64話 バカ者が…いた。
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フィアロアは思わず叫んでいた。
一団はその声に反応し不穏な空気が流れる。
「ああ?何だこのジジイ?」
柄の悪そうな男のすごみにも
全く動じず、フィアロアは
非難の言葉を発する。
「バカ者めが!四柱が守護者じゃと?
何を呆けた事を言うのじゃ!
ここの人間は…いつから
歴史の知識が無くなったのじゃ!」
本来…本体であるフィアロアは、水晶に封印されている為、四柱のことを知らない筈だ。
しかし、
今の老フィアロアはオセの一部毛として
彼女の体に潜伏していた。
その間の、ある程度の情報は入手できて
いたのだ。
「ぐっ…言わせておけば…このジジイ!」
男がフィアロアを突き飛ばす。
「旅の賢者の教えに逆らう奴には
制裁が必要だな?
我ら新興勢力に楯突けばどうなるか…
分からせてやるよ!」
転んだフィアロアを男達は更に…
棍棒を振り上げ襲いかかる。
複数の男に棒で殴られたらどうなるか…
フィアロアは覚悟した。
オセが近くに居ない今…魔法は使えない。
この体では何もできまい…
魔法の使えない己なぞ…なんの役に立てよう?
この体はコピー体…人格と記憶しかない、
失敗作だ。
別に消滅したとて、問題はない。
ああ、じゃが…儂が消えたら…
リーン様は少しだけでも
悲しんでくれるじゃろうか?
イルは…
ふと、そんな事が
頭を過ぎながらも痛みを覚悟する…
…が、訪れない。
訪れない…が、
ドスッ…
と、確かに鈍い…棒で叩かれた
音は聞こえた。
フィアロアがそっと目を開け見上げると…
白豚が自分に覆い被さっていた。
いや。もとい…
「いっっ痛ってててて〜!」
「イル…?」
そこには、間に合って良かったと
痩せ我慢しながら苦笑いする…
……バカ者がいた。
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