37話 スカートひらり
◇◇◇◇◇
学生らの無様な悲鳴が
ひと気の無い、街路樹の間を
すり抜けていくが…
超最上級風魔法は…
学生らの集団の一人…
女学生の制服のスカートを
ふわりと捲った。
…だけだった。
「はあぁ⁉︎」
一拍の沈黙の後…
学生らは正気に戻る。
フィアロアと名乗る老人の詠唱に
恐れ、悲鳴を上げてしまった
自分らを恥じ、そして…
恥じをかかせた相手への
怒りが湧き起こる。
「ふむ…やはり、この体では術は使えぬか…」
学生のことなぞ、
お構いなしにフィアロアは
自身の手を見ている。
リーンは胡乱気にフィアロアを見る。
初めから魔法なぞ使う気が
なかったくせに…と。
なぜなら、オセとの接触は
しておらず…
エネルギーの供給は無かったのだから。
「おーい!フィアロア?
学生さん達…なんか怒らせちゃってる
っぽいぞ〜?」
フォローのつもりなのか?
煽っているのか?
イルが間の抜けた警告をする。
イルの発言もまた、学生達には
逆効果だったのだろう。
ますます顔を赤くし、
怒りに震えた学生が反撃に出る。
「バカにしやがって!!
魔法ってのが、どういうものか…
俺が教えてやるよ!」
学生の一人が詠唱を始める。
「おい、やめろよ!
学校外で攻撃魔法の使用は
禁止されてるだろ?」
学生の一人は制止しようと
呼びかけるも、耳に入らないようだ。
「先生にバレなきゃいいのよ!」
女学生も面白がり、静観するようだ。
そんな状況に、イルは嬉々として
しゃしゃり出る。
「僕の出番かな⁉︎
魔法なんて、僕の剣圧で
吹き飛ばしてあげよう!」
「バカ者!キサマも
学生諸共、街を破壊する気か?」
つい、数日前…山脈の頂上を吹き飛ばした
記憶は鮮明な筈だが…
ギルド職員にこっぴどく怒られた事を忘れたのかと、そんな脳筋イルをリーンは小突く。
「しかも、キサマ…
まだペンダントの効果は回復してないだろう?」
「あーー!そっか、残念!」
回復してたら、使うのか?
…と、ちょっと恐ろしくもなる。
オセは、皆を守るように、一歩前に出る。
「ええと…
学生さん程度の魔法でしたら、
私が盾になって…
皆さまを守りますから!」
そう言い、腕を広げるが…
「オセ、しかし…
呪文が炎だったら、キサマの毛が燃え…
万一だが、コピー体の
フィアロアまで燃えるかもしれぬぞ?」
「ええ⁉︎ 」
リーンの言葉にオセは動揺する。
「やはり、ここは我が盾となろう。
魔素(MP)は無いが、魔法抵抗は
健在だからな!」
「いえ!リーン様!
なりません!やはり私が…!」
オセとリーンの庇い合いが繰り広げられる。
なんだかんだ…リーンとて、
戦いに身を投じたくてウズウズしてるのでは
ないか?…と、
イルとフィアロアは胡乱気に二人の様子を
見ていた。
学生が攻撃魔法を目の前で使おうという、
緊迫した状況な筈だが…
本来、危機的状況で怖がるべき筈だが…
妙に一行は、弛緩した空気感が
漂っているように見える。
恐れも、逃げもしない…
そんな一行に、学生は更に不機嫌になる。
「魔法抵抗の無い一般人じゃ、火傷程度じゃ
済まないかもしれないけどなぁ?」
ついに詠唱は成し、
怒りで我を忘れた学生の手のひらから、
赤く脈打つ炎が噴き出る!
「丸焦げになっちゃえよ!雑魚共がぁ!!」
◇◇◇◇◇




