62話 ぎゅううぅ〜〜!!!
◇◇◇◇◇
鎖に怯む王の霊体目掛け、容赦なくリーンは
鎖を巻き付ける。
昏倒している王の肉体と
霊体は巨大な鎖によって巻き付けられ、
引き寄せられる。
ぎゅううぅ〜〜!!!
音がする程にキツく締め付けられた
王は…やがて発光し
霊体は肉体と融合されていく。
『ぐあぁぁぁ』
肉体に霊体が完全に融合されると
巨大な鎖もまた、発光し消えていった。
ゴクリ…
イルは生唾を飲み込み、王の様子を伺う。
程なくして、
ピクリと、王の指先が動く。
次いで、瞼が痙攣し…
そして目は開かれる。
「おお〜!成功した⁈
僕、侍女長を呼んでくるよ!」
さすが、ド変態ドューイのアイテムだ!
効果的面だ!
貶しているのか、褒めているのか…
イルは笑顔で部屋を出ていく。
それと同時に王はゆっくりと起き上がる。
「私は…蘇ったの…か?」
王が自分の手を動かしながら呆然と呟く。
「アイテムの効果が呪いを上回ったようだな」
リーンもほっと肩を緩ませる。
イルに呼ばれ、部屋に入って来た
侍女も安堵し、涙を浮かべていた。
しかし…
「儂には、未だに
巨大な鎖が体に巻き付いて
いるように見えるのじゃが…良いのか?」
フィアロアは怪訝な顔で呟く。
自身が得意とした悪魔召喚術と似た作用が
あるようだが…
だが…リーンは鎖の事に
ついては目を泳がせた。
「ま、まあ…いつかオーフェンが
復活したら、正式に解呪すれば良い。
とりあえずの応急処置としては上々だ」
霊感や魔素量の少ない
一般人には鎖は見えない、
リーンは王に少しだけ同情しながらも
良しとすることにした。
「さて、王のことはどうにかなった。
すぐにオセと合流しよう」
「そうだね!
ミュランダちゃんが僕は心配で仕方ないよ」
侍女に後は任せると言い、部屋を出るリーン。
珍しく、深刻な顔をしてイルが続く。
「あ、あの…!
ミュランダが…どうか?」
最後に部屋を出かけた
フィアロアに王は言葉を投げる。
「この暴動の最中に行方不明になったそうじゃ」
「…⁈ ミュランダ…が⁈ 」
王はピクリと体を揺らす。
「あの少女の赤みかかった瞳は本物じゃ。
我が血族の血が入っている」
「…え?」
王は首を傾げる。
この老人は何者なのか?
「王の務め…父としての務め…
貴様はどれも放棄するつもりか?」
王はグッと唇を噛む。
オセにも言われた事だ…
だが…何故かこのご老人から
言われた方が…
何倍も王には心に響いたのが
不思議だった。
「儂のようにのぅ…
王が嫌なら放棄しても良いのじゃぞ」
自笑するかのように
皺深い顔を歪め、フィアロアは
部屋から出て行く。
王はその瞬間…
老人の、垂れ下がった瞼の下の目から…
真紅の瞳が見えたような
…そんな気がした。
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