた。

 イケるではないか。

 こわっ。


 あと何か《粘液無限射出》とかいうスキルもあったな。

 怖すぎて一度も使ってないけど。


「ふむ、どうやらタマもイケるようですし、ハーレム……ですか」


 エルフの勘こわっ!

 というかもはや我輩の心読んでないか!?


 そんな我輩の戦慄などお構いなしにさらに会話は続く。


「うむうむ、ハーレムじゃ! まずは女王である妾を第一夫人に。そしてアリアは第二夫人――」

「ちょっと待ってください! わたしが第二夫人? 冗談はよしてください、タマは私の騎士(ペット)様ですよ? わたしが第一夫人です!」

「妾は女王じゃ! その立場がありながらエレメンタルキャットを夫にしようというのじゃ、第二夫人では国民に示しが……いや? 女王でありながら第二夫人以下に……そ、それはそれで興奮しちゃうのじゃ♡」


 シュリ女王ー?

 今国民への威厳より自分の性癖を優先しようとしてなかったか?

 というか何という嗜好(?)をしているのだ、この女王陛下は……


 む? 何やら受付の乙女たちが盛り上がっているな?


「(きゃ〜! 女王陛下の性癖聞いちゃった!)」

「(恋する女の子って感じで可愛い〜!)」


 おい! 女王だとバレているではないか!

 というか国民が国のトップの性癖で盛り上がるな、不敬だぞ!

 あと何気に変な性癖寛容するのやめて差し上げろ。


「む、確かにこんなに愛しているのに第一夫人になれないシチュはちょっと興奮しますね……♡」


 ご主人ーーっ!?


「まぁ、まだタマは子猫じゃ、大きくなるまでゆっくり考えておいてくれ。この戦いが終わったら妾も影武者立ててちょこちょこ会いにいくようにするのじゃ」

「わ、わかりました。第一夫人を譲るつもりはありませんが……、ハーレムについてはちょっとだけ考えさせていただきます」


 ご主人?

 検討する方向で動かんでくれ。

 というかシュリ女王、我輩に会いに来るためだけに影武者立てようとしてる!?


「タマ、そろそろ夕食の時間ですし、一緒にお風呂に入りましょうね〜♪」

「お、それなら妾も一緒に」

「ダメです♡」

「むぅ、妾の美ボディを見せることで、タマに異性として意識してもらおうと思ったのじゃが……」


 恐ろしいこと考えているな、シュリ女王……!

 まぁ、戦い前の緊迫した空気が少し緩んだので、よしとするか。


 このあと大浴場で湯浴みをしていたら、結局シュリ女王も突撃してきたりしたのが……

 それはまた別の機会に語るとしよう。


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シュリ「お前がパパになるのじゃよ。」 タマ「(このままでは洒落ですまない事態に…)」
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