81話 怒りと悲しみを写した瞳
◇◇◇◇◇
「四柱が…倒された…?」
守護者の脅威から逃げ惑っていた民衆は
呆気にとられ、静まり返る。
街を破壊していた脅威が消えたのだ、
本来なら…安堵する筈だ…
しかし…
「きゃあぁぁぁ!!
あ、あの浮かんでる黒い悪魔が
やったのよ!!」
「怖い怖い怖い怖い怖い!
次は俺らが殺されるのか⁈」
四柱の、余りにも惨たらしい最期、
人智を超越する、圧倒的な力…
人は…
想像できる思考のキャパを超えると、
錯乱し、恐怖を覚えるのだ。
「うわぁぁぁ!!!魔神だ!!!」
「死にたくない!死にたくない!」
狂乱状態だった。
民衆はただ、逃げようと、
ここから離れようと
既に思考はそれに占奪されていた。
「!っ…マズイな
民衆を落ち着かせねばな…」
そう呟いたリーンの横を
狂乱した民が走り抜けていく。
…リーンを敢えて押し倒しながら。
強く押されたリーンはよろめく。
「リーン様!!!」
リーンの元へ駆け寄ろうとした
フィアロアだったが…
また、他の場所でも
悲劇が起きている事に気付く。
足腰の弱った老人が
体格の良い男につき飛ばされ…
あろう事か、
倒れ伏したその老人を
民衆は踏み蹴っていくのだ
悲鳴を上げていた老人は
すぐに動かなくなり…
やがて、肉塊となり
人々の行き交う足に
血痕を付着させていった。
「逃げろおぉぉ!!
もう、この国は終わりだぁぁ!」
「こんな国、もう沢山!」
「こんな国いっそ滅びればいいのさ!」
「ここは悪魔の国だったんだー!」
「………… 」
フィアロアのその真紅の瞳は再び発光した。
怒りと悲しみに
血の涙を流すように赤く輝く…
…こんな愚民共を守る意味が
どこにある?
それが王の務めというのなら…
己はさっさと退位して
正解だったとフィアロアは思う…
「そんなに、この国を厭うのならば…
いっそ消してやろうかのぅ?」
フィアロアは自身の手を見る。
身体が脈動し、
エネルギー切れを示唆していた。
しかし、オセから引き継いだ
残り最後のエネルギーを全て使い、
自身最大の超魔法の詠唱を始める。
「消してやろうぞ…
王都ごと…
貴様らウジ虫ごとな!!!!」
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