13話 ブラッドエンペラーの封印
◇◇◇◇◇
隣国フィアロへ向かう、リーンとイルは、
穏やかな森の中を進んで行く。
ふと、リーンはその景色を見て
懐かしさを覚える。
『昔も…確かここを通ったな』
記憶を手繰り寄せる。
それは…
あまり思い出したくない記憶だったが。
それは数百年前の出来事だった…
◇◇◇
リーンは急いでいた。
急いで奴を止めなければ…!!
深い森を抜けた先…
開けた盆地には、街が広がっていた。
立派な石造りの城壁に囲まれた
建物、住居が密集する
その中央には、これもまた
立派な城が聳えていた。
所謂、王都…だろう。
建物の規模や数から察するに
それなりに繁栄した、
豊かな国なのだと想像がつく。
しかし…
その繁栄した王都に
今…
暗雲が立ち込めていた。
王都全体を覆い尽くすのは、
邪悪な黒い魔素だ。
王都の民達は逃げ惑い、
混乱を極めていた。
そんな人間達を嘲笑うかのように、
王都を覆う魔素は、
やがて、王都の四隅へまとまり、
四辺を黒い魔素から出来た
巨大な柱状に変形し始めていた。
魔素が自我を持つことはない。
これは…何者かが
魔素を操っているのだ。
四辺の中心…
まさに、王城が聳える
頭上に…その何者はいた。
闇色のローブを身に纏い
装いと同じく、漆黒の長い髪を
気流で乱しながら宙に浮かぶ者…
漆黒の者の瞳は
血の色を連想させる真紅が
淡く発光している。
何より、異質なのが
その戦慄するような瞳の中心…
黒い瞳孔が十字の形をし、
まるで異界の門でもあるかのような
迫力を見た者に植え付けていた。
常世離れした、その姿だけでも
常人と思うことはあるまい。
ましてや、宙に高く浮かび上がり
邪悪な魔素で都全体を覆い、
操っている、となれば…
魔の領域から来た者
悪魔か…魔神か…?
大いなる災いを齎す邪神か…と。
王都に向け、全力で走る
リーンは、民衆らが
そんな風に怯えているだろうと
焦燥感を募らせていく。
(まあ…魔神とか、邪神とか…
能力値的には遠くはないな…)
ドォオオン!!
と、リーンがやや脱線した
思考を差し込んでいた刹那、
地の底から震え上がるような
振動と轟音が身体に響いた。
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