122話 小悪魔、どさくさ紛れにやりたい放題
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「これは…透かし…ですね?」
フィアロ国のドワーフ族から借り受けた地図を
ランプの光に翳したところ…
地図の裏面から絵柄が浮き出してきた。
「うむ…これは絵?いや、地図か?」
小悪魔はリーンの呟きに、コクコクと肯首し、
そして、地図を真剣な表情でじっと見つめる。
やがて窓の外を指差し、リーンに訴える。
「窓?…いや、外の事か?」
小悪魔は身振りで必死に伝えようとするが…
中々難しいらしい。
リーンは、そわそわと焦れる小悪魔の頭を撫で、
地図と、窓の外を交互に見遣る。
そんな二人を見て、オセは答えを捻り出す。
「…あ!もしかして…小悪魔の、召喚主の居所を…
思い出したのでは無いでしょうか?」
「ふむ…そうかもしれぬな」
オセの考えに、リーンも納得するが…
小悪魔は少し、肩を落とし首を横に振るも…
正しく伝わらないと思ったのか
また頷くとリーンの袖を引く。
せめて、文字で意思疎通が出来れば良いのだが…
召喚の制約では、文字でのやり取りも禁じられているらしい。
とにかく、小悪魔は地図を辿って外へ出ようと、
リーンを見つめるが…
「いや、すぐ行きたいのは分かるが…
もう夜も遅い…明日、皆で探しに行こう」
そう説得されれば、小悪魔も素直に応じる他にない。
確かにもう夜も遅い…小悪魔の体も疲労が蓄積されていた。
だが…疲れてはいても小悪魔の気は焦る一方だった。
オセとリーンが寝静まった後…小悪魔は
地図を凝視していた。
口の中でぶつぶつと何か呟いているようだ。
地図を正しく読み取ろうとしているようだった。
日付けが変わり、夜明けも間近になる頃…
睡気と疲れが限界にきた小悪魔は、
休息を余儀なくされる。
リーンの眠るベッドへ入り込み寄り添う。
…愛おしそうにリーンの顔を撫で、
額に口付けを落とす。
額だけでは足りぬと、頬や鼻にも…
そして、唇に到達しそうになるも…
少し寂しそうに眉を下げると、暫く寝顔を堪能した後…リーンの胸を枕に、眠りに就く。
もし、イルとフィアロアがそれを目撃したなら…
小悪魔は間違いなく袋叩きに遭っていただろうが。
どさくさに紛れた特権だと、勝手に決め…存分に
甘える小悪魔だった。
あの地図が…
悲劇を止めることが出来る唯一の方法だと…
そうであって欲しいと、願い…
束の間の眠りに落ちる。
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