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57話 悲劇が始まる夜明け


◇◇◇◇◇



いや、夢だろうか?既に自分は夢の中へ

入っているのだろうか?


しかし、

声は更にはっきりと聞こえるようになった。


しかも…この声には聞き覚えがある…



「リーン様!フィアロア様!イル様…」



凛とした女性の声だった。

声は地上から聞こえるらしい…


イルはハッとした。


夢ではない!

イルが目を開けたと同時に

リーンの声が隣りの部屋から聞こえた。



「イル、フィアロア!聞こえるか?

オセが呼んでいる!」



こんな…

まだ日の出前のこんな時間に呼びに来るとは、

何かあったのだろう。


老化して耳が遠くなっているのか、

まだ起きないフィアロアを

イルは起こし、着替える。


まだ寝ているドワーフ達を

起こさないよう、移動し…

警備で立っていたドワーフにだけ

出発を伝える。


集落を出る直前に

ドワーフの長老は起き出して来た。

せめてもの見送りに…

ということだろう。



「急なご出発のようで…

何かあったのですかな?」



長老は控えめに聞く。



「うむ、

仲間が呼んでいるのだ…

王都で…何かあったのかもしれない」



リーンは少し眉を顰めながら

地上を見上げる。



「そうですか…

大事で無ければ良いのですがな…

どうぞ、皆さまお気を付けくだされ」



簡素だが、心の籠った挨拶を交わし、

三人は出発する。



地上に出た三人を夜風が包み込んだ。


やはり、日の出はまだ先のようで

風に瞬く星々が寒さに震えた三人を

見下ろしていた。



「リーン様!皆さま…大変なんです!」



声の主は…

やはり、オセだった。


普段は冷静な彼女なのに…

まるで泣きそうな顔をして

三人に近づいてくる。



◇◇◇◇◇


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