22話 最強の大魔術士が放つ魔法
◇◇◇◇◇
このヨボヨボの老人の…
どこにそんな気迫が出てくるのか?
「な、なんだ?この爺さん?」
イル達も、そして族共も皆…
ひととき、静まり返った。
「この程度の小悪党共に手こずるなぞ…
全く、情け無いわい…
儂がこの魔術で、バカ共に
本当の恐怖を植え付けてやろう」
「ま、魔術…⁈
ジジイ…まさか、
お、王都の…魔術士なのか⁈」
族共が騒めき出す。
その表情には明らかに恐怖が滲み出ていた。
族の何人かは既に後退りしている。
隣国フィアロの魔導技術がどれだけ高度で、
魔術士らがどれだけ強力で…
民衆は畏怖を覚えているか…
この反応で見えてくる。
「儂はフィアロア…
この世で最強の魔術士じゃ!!」
フィアロア…??
この老人が?
いや、
フィアロアは老人ではない
いや、
そもそも…リーンに封印された
のではないのか?
イルも、リーンも…
そして部下であったオセさえも困惑する。
しかし、老人…
自称フィアロアは、静かに腕を上げる
手のひらから、魔素が渦巻き始める!
老人、自称フィアロアが突き出した手のひらに
呼応するように魔素が集結し、
渦を巻いてゆく…
「え⁈
本当にフィアロアなの?」
イルは目を丸くし、口をポカンと開ける。
「や、やべぇぞ?
魔法打たれたら、こっちが不利だ!」
族共の表情が先ほどとは
打って変わり、青ざめていく。
「ほっほっほ…
先ずは、火の魔法じゃ」
老人の手のひらに集結した
魔素は、徐々に赤みを帯び、
まるで本物の炎のように、
ゆらゆらと揺らぎ始めた。
ーー万物に宿し怒り 魔を糧に
奮い立ち其の敵に 紅蓮の業火を
吐き出せーー
老人が朗々と呪文を唱える。
聞くに恐しい、
言霊だけでも力があると感じる。
「う、うわぁ!
い、嫌だ!焼け死たくない!」
族の一人が恐怖で腰を抜かし
尻だけで後退りしていく。
一人が逃げれば、
また一人…集団の心理が増幅していく。
族の全員が逃げかけた
その時…
ついに、詠唱が結ばれ呪文構築が成立した。
ーー業火爆嵐ーー
老人の手のひらから
全てを焼き尽くす業火が…
「う、うわぁぁぁぁ…!!
… …
… … … …ん?」
出ない。
「ん??」
族と一緒に、イルも首を傾ける。
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