118話 魔王??【挿絵付き】
◇◇◇◇◇
村を出たリーン達は、昼前にはダルムの町に
到着した。
「はぁぁ〜!やぁっと着いたぁ…
休憩無しで歩いたから…もう疲れたよ〜」
イルは、フィアロアを背から下ろし大きく背を伸ばす。
「うむ、急ぎで噂を聞きたかったからな…
まぁ、とりあえず町のギルドへ寄って、一旦話しを聞いたら、宿屋で休むとするか」
リーンも、やれやれと顔を緩める。
「フィアロア様もお疲れでしょう?」
オセがフィアロアの元へ行きかけた時…
フィアロアは不思議そうに首を傾げ、
町中を見ていた。
「何じゃ?…何か…
町中で人垣ができてるようじゃぞ?」
フィアロアが指を指す。
皆が向くと…確かに町は騒然としていて、
人垣ができているようだった。
「え〜?お祭りでもあるのかなぁ?」
フィアロアを人混みから守るように側へ寄せ、
イルは、町中を伺う。
「…いや」
しかし、リーンは眉を顰めた。
混み合う町民らに、笑顔はない。
祭りのような催しではなく…何か騒ぎが起きたのだ。
「ええっ⁈」
と、そこへオセが唐突に声を上げる。
魔獣故に聴力は人間の数十倍良いのだ。
「どうした?オセ?」
「リ、リーン様!…あの…
ま、魔王の処刑が始まると…皆、話してます」
「なんだと⁈」
リーン達は即座に人垣を掻き分け、見に行く。
ダルムの町の中央には石畳の敷かれた広場があった。
都や、大きな街ほどの広さではないものの、催しや何か大事な事がある時は、町民は皆ここへ集まる。
その広場の中心に粗末な櫓が建てられ、
その上に木の柵の中に入っている者がいた。
黒き姿、羽に尻尾…なるほど、
確かに人間ではない…
その者をまさに、今…処刑せんと
武器を持った冒険者らしき女が向き合っていた。
「ねぇ…リーン様…あれが…魔王??」
フィアロアを背に負ったイルは、怪訝な表情で木の柵の中の者を見る。
「…………」
リーンも胡乱気な表情となっていた。
「ただの低級小悪魔じゃのぅ?」
呆れ声でフィアロアは言い捨てる。
「て、低級…あははは!どこが魔王なんだよ〜」
笑いを堪え切れなくなったイルは吹き出してしまう。
リーンもまた、深いため息を吐き…
そんな事だろうと思ったと、ぶつぶつ呟く。
やはり、噂はガセだったのだ。
「み、皆さま…ちょっと不道徳ですよっ
…一応、厳粛だる処刑の場ですし…?」
オセが、嗜めていると…
不意に柵の中の低級小悪魔とリーンの目が
合ってしまう。
『!!!!!』
すると…今まで、ぐったりと項垂れていた
低級小悪魔が急に暴れだす。
柵を揺らし、手を伸ばす。
『…!…!…!』
「…何か…伝えているようだな?」
◇◇◇◇◇




