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161話 響く絶叫

「しかし陛下、この人数で、どうやって魔族の軍勢を相手にすればよいのでしょう」


 顎に指を当てながら、セドリックが畏った様子で質問する。


 彼の疑問はもっともだ。

 タマを始め、アリアたちは凄まじいほどの力を持っている。

 たとえ四魔族の一柱が相手でも皆で戦えば勝利を収めてみせるだろう。


 しかし、シュリは魔族の軍勢が襲ってくると言っていた。

 いくらタマたちであれど、軍勢と呼べるほどの数の魔族が相手では、勝利は難しいであろう。


「策はある。妾には自身の思いのままに操ることができる〝自律戦闘メタルオーガナイツ〟があるからの」


「陛下、何ですか……その自律戦闘メタルオーガナイツとは?」


「アリアよ、表に機械の体を持った兵士たちがおったろ? あれこそが妾の持つ戦力じゃ、妾の指示一つで戦闘をこなす優れ物じゃ」


 アリアの質問に答えるシュリ。

 この城にタマたちが訪れた時、庭の前や中に、たしかに機械的な体を持つ槍を持った兵士のようなものが立っていた。


 どうやら、あれらはシュリの持つ戦闘兵器だったようだ。


「あれらは大昔のロストテクノロジーで創られており、代々鬼人族の王へと継承されている。現在使役できるのは妾のみじゃ」


「陛下の持つ自律戦闘メタルオーガナイツ、そしてわたしたちの力を合わせ、魔族の軍勢に対抗する……ということですね」


「そのとおりじゃ、アリアよ。さっそくだが、メタルオーガナイツの格納庫へと案内しよう」


 そう言って、タマを抱えたまま歩き出すシュリ。

 アリアたちはそのまま城の地下へと案内される。


「これは……」


「すごい数にゃん……!」


 地下の格納庫へと入ってきたところで、アリアとヴァルカンが思わず声を漏らす。

 格納庫にはおおよその目算で、千を超える自律戦闘メタルオーガナイトが格納されていたからだ。


 自律戦闘メタルオーガナイトはいくつかの区画に分かれており、それぞれ装備が異なるようだ。


「槍を持つのが近距離型、杖を持つのが中距離型、そして弓を持つのが遠距離型じゃ」


 メタルオーガナイトをそれぞれ指差しながら、そんな説明をするシュリ。

 すると、ステラがこんな質問をする。


「む? 杖を持っているということは、生き物じゃないのに魔法を使えるのだ?」


 と――。


「ああ、そのとおりじゃ。先ほども言ったがこれらはロストテクノロジーで出来ている。どういう原理かはわからぬが、鋼鉄の体にも関わらず、中級までの攻撃魔法スキルを使うことができるのじゃ」


「へー! すごいのね!」


「生き物じゃないのに魔法を使えるなんて便利です〜!」


 シュリの説明を聞き、リリとフェリは興奮した様子だ。

 どうやら、魔法スキルを使う二人にとって、中距離型の機械兵は興味の対象となったらしい。


「陛下、ちなみにこのメタルオーガナイトたちの性能はどの程度なのでしょう?」


 メタルオーガナイトを見渡しながら、そんな質問をするセドリック。

 ともに戦うのであれば、戦力の把握は必須だ。


「そうじゃな……鬼人族での基準になるが、冒険者で例えるとC〜Bランク程度と考えてもらってよいじゃろう」


 アリアたちもいるので、冒険者に例えて返答するシュリ。


 それを聞き、タマは(なるほど、それほどの戦力を持っているのであれば心強い)と、そんな感想を抱く。


 さらに言えば、人間の冒険者と違って、メタルオーガナイトたちは機械の体を持っている。

 魔族たちを前に恐れることなく、頑丈な体を活かして、とことん戦ってくれるであろう。


「ところで……陛下、いつまでタマを抱っこしているつもりでしょうか?」


 若干ジト目になりつつ、そんな質問を投げかけるアリア。

 やはり自分以外の女性に、タマが長時間抱っこされているのが気になるようだ。


 するとシュリは――


「妾としては、魔王を倒すほどの強いオスじゃから、このまま妾のもとで大きくなるまで育てたいと思うんじゃが、ダメかの? 鬼人族の王族は異種交配もできるんじゃが……」


 ――そんな衝撃的な返答をしてきた。


「ダ、ダメに決まってるじゃないですかぁぁぁぁぁぁ!」


 アリアの絶叫が、格納庫に響き渡るのであった。

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