35話 魔導学院の生徒
◇◇◇◇◇
リーン達が来た道を
引き返そうとした時…
前方から、一団が歩いて来るのが見えた。
どうやら、先ほど話題にしていた、
魔導学院の生徒達らしい。
夕刻になりつつある時刻、
授業を終え、帰途にあるようだ。
リーン達は彼らの
道を塞がぬよう、やや端に寄り
彼らが通り過ぎるのを
見送ろうとしたが…
話しに夢中のその集団は、
前方のリーン達を見ることなく歩き…
あろうことか、背丈の低い
フィアロアにぶつかり転ばせた。
「んあ?なんか蹴ったかも?」
悪びれもなく、
そのまま過ぎようとした
学生らに…
当然だが、フィアロアは猛然と抗議する。
「クソガキどもが…
儂にぶつかり、死をもって詫びぬとは…
楽に死ねると思うでないぞ?」
低くしゃがれた声で
物騒なことを言い終わらぬうちに
フィアロアは詠唱に入る。
「ああ?」
「こら!フィアロア!」
生徒の不遜な誰何と、
イルの慌てた声が同時に発せられる。
「フィアロアだって??
古代の王様の名前だっけ?知らんけど!」
「バカ、ウチの学院の名前だって」
そう言いながら学生達は
ゲラゲラと下品に笑う。
「な…っ⁉︎
なんと不敬な…!」
学生らの無知な会話を聞き、
オセは苛立ちを覚え、耳が逆立つ。
この数百年…
フィアロアの跡を引き継いだ王や臣下達は
良い治世を齎さんと懸命に国民の為に尽くし、
そんな甲斐もあり、この国は
平和で豊かになった。
しかし…
平和の産物がコレなのか?
フィアロア様が逆賊によって
滅ぼされた国を再興し、
領土を奪わんとする敵国の襲来を跳ね除け…
更には魔物の軍団の襲来ですら
その圧倒的な魔力で殲滅した…
そんな偉大なお方を前に…
その名を軽んじるとは!!
オセは久しく忘れていた
魔の領域たる己の中の暗い魂が鼓動する…
そんな感覚になったが…
ーー世界に満ちる蒼き者、
眠りから覚め踊り狂えば、其は
大空の覇者とならんーー
フィアロアの詠唱がオセの耳に届く。
◇◇◇◇◇




