38話 焦茶色の髪の少女【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
ーー大火炎ーー
「やべぇ、アイツ、中級魔法使ったぞ⁉︎」
と、学生の一人が恐怖を伴い叫ぶ…
直径三メートルにもなろう、
大きな火の玉は、容赦なくリーン達一行に
向い襲いかかってくる!
直撃したら…どうなるのか⁉︎
学生達でさえ、自分らの
しでかした事に肝を冷やしていた
瞬間…
リーン達の周囲に小さな防御シールドが貼られる。
フォンッッ…!
半透明のシールド…
恐らく、呪文魔法で作り出した代物だろう。
シールドが貼られたと同時に
学生の放った火炎呪文は
シールドへと衝突し…
火炎とシールド、両方は相殺され…
粒子となって宙に消えた。
「バカな真似はやめなさい!」
呪文が消えたと同時に
良く通る女性の声が学生らを諌める。
突如、後方から聞こえた
透き通るが突き刺さすような
冷たい声に、イルは少し驚き振り返る。
そこには…
学生らと同じ制服を着用した
少女が仁王立ちしていた。
◇◇◇
火炎呪文から、一行をシールド呪文で守り、
助けてくれた人物は…
制服を着用した
同じく魔導学院の生徒だった。
「げっ…⁉︎
生徒会長だぜ⁉︎」
「うざっ!見られてたのかよ⁉︎」
学生らは一様に狼狽える。
生徒会長…と言う言葉が聞こえた。
…なるほど、
攻撃魔法の学院外での
使用禁止…という校則を考えてみれば…
確かに、
一番見られては
不味い人物に見られたのかもしれない。
「貴方達の顔は覚えました。
すぐに学年とクラスも突き止めましょう。
…せいぜい、情状酌量になる
言い訳を今のうちに考えておくのですね」
淡々と生徒会長と呼ばれた
女学生は言い放つ。
「くそっ!コイツ、
人望なんか無いくせに!」
「ちょっと優秀だからって!この女!」
「覚えとけよ!生徒会長!」
余りにテンプレートな…
負け犬のなんとやらを
吐き出しながら学生らは逃げていく。
「ふう…、
すみません…ウチの生徒らが…」
生徒会長と呼ばれた女生徒は、
呪文発動に疲労を覚えたらしくため息を吐き、
しかし、申し訳無さそうに眉を下げ
一行に深々と頭を下げ詫びる。
「皆さん、お怪我はありませんか?」
顔を上げた女生徒は、
あれだけ、冷静で堂々とした発言を
していたが…
姿は小柄で華奢…
手を胸にあて、
少しおどおどした風にも見える…
ごく普通の少女だった。
ただ、
少し違っていたのは…
掛けている眼鏡越しに
見える、やや赤みがかった瞳と…
長いお下げ髪の、その髪色だった。
◇◇◇◇◇




