66話 頼もしい仲間達
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思わず耳を塞ぎたくなるような
痛々しい打撃音が鳴り響く。
だが、悲鳴を上げたのは
今さっきまで、イルを袋叩きに
していた男達だった。
「大丈夫か?二人共!」
そこには…
血のりが付いた杖を嫌そうに
拭き取りながら仁王立ちする
リーンの勇姿があった。
「リーン様⁈
なぜ…?魔王を追って行ったんじゃ…」
イルは痛みに耐えながらも
軽やかに立ち上った。
「うむ…
悔しくはあったがな…だが、
キサマ達の事を見殺しにはできまい?
後の追跡はシルフに頼んだしな!」
気を失った男達を杖で突きながら
道の端に寄せるリーン。
「リーン様…
儂は…無力じゃ…何の役にも立たぬ…」
イルが棍棒で打たれた背中以上に、
フィアロアの心は打ちのめされていた。
こんな無能なコピー体なぞ
必要ないのではないか?
「こんな体なら…いない方が良いのじゃ…」
フィアロアが俯いた時…
ふわりと、再び抱きしめられた。
先ほどとは違い、
汗臭さも、暑苦しさもない。
柔らかく良い匂いがした。
「それは我が困るな?我には…仲間という
心の支えが必要なのだ」
「儂は…リーン様の心の
支えになれるかの?」
「当然だ!
それにフィアロアには膨大な
魔法知識があるだろう?充分心強いのだぞ?」
フィアロアはどさくさに紛れて、
リーンの胸に顔を埋める。
国政よりも、血族よりも…
貴女の側にいたい。
仲間と旅をしたい。
フィアロアは…
自分の恋心と、王という立場に
苦しむ現王を…
非難する気にはなれなかった。
自分は自分の道を歩む。
パーティのリーダーにして、
高潔で器のどこまでも広い麗しい人と…
バカだが、
本当にバカな友と共に…
「皆さま!!」
ああ、それと…
懸命に仕えてくれる頼もしい従者もいるのだと…
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