75話 残党が調子乗ってる
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四柱をどう止めるか…
思考を巡らせながら、
暴れ狂う四柱に目を向け、リーンが走っていた時…
不意に飛び出して来た前方の男とぶつかる。
街の残骸が広がる跡地、周囲に人気は無く…
既にこの付近には
民は居ないと思っていたのだが。
リーンと体当たりしてしまう形で、男はよろめき
尻餅をついてしまう。
「い、痛ってぇ…
女とぶつかって俺が転ぶって何だ⁈ 」
リーンと一般人とでは、体幹の鍛え方が違うのだ。
ぶつかって来たのは男の方だった気もしたが…
リーンは不注意の詫びをする。
「不注意、失礼した…」
「大臣、こいつらですぜ!」
だが、不意にその男はリーンの腕を掴み、
拘束してきたのだった。
「その手を離せ!無礼者が!」
フィアロアが真っ先に怒る。
見たところ、無頼の輩のようである。
薄汚いローブに軽備だが革鎧も着ている。
フィアロアは木の枝を取り出し
輩の腕を打ちつけようとするも…
「なんだ?ジジイ、邪魔するな!」
容赦なく突き飛ばされる。
「フィアロア!」
間一髪、イルがフィアロアを
受け止めるが…
輩は依然、リーンを離す気配はない。
そこへ、輩の横合いから、声がした。
「ふふ…この娘が王宮に出入りしていた者か…」
声の主は、薄汚い輩と違い、
上等な衣服に、これまた高価そうな
装飾付きの杖を持った中年男だった。
何となく、
先のブレイブダンジョンにて
失脚した、宮廷魔術士に似ているとイルは思った。
「ぶつかった事は詫びる、
だが、リーン様を放してくれないか?」
イルは内心を怒りに燃やしながらも、
冷静に輩と交渉しようとするが…
「グハハッ」
人を小馬鹿にしたような、輩の笑い声と共に
「残念だが、この娘は人質に
させて貰うよ、王宮に入る為にね?」
上等な衣服の中年男が
不気味にニヤケながら言う。
「なっ⁈ 」
状況を冷静に見ていたオセも声を上げる。
「何故…王宮に用がある?」
そして、更に冷静だったのが
腕を依然、拘束されているリーンだった。
「王宮の地下には、四柱の守護者より、更にヤバい
化け物が眠っているって噂があるんだよ!
ソイツを起こして、逆転するんだ」
頭の悪そうな輩が口を滑らせたのを、
上等な衣服の中年は叱責する。
「余計なことは言うな!
まぁ、しかし…今聞かれても大差なしか…
人質は一人でいい、他の者は…お前らが始末しろ」
中年の男の周囲から十数人の武装した輩が
一行を囲む。
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