14話 傀儡となりし仲間よ…
◇◇◇◇◇
ーーかの地、
闇の祝福の齎したる黒き魂の
民共よ、古より与えられし
愚者の楔の苦痛をついに解き放たんーー
低く朗々とした声が周囲に響き渡る。
「む⁈いかぬ!!奴め…召喚を⁈」
眉を顰め上空の黒い姿者を見上げる。
だが、その者の詠唱は続く。
地響きは更に熾烈となり…
四方に聳えていた邪悪な魔素が
畝り荒ぶり…変化が起きようとしていた。
ーー悪魔共よ!苦痛を呪い叫べ!ーー
詠唱と共に、その者から
超重量の黒い圧気が放たれ、
地の底から突き上げたかのように
王都の四隅から、
城壁の見張り塔を遥かに超える
巨人が現れた。
ガォあああアァ…!!!
その巨人…
異形の悪魔共は、磔にされ
手足を杭で打たれていたり、
目口を縫われ、鎖に強く巻かれて
いたりと、凄惨な姿だった。
一様に苦痛にもがき苦しんでおり
その鬼気迫るものが今にも
破裂しそうな様子だ。
リーンは、猶予が少しも
残されていない事態に、きゅっと唇を噛み、
意を決する。
持っていた杖を大きく振ると
リーンの周囲に光の球体が
出現し、彼女を包み込む。
その球体はリーンを持ち上げながら
上空…黒き者の先まで上昇する。
リーンの視線に黒き者が映る。
「フィアロア…」
琥珀色の美しい瞳を哀しみに染め、
リーンは大切な…
大切な仲間を見つめる。
リーンの呼びかけに、応じることのない
そのフィアロアと呼ばれた
黒衣の青年は、
赤い瞳だけを爛々と燃やし、
空虚に宙を見据えていた。
「やはり…我には返らぬか…」
リーンは杖をきつく握る。
「魔王が仕掛けた錯乱の呪…
魔法耐性の強いキサマさえ…
抗えなかったのだな」
フィアロアはリーンの言葉に
反応する様子はまるでなく…
片手を上げ、
先ほど詠唱にて召喚させた
悪魔共へ指示を出そうとしていた。
「…そうは、させぬよ!
キサマの国の民達を…
王自らの手で消し飛ばすような
そんな悲劇には…絶対させぬ!」
リーンは目に滲んだ雫を
振り切り、青年を睨む。
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