70話 ミュランダを呼ぶ声
◇◇◇◇◇
リーンの鋭い声が聞こえた。
怒号や悲鳴が飛び交う中で
リーンの声は精神に直接響いてくるように…
その声に弾かれるようにオセは振り返る。
広場中央…
柱に磔になったミュランダ…
その横に…
刃を持った新興勢力の男…
その男がミュランダの首元へ刃を近づける。
「ミュランダ…?」
オセは、その一瞬が信じられなかった。
…いや、信じたくなかった。
ミュランダへ手を伸ばす
刃はミュランダの首元へ
振り下ろされ、白く細い首へ
突き刺さろうとしていた。
間に合わない…
今…
魔獣に姿を変えて飛び込んでも…
「ミュランダーー!!!」
足が震えていた。緊張と焦りか…?
上手く前へ進まない
足元の血溜まりが滑る…
誰か…
ミュランダを助けて…
リーン達三人もまた、苦戦していた。
イルはフィアロアを背負い
混乱する人混みを掻き分け進む、
そんなイル達が再び
悪漢に襲われないよう、
リーンもセーブしながら進むしか無かった。
そして、やっと人混みから
抜け出し、中央広場が
見える状態になったばかりだった。
リーンが最初に見たのは…
まさしく、ミュランダが
男に刃物で斬りつけられる瞬間だった。
「ミュランダちゃん!!」
イル達も気付くが、間に合わない。
オセはミュランダの危機に
気付いてくれたが…
彼女の距離もまた離れていた…
一か八か、杖を投げるか?
リーンが杖を投げかけた
その刹那…
「ミュランダーー!!」
叫び声が聞こえた。
それは…
オセの声でも、
フィアロア達の声でも無かった。
それは…
◇◇◇◇◇




