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Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます  作者: 銀翼のぞみ
第五章

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169話 女王の思い

(さてさて、思いもよらぬところでAランクアンデッドと遭遇できたことだし、ステータスの方は……)


 タマは再び自身の視界にステータスを展開する。


==============================

名前:タマ


種族:ベヒーモス(幼体)


固有スキル:《属性咆哮・四精霊》《スキル喰奪》《属性剣尾・四精霊》《獅子王ノ加護》《属性弾》《属性操作砲・四精霊》


喰奪スキル:《収納》《ポイズンファング》《飛翔》《ファイアーボール》《アイシクルランス》《アイアンボディ》《触手召喚》《粘液無限射出》《異種交配》《ドラゴンファング》《ドラゴンクロー》


進化可能:▷ベヒーモス第二形態

    :▷ベヒーモス第三形態

==============================


(よし! さすがはAランクアンデッド、得られる経験値も高かったようだな!)


 アンデッドトロールを倒したことで、ステータスに刻まれたベヒーモス第三形態の文字を見て、タマは満足そうに頷く。


 これにてこの迷宮に用はなくなった。

 回れ右して、出入り口へと続く道を前足で指し示す。


「なんじゃ、もう用は済んだのか? 妾は迷宮の完全攻略にでもきたと思っておったのじゃが……」


 帰ろうというタマの意志に気づいたシュリが、少々不満そうに声を漏らす。

 どうやら彼女的には、もっとタマの戦いぶりを見てみたかったようだ。


「まぁ、いいじゃろう。魔王を倒すほどのお主の強さ、その片鱗を見ることができたからの」


 そう言って、シュリはタマを持ち上げると豊かな胸の中に、むにゅん! と抱きしめてしまう。


 ここまでの移動で少し汗をかいたのか、彼女の肌から女性特有の甘い匂い……フェロモンが漂ってきて、タマの鼻腔をくすぐる。

 柔らかな感触も相まり、タマは思わず、とろんとした表情を浮かべてしまう。


「ふふっ……さっきまではあんなに勇ましかったのに、今は可愛らしい子猫じゃな。そのギャップもたまらんのじゃ♡」


 タマの頭を撫でながら、シュリが悩ましげに太ももを擦り合わせている。

 今のシュリの姿をその辺の男が見たら、欲情してしまうことは間違いなしだろう。

 低身長で幼い表情をしているというのに、どこか妖艶で色気を感じさせる、不思議な少女だ。


 シュリの胸に抱かれ、来た道を戻るタマ。

 一応モンスターが出た場合に備え、タマは警戒を怠ることはしない。

 しかし、モンスターと遭遇することはほとんどなく、たまに現れたモンスターもメタルオーガ兵が始末してくれた。


「さて、それでは城に戻るとするかのう」


 迷宮を出たところで、外套を頭まで被りながらシュリが歩き出す。

 ちなみに、メタルオーガ兵はシュリのマジックアイテムの中に収納済みだ。


 そんなシュリのあとを、タマが「にゃ〜ん」と可愛らしい声で鳴いて、てちてちと追いかける。


「む? なんじゃ、もしかして城まで送ってくれるつもりなのか?」


「にゃ〜ん(もちろんだ)!」


 シュリの質問に、そんな風に鳴いて答えるタマ。

 彼女が女王というのもあるが、女性を夜の街に一人で歩かせるなど、タマの騎士道精神に反するのだ。


「ふふふ……っ、本当に優しいやつじゃのう」


 微笑を浮かべ、タマとともに歩くシュリ。

 彼女を城まで送っても、思ったよりも早く二種の進化ができる状態になったので、夜明け前にアリアたちの元に帰ることができるだろう。


「タマよ、妾は今まで自分よりも強い存在にほとんど出会ったことがない」


「にゃ?」


 唐突に語り出したシュリに、タマは不思議そうに首を傾げる。


「妾自身が強力な戦闘スキルを持っているというのもあるが、それ以上に、妾には自在に操れるメタルオーガ兵がある。並みの強者など、妾には取るに足らない存在じゃ。……しかし、お主は違う。魔王を倒すほどのお主は妾の強さなど軽く凌駕しているだろう。だからこそ、妾はお主の子種を注いでもらい、強い子孫を残したいと思っておるのじゃ」


(む、むぅ……)


 内容はともかく、真剣な声色で語るシュリに、タマはなんと反応していいかわからなくなってしまう。

 どうやら、彼女がタマの子種がほしいと言っていたのは、思った以上に真剣な思いが込められていたようだ。


 そこから特にやり取りもなく、深夜の街を歩くことしばらく、タマとシュリは城へと辿り着いた。


「タマ、いつか妾のもとへ来てほしい。その時、妾はお主にたっぷりの愛を注ぐことを約束しよう」


 そう言って、シュリはタマを抱き上げると、彼の額に……ちゅっ――と、軽く口づけをする。


 そのあと少しだけ恥ずかしそうな顔をすると、タマを優しく地面におろし、城の方へと歩いていくのであった。


(さて……どうしたものか)


 彼女の後ろ姿を見送りつつ、タマは途方に暮れるのであった。

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