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53話 吾輩を歓喜させろ


◇◇◇◇◇



「こんな感じなら時間はかかるけど、問題なく

攻略できそうだね!」



イルは、普段あまり見せない

リーンの困った顔を見れてちょっとご満悦だったが…


三人は再び迷路を進め…

またも、通路の行き止まりに扉が見えた。


しかし…


これまでの扉とは少し様子が

違っているようだった。



「扉に文字を打ち込む形では

無さそうじゃのう?

なんじゃ?この丸いガラスは?」



扉には水晶玉のような

丸いガラス製のものが埋め込まれていた。



「うーん?

とりあえず看板読んでみよう」



【吾輩を歓喜させろ】



「何だ?これは…」



リーンも怪訝な表情になる。



「歓喜…かぁ?こういう事?」



と、言ってイルは

徐にリーンに抱きつく素振りをする。


…と、

水晶玉のようなガラスが動いた!



ヴィィィィ…!!



それは、イルの方向を

向いたようだった、その瞬間…


ガラスから一本の光線が発射され、イルに当たる。



「熱っつ〜〜うぅぅ⁈ 」

 


熱を帯た光がイルの腕を焼く。

ごく軽度だが火傷のような痛みだ。



「何これー!!?

扉が攻撃してきたんですけど⁈ 」



不穏な扉にイルは構えるが…リーンは冷静に考える。



「ふむ、回答に失敗すれば攻撃されるようだな」


「危険だよう」



イルは少し焼けた自分の腕を

見ながら涙目になる。



「どう見ても自業自得じゃな」



フィアロアはイルを蹴飛ばす。



「しかし…どうしたものか?

この水晶のような物が…

目の役割になっているのか?」 



リーンも首を捻る。



「ねえ、もうこんな扉…壊しちゃいましょうよ〜」



イルが文句を言い出した時…

しゃがれ声の詠唱が聞こえてきた。



ーー世界に満ちる蒼き者、

眠りから覚め踊り狂えば、其は

大空の覇者とならんーー




「げっ⁈フィアロア?本当に扉壊す気か?」



徐に詠唱を始めるフィアロアに、イルは驚く。

自分だって今、扉壊すとか

言っていた筈だったが…



ーー蒼風刃ーー



呪文は成り、

大気が共鳴し揺れ始める。



「ちょ…早まるなー!」



イルの制止も間に合わず、

フィアロアの手のひらに魔素は集合し…


そしてーー



ふわり!!!



恐るべき上級風魔法は…

ふわりと、リーンのスカートを捲った!!



その瞬間を…

誰よりも早く反応したのは

扉に埋め込まれていた

水晶玉のようなガラスだった!



水晶玉のようなガラスは光った!



その瞬間を絶対逃さない!

とばかりに捲れたスカートに焦点を合わせて!



◇◇◇◇◇


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