73話 守護者復活
◇◇◇◇◇
悪魔の石像…
この国の民衆は四柱の守護者と呼ぶ。
その背丈は王城の先端より高く
人々は天を仰ぐように見上げ、
崇拝していた。
石像の姿は非常に醜く、
または、痛々しく、
はたまた、恐れを抱く…
そんな悪魔の姿だった。
巨大な牙を無数に顔や体から
生やした悪魔、
牛の顔に人間の体をした悪魔…
美しい女の顔に禍々しい蛇の
体を持つ悪魔、
三面の顔と騎士風の姿の悪魔…
それら悍ましい容姿の悪魔共の
石像が…今、動き出していた。
悪魔に張り付いていた
石が割れ、剥がれていく。
民衆は歓声を上げていた。
新興勢力の生き残り、
また、新興勢力に傾倒した
兵士らも自分らの時代が来たと
勝利を確信していた。
新興勢力の幹部ら魔術士は、
守護者に接触を試みる。
「おお…!我らが守護者よ!!
その大いなる、お力で我らを導きたまえ…」
新興勢力の幹部らは
巨大な守護者の前にひれ伏し、
守護者に祈りを捧げる
ーーーが。
ドオォォォン!!
守護者と呼ばれた悪魔は
ギロりと眼下を睥睨し
ニヤリと裂けた口を吊り上げ
そして…
蟻を潰すように無作為に…
新興勢力の者共を踏み潰した。
◇◇◇
守護者…いや、悪魔の足元から
血が飛び散る。
「き、きゃあぁぁぁぁ!」
それを目の当たりにした
民衆は恐れ絶叫する。
我先に逃げようとするが…
逃げられる訳がなかった。
悪魔共の巨大な足に、
尻尾に、武器に…
どう、小さき人間が逃げられよう?
禍々しいその巨体で
次々と街の建物を、人を…破壊していく。
破壊こそが悪魔の本望
人の命を弄ぶのが悪魔の悦び
何故、悪魔を守護者と思った?
石が剥がれる度に
見えるその悍ましい姿に⁈
だが、抗う者もいた。
ここは魔導王国。
魔導を極めし術士が犇く国。
もはや、正規軍、反乱軍…
関係なく、魔導兵士達は協力し、
悪魔に攻撃を仕掛ける。
「防御シールドを展開しろ!」
「上級魔法を使える者は撃て!!」
「行くぞ!合わせて呪文を撃つぞ」
今、ここで…
魔術士たる、矜持を示さずに何とする?
魔導兵士達は、鍛錬し続けた
己の最大の魔法を発動していく。
ーー世界に満ちる蒼き者、
眠りから覚め踊り狂えば、其は
大空の覇者とならんーー
「蒼風刃!!」
巨大な竜巻が悪魔を目掛け練り進む。
「すげぇ…!
上級魔法…初めて見たかも!」
「凄まじい威力だ!」
「これなら…悪魔も倒せるか⁈」
兵士達が活気付く。
通常では、上級魔法など
威力が高すぎて訓練と言えど
使えないのだ。
そもそも、上級魔法なぞ
使える魔術士は魔導王国といえど
数える程しかいないのだが…
悪魔を飲み込む程の
巨大な竜巻が奴らを捉える。
だが…
『グゴァァウオォォーー!』
悪魔が雄叫びを上げる。
同時に体から覇気を吹き出し
巨大な竜巻を霧散させた。
「…そんな…⁈ 」
「まさか…ダメージすら
与えられて…ない?」
魔導兵士最大最強な筈の
上級魔法が…
悪魔共には効かなかった。
悪魔には、元来から
かなり高度な魔法耐性が備わっていた。
ましてや…
この巨大な悪魔共は、
魔の領域でも大悪魔とされる存在だった。
人間如きの魔法では…
小傷すら付けられないのだった。
美しい顔をした蛇の悪魔が口を開ける。
今度は我らが番…
とばかりに、口の中から
詠唱しない呪文が発動する…
『グァーーラォーーー』
悪魔の口から無数の
煌めく氷の刃が発射され
魔導兵士らに直撃する。
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