39話 少女ミュランダ
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一行を魔法シールドで守ってくれた、
その生徒会長と呼ばれた女生徒は…
この王都で見かける
一般的な人々の髪色とは少し異なっていた。
先ほどの不遜な学生らも、
街中にいた人々も…一様に、この地域の人間は
薄茶や金髪などと、
髪色の色素が薄めの傾向にあった。
その中で…
黒に近い、焦茶色の髪色は…
多少の違和感として、
一行の目にも捉えられた。
…そう言えば…
オセも街門前で、黒は禁色だと
言っていたっけな?
そんなことを思い出し、
フードを被ったオセの方を
見ていたイルだったが…
オセは女生徒を暫く見ると、
驚いたように声を上げる。
同時に女生徒もまた…
口に手をあてながら驚く。
「あ…!
オセ様?オセ様ですか?」
「おお!
ミュランダか?
大きくなって…見違えたぞ!」
互いに、すぐには気付かなかったようだが…
親しそうに駆け寄って、手を取り合う。
「久しい…と、言うべきか?
私には一瞬の時のように感じるのだが」
表情を柔らかくし、
オセは女生徒の頭に手を乗せる。
「もう私…十七歳になるのですよ!
十年振りですね、オセ様!」
ひとしきり二人で邂逅を
喜び合っていたオセだったが…
一行の視線に気付き、居住まいを正す。
「す、すみません!お恥ずかしい場面を…」
「構わないぞ、我とて、仲間の邂逅は嬉しい。
水を差す気は毛頭ない」
リーンは珍しく微笑み、
率直な気持ちを言葉にする。
「オセちゃん、紹介してくれる?
可愛い子だね!今の僕と同じ年くらいかな?」
「幼女趣味か?この白豚が」
「何が幼女趣味だよ!
十七歳は立派にレディだろ⁉︎」
「ああ、貴様の身体はまだ十代の小童だったな?」
またしても、イルとフィアロアの
漫才が始まった。
「あ、あの…お二人とも…」
たじろぐオセだが、リーンが割って入る。
「任せろ」
リーンは自慢の杖を振り上げ
イルとフィアロアの頭を殴りつける。
二人の頭にタンコブが生えたところで
改めて女生徒…ミュランダに向き合う。
「…して、オセの知り合いと言うことは…
もしや王家に縁のある者なのか?」
「あ、はい、私は…現王の…」
リーンの質問に、
ミュランダは答えようとするが…
だが、急に声を上げ、慌て始める。
「…あ!そうだ、た、大変…!」
オロオロと、落ち着きを失くすミュランダ。
「そ、それより…大変なんです!
す、すみません…私…
ご挨拶の途中で…
で、でも…
色々あって、混乱してて…」
確かに、ミュランダは混乱しているようだ。
頭の中で必死に、どう言うべきか…
何を先ず話すか、己の感情の
優先順位をまとめているようだった。
「わ、私…
オセ様を探していたんです!!」
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