90話 復興と皆の今後
◇◇◇◇◇
「ふむ、来てくれたか!」
翌日…
人々が街の復旧をどうしたものかと、
途方に暮れている時だった。
街の外から、ドワーフ族の一団が
入ってきたのだった。
「あ!この間の…ドワーフ長老さん!」
イルは笑顔で迎えた。
「ギルドを挟んで、リーン様から
街の復旧要請がきましてな!
これは出向かない訳にはいきますまいて!」
魔導士達は少し苦手なのだが…
と、言いつつドワーフ達は
張り切って作業に取り掛かる。
「うむ、助かるぞ!どうか、よろしく頼む」
リーンはにこやかにドワーフ達に感謝する。
ドワーフ族の腕力や建築技術は
一目置くところだ。
街の復旧に、頼もしい力と
なってくれるだろう。
家屋や街壁の修理、
怪我人の治療…行政人事等の
采配…
大元の指揮を執り、各担当者に
的確な指示を出していく…
王としての手腕が問われる
ところだろうが…
ミュランダも補佐を務め
必ずや民の信も得ていくだろう。
かつて…混乱した行政をまとめ
導いていった、我が弟の子孫なら
きっと成し遂げられると…
フィアロアも思うのだった。
「軍も…今は指揮官が不在の
状態だから、
恩赦という形で宮廷魔術士…
ええと、リガン?が
軍士長に復帰したみたいだしね」
イルの話しを聞きながら
フィアロアも満足そうに頷く。
だが、しかし…イルは首を傾げる。
「なぁ?フィアロアとオセちゃんは
これから、どうするんだ?
王の補佐としてやってくの?」
リーン様はいずれ…
この街を出て魔王捜索の旅へ出るだろう。
そう、思ったイルだが…
イルの言葉が終わらないうちに
フィアロアはイルを蹴飛ばす。
「儂はリーン様とずっと一緒じゃ!」
何を当然な事を…
と、フィアロアは憤慨する。
そんな様子を見て苦笑いのオセ。
生命エネルギーもだいぶ回復し、
今は少女の姿になっていた。
「私も…フィアロア様と共に」
イルは、そんなオセの言葉を
聞いて意外に思う。
「え?オセちゃんは…
現王やミュランダちゃんと
一緒じゃなくて…いいの?」
「あの子達も…確かに
まだまだ心配ではありますが…
フィアロア様のお側を
離れる気はありませんので」
とはいえ、懸念も起きる。
コピー体のフィアロアに
付いていけば、本体の…
城の地下で封印されている
フィアロアの守護はできないし…
本末転倒では?
イルがちょっと考えていると…
「オセ、儂は一人で大丈夫じゃ
所詮コピー体だしのぅ」
フィアロアにも諭されるがオセは引かない。
「いいえ!!ご一緒します!
それに…今のフィアロア様には
私のエネルギーも必要なはず!」
いざとなったら…
再び、オセの生命エネルギーを
得る…か。
確かに、それなら
自分も戦力にはなるから、
側にオセを置く必要が
でてくるので、
フィアロアは押し黙る。
「むうぅ…」
「やっぱり、フィアロアが
残ればいいのでは…」
「うるさい!貴様より儂は有能じゃ!
リーン様のお側にいるのが
相応しいのじゃ!」
「僕は一日一回、元の姿に
戻れるもんねー!
それに比べてフィアロアは…ぷぷっ」
「白豚は市場に売りに出してやる!」
イルとフィアロアがまた漫才を始める。
ドワーフ長老との打ち合わせを
終えたリーンは…
いい加減、二人の漫才を
止めるべく振り向いたが…
その時、
風がひと吹き巻き上がる。
緑の光りを撒き散らせ
シルフがやって来たのだ。
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