63話 魔王を追え!
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再び三人は街へ戻る。
美しく整然と立ち並んでいた、大通りの商店街も
今や無残に破壊され尽くしていた。
建物は壊され、焼かれ…
品物は火事場の盗人や、
どさくさ紛れの民の盗みで持ち出され…
弱き民達は逃げ惑い、
転んだ者は容赦なく踏みつけられていた。
三人はその光景にキツく眉を寄せる。
今すぐに、暴動を止めに入りたい。
弱き者を一人ずつ助けに行きたい…
だが、各場所で無数に起きる暴動や
暴力に、どこから手を付けていくべきか…
しかも、行方不明のミュランダも心配だった。
何か事件に巻き込まれたのか?
怪我をして無いと良いが…
「とにかく、オセを探そう…」
リーンが辺りを見渡した時…
ふいに…
灰色の地味なローブを纏い
人混みをすり抜けていく影が目に付いた。
「!!!」
ハッとしたリーンは、次の瞬間、低く掠れるような…
憤怒の籠る声を発した。
「魔王…!!!」
頭から地味なローブを被る人物…
一見、誰だと見分けるなど、不可能な出立ちだが…
リーンには、分かっていた。
いくら姿を隠そうと…
魔王の気配は、存在は…近くにいれば、すぐ分かる。
深く被ったローブから一瞬だけ見えたその顔は…
紛れもなく、前世の己の顔…!
リーンは歯軋りする。
ローブの男は微かに口角を吊り上げ…まるでリーン達を挑発するかのように走り去る。
「逃すか!!」
やはり、奴が裏で工作していたのだ。
人民を惑わし、操り…
混乱と恐怖…破滅へと誘う手口!
そうして、自身の有利になる力を得、
不利になる存在を消していく…
魔王…我の中にあった闇の存在…!
八百年前の我らとの戦闘により、
力を失い、今も尚潜伏中だが…
こうして、未だ…自身が復活する為の力を
得ようと暗躍しているのだ。
「逃がさぬぞ…今なら、楽に倒せる!」
まだ…力を取り戻していないうちに
魔王にトドメを刺さなければ!
そして…やはり、魅了の呪を施した勇者…
フィアロアへの接触を目論んでいた事に背筋が凍る。
「仲間へ手出しなぞ…絶対にさせぬ!」
リーンは全力で追いかける。
「リ、リーン様…ちょ、ちょっと待って」
イルとフィアロアも
人混みを掻き分け、リーンに付いて
行こうとするが…思うように進めない!
特にフィアロアは背丈が子供並みであり、力も無い…
猛牛の如く走り去るリーンに追いつこうと、
必死になるも…
精悍な体格の男達にぶつかり二人と逸れる。
「…っつ…この…!」
思い切り真正面からぶつかってしまい、
フィアロアは強かに顔面を打ち、よろめく。
文句の一つでも言ってやろうかと、顔を上げた時…
男達…その集団は恐ろしい事を口にしていた。
「今から四柱の守護者様、復活儀式をする…急げよ」
集団の一人の言葉にフィアロアは強く反応する。
「…なっ…四柱じゃと⁉︎ バカな…」
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