子供だった僕
初めての作品なのでつたない文章ですがお付き合いください。。。
僕は、今でもはっきりと覚えている。
あのトラックの運転手の表情。
これは僕が大学3年生の事だ。
あぁ、僕は死ぬのかな。。
そう考えながら、ゆっくりと宙を舞う僕の身体。
地面に鈍く打ち付けながら目を閉じていく
目の前が赤く染まった。
そこで意識は途切れた、、、、、
、、、、、起きなさい」
「朝だよ、起きなさい!!」
「、、、うん」
そう言って何度目だろうか、
何とか重い瞼を擦り、起き上がる。
ただでさえ細い眼が、いつも以上に開かない。
接着剤でもつけられたのだろうか。
「早くご飯食べな、遅刻するよ!」
そう言って母は準備している。
「、、いただきます」
僕、佐藤 恭太は中学1年生になり、
やっと、野球部にとって地獄である夏休みを超えたところだった。
しかし、夏休みを開けても休みはない。二学期が始まってしまうのだ。
「ごちそうさまでした」
もそもそと食べ終わり、準備に取り掛かる。
「兄ちゃん、鏡の前よけて、邪魔」
そう言い放つ3つ下妹の加奈。
「兄ちゃん、野球部なのに髪切らなくていいの?」
悪そうな顔をして言う1つ下の弟の順斗。
「、、、うるさいな、いいんだよ」
バツが悪くなった僕は2人の弟妹から逃げるように家を出た。
「行ってきます」
弟と妹は、僕とは違い、目が大きい。
そしてモテるのだ。
弟に至ってはチャラい、これは若いころはブイブイ言わせたという父の影響なのだろうか、、、
そしてこの僕の細い目は、母からの遺伝なのだ。
笑うと線のようになる、優しい目。母のこの表情が僕は好きだった。
ウォークマンでお気に入りの曲を聴いてるうちに学校についた。
「おはよーーす」
ちなみに弟や妹がモテる、からと言って僕がモテないわけじゃない、そこそこだ。
友達と馬鹿なことをやったり、勉学に励んでいるうちに、放課後となった。
着替えて、部活の時間だ。
走り、白球を追いかけ、狙い撃つ。
僕のポジションはセンターだ。
校舎に近い。
学校に残っている生徒や、部活動に励んでいる生徒にアピールすることばかり考えていた。
ワザとぎりぎりで捕ってみたり、
お陰で球際が強くなった。
日が落ち、夕暮れの中、仲間と笑いながらコンビニに寄って買い食い。
そうして家に帰る。
こんな毎日が続くと思っていた。
季節は変わり、木の葉が道路の端に敷き詰められ始めた頃、
地元では毎年、商店街が主催の大きな祭りが行われる。
友達といこうと計画した、しかし中1、下心が芽生え始める年頃だ。
「女子も誘おう」誰かがそう言った
結果、5対5の計10人で行くことになった。
その中には、僕がひそかに思いを寄せている子もいた。
お祭り当日、皆で集まり、一通り歩き、楽しんだところで
僕たちは企画していた。そう、肝試しだ。
小学校の裏山にはお墓がある、そこを2人1組で一周して戻ってくる。
ただこれだけ。
しかし、ド田舎なだけあって街灯が少ない。
頼れるのは月明りだけだ。
次々とスタートしていき、残ったのは僕と彼女だけ、
みんな気を使ってくれたのだろう。
「、、いこうか」
「、、うん」
そう言って僕の好きな子、美雪ちゃんは、僕の後をついてきた。
僕はドキドキしていた。
試合でもこんなにドキドキしたことはない。
手を繋ぎたい、、そう考え、少し横を歩く。
「早く前歩いて!!」
美雪は少々勝気で、男勝りな部分がある。
「は~い、、」
残念だ。
木々が生い茂り、月明りの届かない山道を歩いていると、
ガサガサっ!!!
ど、、動物だろうか。
そう思った矢先、背中に衝撃が走る。
後ろを振り返ると、美雪が抱き着いていた。
ハッと我に返ると、
「今のは、あんたを試したのさ」
そう言って離れていく。
「よく言うよ」
そう言って笑った僕の表情は信じられないほど鼻の下が伸びていただろう。。
こんなこともあり、僕らは、最初に感じていた気まずさはいくらか解消されていた。
「、、あぶないから」
そう言って僕は手を差し伸べた
「、、、うん」
俯きながら握り返してくれた彼女。
互いに小さく震えるその手を握りながら僕らは歩き始めた。
この時ばかりは僕は田舎であることに2つ感謝した。
この月明りでなければ僕の顔が恥ずかしさで真っ赤になっていることがバレていただろう。
もう一つ、
この月明りに照らされていた彼女の横顔がとても美しかったからだ。
僕は、彼女を見るたびに胸の奥が締め付けられるように苦しかった。
ゴールが近くなった。景色がいい。港町である地元が一望できる。
この時間が終わってしまう、
どうにかこの時間が続かないか、そんなことばかり考える。
「、、なあ」
「なに?」
「付き合ってほしい」
僕は目をしっかりと見つめそう言った
「え、、、、、」
彼女は戸惑っていた
「保育園からの仲だけど、ずっと好きだったんだ」
「私も好きだった、、、おねがいします」
僕は走った。
喜びが抑えきれなかった。
彼女を抱きしめた時の匂いと柔らかさ、現実だと思えなかった。
その後、皆と合流し、祝福された後、
彼女を家まで送った。
家族に報告しよう。兄弟や両親はなんていうだろうか
心躍りながら家に着いた。
しかし、両親はいなかった。
家にいた兄弟が何やら慌てた顔でこちらを見ている。
「父さんと母さんは?」
「、、、、病院」
妹が小さな声で答えた。
「なんで!?」
「、、頭に水がたまってたんだって」
弟が静かに答える。
その後、父さんから連絡がきた。
命に影響はないらしい。
日ごろから肩こりがひどいと言っていたが、水が原因だろうとのことだった。
手術をすれば問題は無いらしい。
「よかった、、、」
そう思っていた僕の日常が変わり始めた。
これは、筆者の実体験に色々織り交ぜたものです。
これを機に、周りのひとや、時間の大切さを考えていただけたらと思いました。
少しでも皆様の心に引っかかれば幸いです