18話 魔獣の正体とは⁈ 【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
「やめい!!」
何者の声か?
イルと魔獣を制止する声の主は…
リーンは注意深く辺りを見渡す。
そして、イルもまた…
その制止の声に反応してしまい、
咄嗟に振り下ろしそうになった
一撃を止めてしまった。
「え⁈何??」
困惑するイルに続いて、
不可思議なことに、
魔獣まで…
「キャァ… …え⁈」
イルの放つ剣撃の凄まじさに
死を覚悟した魔獣であったが…
制止の声と、攻撃を回避できたことに
驚き、尻餅をついてしまっていた。
「んん??
今…女の子の悲鳴も聞こえたような⁈」
女好きイルの感知センサーは鋭い。
既に元の小太りに戻り、
辺りをキョロキョロしてる
イルの少し後ろから…
「あーーーーっ!!」
突然、
リーンが大声で前方の黒き魔獣を指差した。
「うわぁ⁈リーン様??
すみません!僕、女の子なんて探してません」
リーンの声に驚くイルは
早口で何やら言い訳をするが…
そんなイルを杖で軽く小突き、
リーンは魔獣の元へ少し歩み寄る。
「思い出したぞ!
そこの魔獣…キサマ、フィアロアの部下だな?」
リーンの背後から顔を出した
イルもまた…魔獣をじっと見やる。
「ああ!そういえば…
フィアロアの配下にいたね!
…って、いっても…
いつもは、人の姿に変身してたから
…分からなかったよ」
イルもまた、目を丸くさせ驚く。
「…はい、お久しゅうございます!」
魔獣はヨロヨロと立ち上がり、
体毛を震わせると、
人の姿へと変貌していった。
リーンと同じく華奢でスラリとした姿、
黒色の長い髪は頭上高くに
一つに結わえられ、
ふわりとした衣装は髪色と同じく、
全身を黒で染めていた。
人間と少し異なることは、
耳と尻尾だけ獣の名残りがあることか…
しかし、この世界には
人間の亜種、獣人族も市民権を
持っていることから、
街中でも浮いた存在には
ならないだろうが…
ただ一つ…
その美しい容姿に影を落とすように
目元の傷が目を引く。
両目を縫合されているのだ。
縫合は緩めで、ほんの少しだけ…
紫の美しい瞳を覗かせているのだが。
恐らくこれは…
黒魔術による、召喚の儀の名残りだ。
魔の領域の存在を召喚する。
超高等魔術士のみが使える
究極の魔術…
圧倒的な魔力をもって、
魔の領域の者を魅了し、従属させる。
フィアロアは…
そんな召喚術が得意であった。
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