52話 ドューイの迷宮
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さて、三人は
挑発的な看板が付いていた扉を開け、
本番、といわれる内部へ入る。
「何だこれ⁈迷路じゃないか!」
イルが呆れたように口を開ける。
扉を潜った先には、通路がいくつも
枝分かれした空間になっていた。
「通路の仕切りは
木の板で出来てるようじゃしのぅ
魔法で吹き飛ばせたら良かったのじゃが…」
「あ、そうか!
じゃ、僕がペンダント使って…」
…など、物騒な事を言う二人を
リーンは軽く杖で小突く。
「この脳筋バカ共が!
こんな閉所で力を使えば…
地面が崩壊してしまうだろ!」
ペンダントの効果はせいぜい十秒ほどで…
その間に剣を振らなければならない為、
中々力加減ができないのだという
(リーンから言わせれば…
ただの言い訳なのだが)
上手くペンダントの効力を
使い熟せるようになるまでは、
ブレイブダンジョンの破壊という
前例もあるし、
万一を考えて…力を使わせないのが
良いだろう…とリーンは考えた。
「ドューイのことだ、
どんな仕掛けがあるか分からないしな」
リーンのその言葉には二人も
はげしく同意し、
迷路を進めることにする。
「また行き止まりか…イライラするのぅ!」
「こっちは進めそうだ!」
入り組んだ迷路を
進む度に、途中で扉が行手を
阻む…当然、看板付きで。
「また看板か…今度の質問は何だ?」
既に三回程は、この手の看板があり、
質問に正しく回答できれば
鍵が開く…という仕掛けになっていた。
しかも、リーンが胡乱気な
目をしてしまうのは…
その質問が悉く
リーンに関するものだったからだ。
「今度、我のスリーサイズなぞ
不埒な質問があれば…叩き壊してやろうか」
「リーン様、脳筋はダメですよ〜」
「仕掛けは不本意じゃが
従わなくては進めんからのぅ」
しゃあしゃあと二人は言ってのける。
寧ろ楽しんでいるように
イルは、にこやかに看板の文字を読む。
「何なに?リーン様の好物は?…かぁ」
「ふむ、まぁ…これくらいなら答えてやろう」
リーンは扉に設置されている
暗号キー…なるものに
好物の文字を打ち込む…が。
「む?
開かない…正確ではないのか?」
リーンは好物をレバ刺しと
打ったが…鍵は開かなかった。
「うむ?…では別ので…
タコワサ…
むう…開かない…」
「てか、リーン様?
さっきから知らない食材の名前
ばかりなんですが…何です?それ」
…いかん。
この世界では無い食材だったか。
前世の好物だったんだが…
この世界では久しく食べてなかったと
思い出す。
仕方なく…ビーフジャーキー…と、
打ち込むが…反応がない。
それを見てたフィアロアが
怪訝そうな顔で首を傾げる。
「リーン様…嘘はいかんぞ?
リーン様の好物はこれじゃ!
…毒キノコ…と」
フィアロアはリーンに代わり
文字を打ち込む。
すると、カチリと音が鳴り扉は開いた。
おい、なぜ毒キノコなんだ⁉︎
「解せぬ…」
リーンはドューイを小突きたい気分になる。
以前、毒耐性があるからと
もりもり毒キノコを美味そうに
食べていたからだろう。
この正解回答は…あくまで
ドューイの主観からの、ものなのだ。
リーンは納得いかないようだが、
無事、三人は扉を潜り先へ進む。
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