72話 王が流した血
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先のオセと新興勢力らの戦闘で
民衆は逃げまどい、
幸い、現王の存在は
(現王がローブを被っていた事もあり)
知られていなかった。
オセ達は現王とミュランダに
最低限の応急処置をして
急ぎ、王宮へ運び出そうとしていた時だった。
「リーン様!大変じゃ!」
しわがれた声がリーンを呼ぶ。
「魔法陣が…始動する!」
リーン達は見落としていた。
磔にされたミュランダの足元に
ある物を…
魔法陣が…
解呪に必要だった王家の血が…
ミュコフにより
与えられた事を…
現王が流した血が魔法陣へ注がれる。
「!!…しまった!
新興勢力の奴らを倒しても…
四柱の問題があったか!」
リーンが足元を見る。
眼下には、脈動した
魔法陣が鈍い光を発していた。
「え?え?
なんか…地面が光ってるんだけど?」
イルが眩しさに目を眇める。
脈動した魔法陣は
光を強め…それは、強烈な光線になる。
ーー我が力、時の支配、理の支配を
凌駕し、契約に楔を、、、
詠唱していたフィアロアだったが…
途中でバチりと何かが弾かれ、
詠唱を止める。
「…くっ、今の儂では…
魔法陣を破棄できぬ…か…」
フィアロアが苦々しげに舌打ちする。
「我も迂闊だった…
この数百年で封印解呪の技術が
上がっていようとは…」
リーンも眉間に皺を寄せる。
八百年前…
闇堕ちし、王都を襲った
フィアロアをリーンは封印した。
だが…フィアロア封印時の
魔力消費もあり、
召喚された悪魔共へは、
軽度の石化封印術で止めるしか
リーンには余裕が無かった…
当時は民衆の魔法技術も
さほど上がってはなく…
滅多な事では、封印は破られないだろうと、
踏んでいたのだが…
「うわ⁈ 地響きが⁈」
先ほどの魔法陣の発光に続き、
地の底から這い出るような
地響きが地上を揺るがせる。
そして、辺りを見渡していたイルが叫ぶ。
「あれ見て!!
悪魔の石像が動き出したよ!」
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