79話 始祖
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王宮、
最上階…王の居室
依然、王宮内も混乱を極めているが…
幸い治癒の出来る聖者が
まだ王宮内に留まっていた為、
ミュランダと現王は
速やかに治癒が施され、休息を取っていた。
しかし、
ミュランダは街で起きている
大災害に気が気ではなく…
現王を看ながら、
外の様子にも注視していた。
「また…地響きと
凄い魔力の圧を感じるわ…」
そう呟いて、
治癒では治せない短く切り取られた髪を
触りながら、眉を顰めた。
現王が傷つき、
王宮へ一緒に運ばれていた途中にも
大きな地響きと共に魔素が爆発するような
強い衝動を感じた。
聞けば、四柱の守護者が復活し
街を襲っているのだと…
ミュランダは…自分にも
何か出来る事はないかと
気を揉むが…
まだ未熟な学生である
自分に…できる事は少ないと悟る…
それなら、父の側にいて
傷の治りを看ていた方がよいと判断した。
窓に張り付くように様子を眺めていた
ミュランダだが…
「あ…!」
驚き、思わず声が出る。
「どうした?ミュランダ」
ベッドで横になっていた現王が…
ミュランダへ声を掛ける。
「急に…すみません、ですが…宙を浮かぶ
人影を見たので…つい」
「宙を…?」
魔導王国とて、
人が宙に浮くというのは極めて稀であった。
宙を浮く呪文…
古代魔術で、現存を確認はできるが、
現代では解析も難しく
伝説化している超最上級魔法と並び、
実際に発動できる者は
この国ではいない筈だったのだ。
「それに…その宙を浮かぶ人…
黒髪なんです…」
ミュランダはドワーフ製の
望遠鏡なる道具を使い、
遠方を見ているようだ。
「何…⁈」
黒髪と聞き王は慌てて起き上がり、
ミュランダ同様、窓へ張り付く。
「お、お義父様…!
まだ安静にしてなければ…」
言っても聞かなそうな父に
ミュランダは苦笑いしながらも、
望遠鏡を父に譲る。
すると、現王は興奮気味に震えだす。
「ああ…ああ…!!
何ということだ…
わ、私は…夢を見ているのか?」
しかし、
望遠鏡を覗きこんだ現王は、信じられない
…と言った風に呆然としていた。
「お義父様…?」
父の様子を心配するミュランダだったが、
現王はそれどころではなかった。
漆黒の闇のような御髪に…
遠くからでも分かる
その鮮血のように赤い瞳…
「ああ…
始祖…フィアロア様がおわせられる…!!」
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