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65話 地面に落ちる涙


◇◇◇◇◇



「イル…このバカが…

防御もしないで飛び込んでくるとは」



棍棒が振り下ろされる刹那、

イルはフィアロアに覆い被さり

自身が棍棒の犠牲となっていた。



「言い方酷いなぁ〜

お前が逸れたから、探しに来たんだよ!

そしたら、変なのに絡まれてるし…痛っ!!


ムカつくなぁ!剣で切ってやろうか⁈


…なんて、ペンダント使って

反撃は不味いよな…さすがに街中で…

僕まだ力の加減を上手くできないし」



イルの顔が痛みに歪めば、

フィアロアはそれに耐えられず

イルの下から這い出ようとするが…



「何だ?このデブ!」

「ジジイの仲間なら同罪だな!」



一瞬たじろいだ男達だったが

更に棒はイルに振り掛かった。



「イル!逃げるのじゃ

貴様まで付き合う事はないじゃろ?」



だが、イルは動かなかった。



「僕が逃げたら…

フィアロアが大怪我するだろ?

下手したら死ぬかもしれない」


「儂は…良いのじゃ、

どうせこの体はただのコピー体じゃ!」 



そう言ったフィアロアを

イルはギュッと抱きしめた。



「フィアロアはフィアロアだよ!

僕の友だ!」


「気色悪いわ!!」



悪態を吐きながらも

フィアロアは悔しくて

感情が溢れ出そうになっていた。


無力な自分…

庇ってくれた友を救うことすら

できない自分…



「フィアロア…ごめんよ

僕がもっと強かったら…

カッコ良く、コイツらを

蹴散らしてやるのに」 



それは、こっちの台詞だと思った。


情け無く、友に守られている

老ぼれは自分だ…


地面に数滴血が落ちる



「もう止めろイル!逃げるのじゃ!」


「嫌だ!友が傷つくくらいなら…

僕が傷つくんだ!」



フィアロアは拳に更に力を込める

それは…こっちの台詞だ…!



地面に数滴涙が落ちる。


と、

そんな時…



バキィィィ!!!



一際痛々しい打撃音が鳴り響いた。

…なんて惨たらしい音だ…!

こんな酷い強打では…

大怪我だけでは済まないのでは⁈



バキィィィ!!!



続けて二撃目…



「ぐあぁぁ!」



苦しみに満ちた悲鳴は…

しかし、

イルの悲鳴では無かった。



◇◇◇◇◇


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