40話 王が倒れた理由
◇◇◇◇◇
ミュランダは急に慌てだし、
オセの袖の端をギュッと掴む。
「お義父様が…」
泣き声になりかけたミュランダは
感情を飲み込み、続ける。
「お義父様が急に倒れたと…
王宮から報がありました!
皆、オセ様を探していて…
それで、私もオセ様を探そうと街まで…」
一気に捲し立てながら話し、
更にオセの袖を強く握る。
「オセ様…!
お義父様をお助けください!」
涙混じりにミュランダは訴えた。
「倒れた…? 王が…か⁉︎
私が王都を出た明け方までは
病なぞ無さそうだったが…」
オセは少し眉間に皺を寄せ考え込んだ。
ミュランダの言葉に出てきた
"お義父様"…とは?
ミュランダが父と呼び、オセがその人物を
王と言うのなら…
ミュランダは、王の子…つまり王女なのか?
リーンとイルは顔を見合わせ様子を伺う。
更にミュランダは話しを続ける。
「侍女の話しでは…
中庭にお義父様が出ていたら急に倒れたと…
けれど、人払いをしていた筈の中庭には、
お義父様の他にも黒髪の…詩人風の男の姿が
見えたと…言うんです!」
「なんだと⁈」
ミュランダの話しに先に喰い付いたのは
リーンだった。
詩人風の男…それは、もしや…?
リーンの表情も険しくなる。
「お義父様…黒髪好きだし…しかも男性…
きっと相引きしてたのね…!!」
だが、ミュランダの思考は
リーンとは少しズレているようだ。
ミュランダはかなり混乱していた。
一行と共に王城への道を急ぎながら…
つい、口が滑ってしまう。
「黒髪好きで…男と相引き??」
イルが少し躊躇気味に確認する。
…それって…
「あ…ミュランダ…それは…」
オセが顔を引き攣らせながら
ミュランダを止めにかかるが…
動揺していて、
空気を読める余裕がないミュランダの
口は更に滑る。
「国民はもう皆知ってますよ!
お義父様の性癖の事…
だから世継ぎもいないし、
王妃もいないんだって!」
「へぇ…」
イルは何とも言えない表情となる、
リーンはオセが言い淀んでいた理由を察する。
フィアロアは…
何か引っかかると…眉間の皺を深くする。
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