80話 神才の大魔導士の実力
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フィアロアは黒髪を
靡かせながら、王都を見渡す。
依然、街をその巨体で
破壊し尽くしている
四柱…
いや、四体の悪魔共を確認し…
おもむろに詠唱に入る。
ーー其の鎖、理を縛り支配を享受し、
魂を献上せし栄誉を尊び畏め、
永劫に虜となり、傀儡となり、
下僕となるは、至上の悦と唱歌えーー
フィアロアが纏う黒き魔素の
気から、禍々しい魔法陣が
四つ浮かび上がる。
その四つの魔法陣は
やがて、四体の悪魔の上に
移動し…
そして、悪魔共を拘束していく。
「ふむ、フィアロアの得意な闇魔法か…」
「久々に見ても、邪悪だよなぁ」
リーンとイルは、
見上げながら、慣れたとばかりに
平然と様子を伺っている。
だが、四柱の異変を
目の当たりにした民衆は違った。
「あ、悪魔が…縛られてる⁈」
「気持ち悪い…!」
そんな声も当然だ。
悪魔共は鎖や縄に、縛られ、
または、杭に打ち付けられていた。
その目はキツく縫われている。
完全に身動きを奪われ、
だが、口だけは拘束がなく…
縛られた痛みに唸り声を上げていた。
しかし…
そんな唯一自由だった筈の
口も次の瞬間、
悪魔の意思を封じるように
悪魔の口は勝手に詠唱を詠んでいくのだ。
「この呪文の何がグロいって…
傀儡にした相手に強制的に
魔法を詠唱させるんだよな」
「限られた時間を活用するには
こうして複数詠唱の応用を
したほうが効率的だがな」
リーンの極めて冷静な言葉に
イルは、またもため息を吐く。
ーー大気を司る風神の、狂気に満ちた
狂乱の宴、凶風を友に舞い降りしは、
龍の御姿の神風なりーー
ーー万物に宿し怒り 魔を糧に
奮い立ち其の敵に 紅蓮の業火を
吐き出せーー
ーー悠久の大地の眠りを覚ます者、
怒りを享受し痴れ者なるは、
我が身をもちて、その贄とならんーー
ーー雫一滴を嗤うなかれ、其は
水神の大いなる源、逆鱗に障れば、
其は破滅を選ばんーー
悪魔四体が、それぞれ詠唱する。
その声は劈くように響き渡り、
王宮の間にも聞こえてきた。
「な!!あの詠唱…これって…
始祖様が創りだしたと言われる、
超最上級魔法…じゃないかしら⁈」
勤勉なミュランダは、この詠唱を
すぐに察知した。
「うむ、しかも四元素全てを
唱えているとは…」
驚くミュランダとは違い、
現王はうっとりとした表情で
様子を眺めていた。
詠唱が成ると、大気が緊張に震えだす。
魔素が集結し、そして急速に
膨張し始める。
ーー乱舞嵐龍ーー
ーー業火爆嵐ーー
ーー地烈割獄ーー
ーー圧滴核爆ーー
風火地水…それぞれ禁呪級の
魔法が悪魔によって唱えられ…
そして…
その魔法の標的は…
やはり悪魔自身であった。
悪魔は己が唱えた呪文により、
自らを滅ぼす。
超最上級魔法の威力は凄まじく…
巨体の悪魔の内側から
超超エネルギーが拡散し
その体を粉砕していった。
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