96話 別れの決意
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「わっ!
これが…動く人形なのですか!」
王宮で再会した
ミュランダは人形を興味津々で見つめる。
メイドのような姿だが、
いざとなれば、戦闘もできると
説明を受けるが…
そんなことより…
美しすぎる人形の顔に感動ひとしおである。
「こんな美しい黒髪…
初めてみました!
それにこの…真紅の瞳!
詩歌に歌われる始祖様そのものですね…」
うっとりするミュランダ、
怒り収まらないフィアロア。
苦笑いをしながら、
オセはミュランダに聞く。
「して?ミュコフは?」
「はい、それが…
徹夜続きで復旧の指示を
出していた疲れと…
この…
人形を見たことで…
鼻血を噴いて今はベッドで伏せてます」
ミュランダは耳まで赤くして、
恥じるように父のことを話した。
「もう、お父様ったら
本当…仕方ないったら!」
気持ちは分かるけれど…と、
付け足しながら。
今回の内乱で
気持ちの変化もあったのだろうが
…相変わらずだと
オセもため息を吐く。
リーン達一行は、
この地を離れ、また旅に出る事を
ミュランダに話す。
まだ復興も始まったばかりだが…
我々には、魔王を追わなけれ
ならない義務があるのだ。
「本心は…
お引き留めしたいのですが…
きっと…
それはできないのでしょうね」
ミュランダは、感情を必死で
抑え、平静を装おうとする。
「ミュランダ…
ミュコフのことを頼むぞ、
力になってやってくれ」
そう、仔オセに諭されると
抑えていたミュランダの感情が
遂に堰を切り溢れる。
涙が止まらないミュランダを、
オセの代わりにリーンが
ぎゅっと抱きしめる。
「ミュランダちゃん、
また必ず会いに来るよ!」
「この国の危機の時には
また助けに来てやっても良いぞ」
イルとフィアロアも声を掛ける。
皆が旅立つのは…心底、心細いが…
だが、離れていても
皆が見守ってくれている
事に変わりはないのだと…
ミュランダは、心に沁みた。
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